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カーコラム「メルセデス・ベンツW201型190E2.3-16の思い出 Part.1」

 これはDTM(ドイツツーリングカー選手権)制覇の野望に燃えたメルセデス・ベンツが開発したスペシャルマシン・W201型190E2.3-16を11年落ちの中古で購入した好き者の回顧譚である。

 1996年の春の出来事だった。かねてよりの憧れだった190E2.3-16を衝動買いしてしまった。

 たまたま通りかかった大田区池上の中古屋で見つけたその個体は1986年式。ヤナセステッカーを貼った正真正銘の正規輸入車だった。

 しかもワンオーナー車。ボディカラーはブラックに近いガンメタリック、整備記録付きで走行距離は54000km。内外装ともにグッドコンディションで、コスワースチューンのエンジンも絶好調(のはず)。しかも整備記録簿付き。

 さらに、正規輸入物では極めてタマ数が少ない5速マニュアル車であった。因みに190E2.3-16のMTは1速の位置がH型シフトパタンの左下側にあるヒューランドタイプ(インターナショナルレーシングパタン)となっている。2速と3速、4速と5速が直線上に配置されるこのパタンは、走り屋には超便利なレイアウトである

 こりゃ買うしかないっしょ! 見た瞬間からほとんど一目惚れ状態。俺なにやってんだ? ふと我に帰った時には契約書にサイン捺印が終了していた。経費込み金200万円也のお買い物。もちろん男の60回ローンであることは言うまでもない。

 「1985年、86年当時には新車価格で800万近くしていたクルマだ。それが四分の一の値段で買えるのだから安いものではないか」その時は真剣にそう思っていた。

 それは10年落ちとは言え80年代の憧れを遂に手にした瞬間だった。

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