見出し画像

バッカスの憂鬱 「世界が注目 高品質な赤ワインを産出するホットスポット ブルガリア ヴェサ・バレー 驚異のコスパワイン ”ENIRA(エニーラ)”の衝撃」

 いま、ブルガリア、ルーマニアといった東欧系のワインが熱い。

 バルカン半島及び東欧各国は古来より葡萄の栽培が盛んで、ワイン醸造の歴史は長い。特にブルガリアはワイン発祥の地とも言われている、

 そんなブルガリアワインの中でも特に注目されているのがベッサ・ヴァレーでワイン醸造を手掛けるベッサ・ヴァレー・ワイナリーの「ENIRA(エニーラ)」である。

 「ENIRA(エニーラ)」の仕掛け人はフランス ボルドー右岸にある銘醸地サンテミリオンで、プルミエ・グラン・クリュ・クラッセBである「ラ・モンドット」や「シャトー・カノン・ラ・ ガフリエール」を所有する、名門ハプスブルク家の末裔ステファン・フォン・ナイペルグ伯爵である。

 そのため、ラ・モンドット等と同様にエニーラのエチケットには、真ん中にナイペルグ伯爵家の紋章が掲げられており、一目でナイペルグ伯爵のワインと分かるデザインとなっている。

画像1

 ナイペルグ伯爵は、1996年から品質改良を着手した「ラ・モンドット」を短期間で一躍サンテミリオンを代表するワイナリーへと押し上げ、2009年にはパーカーポイント100点満点を獲得した事でも知られている。  

 「ENIRA(エニーラ)」の故郷ベッサ・ヴァレー・ワイナリーは、2001年にブルガリアの首都ソフィアから南東約135km離れたパザルジク州に設立された。ブルガリアは、古くからボルドー系品種が栽培されていたこともあり、「ENIRA(エニーラ)」シリーズにはメルロー、シラー、カベルネ・ソーヴィニヨン、プティ・ヴェルドなどが使われている。

 ブルガリアはボルドーに比べて人件費を低く抑えることが出来るため、ベッサ・ヴァレーではその分を設備投資に回している。そのため、 ベッサ・ヴァレーでは最も高密度でピュアなブドウの味わいが得られるフリーランジュース(フリーラン果汁)を約95%も使用いる。

 フリーランジュース(フリーラ果汁)とは、破砕後プレスを行わず、ブドウの自重のみで自然に流れ出す搾汁の事で、量的に僅かしか得られないため非常に貴重な果汁と言われている。フリーランスジュースの特徴としては、エグ味等が少ないピュアで旨みが強いことが挙げられる。

 ベッサ・ヴァレーでは、貴重なフリーランジュースを最上級キュヴェからカジュアルラインまで全てのワインに使用することで、いずれのキュヴェも雑味のない葡萄本来の果実味を引き出すことに成功している。

 また、醸造家にはサンテミリオンの「ラルマンド」や「ベルフォン・ベルシェ」を手掛けたマーク・ドゥウォーキンが招聘され、ナイペルグ伯爵がサンテミリオンで培ったノウハウと哲学を基に、ボルドースタイルのワインが造られている。

 今回、最も低価格帯である「プティ・エニーラ」を実飲してみた。

 開栓しグラスに注ぐ。ワインカラーは深みのある綺麗なガーネット色。赤い果実の香りに加え、チョコレートやココアのようなニュアンスも感じられる。口に含むと非常に爽やかな果実味を感じる。酸味、タンニンのバランスが非常に絶妙で、全体的に2クラス上のワインのような洗練された味わいである。

 「プティ・エニーラ」は実勢価格1,000円台で購入できる廉価版のレギュラーワインながら、ワイン・アドヴォケイト誌でブルガリアワイン歴代最高得点を含む、90点以上を獲得するなどの高い評価を得た「エニーラ・レゼルヴァ」や「グラン・キュヴェ」などの上級ラインにも匹敵する果樹味と熟成感を味わうことができる驚異のワインである。

 ブルガリアワイン、ベッサ・ヴァレー・ワイナリーの底力を実力を思い知った。必飲の一本として強く勧めたい。
 


宜しければサポートをお願い致します!