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カーコラム「NISSAN BNR32 SKYLINE GT-R 備忘録 Part.3」

 新型GT-Rのエンジンには、補機類に関しても最新のテクノロジーが惜げもなく投入された。そのひとつがエンジンのインテーク側に装着された6連スロットルチェンバーである。  

 6連スロットルチェンバーは、各気筒ごとにスロットルバルブが設けられており、高回転時の吸気抵抗を低減しながらも、低回転時のレスポンスがより確実になるというメリットを併せ持った優れ物である。

 通常のエンジンではコスト面から採用される事は極めて少ないシステムである。

 その構造は、ソレックスやウェーバーのツインチョーク・キャブレターのスロットルボディをトリプルにし、それにエアチャンバーが一体化されたようなものと言えば理解しやすいかもしれない。

 このシステムは少ない空気量での各スロットルのシンクロが難しいというデリケートな部分があるのため、採用にあたっては、スロットルリンケージのピロボール化やバランスチューブの採用といったメカニカル部分の精密化が図られた。

 エアフローメーターは、ホットワイヤー式だが、感知ワイヤーの汚れを防止するため、特殊コーティングが施された。

 燃料噴射及び点火時期の制御に関しては日産御自慢のECCSエンジン集中制御方式を採用。さらに、燃料噴射システムには各気筒間の空燃比の適正化を向上させるため、各気筒独立のシーケンシャルタイプが採用された。

 点火システムには、ハイテンションコードがないため電圧降下ロスの少ないNDIS(電子配電点火システム)と、10万キロまでメンテナンスフリーの白金プラグとが採用された。

 また、排気系はツインターボのために直径54mmの2-1タイプから直径70mmに束ねられ、プリマフラー、消音のために大型化されたプレスマフラーへと続くエグゾーストシステムが採用された。

 フロント・バンパーの内側開口部にレイアウトされた超大形のインタークーラーは、そのままレースでも使用可能ほど高性能なものが採用された。

 さらに、発熱量の多いターボエンジンの熱対策として、フロント・バンパーの開口部面積が異様に思えるほど大きく取られ、走行風による冷却効率を極限まで高める対策が施された。

 また、1.2Gという、当初の想定を遥かに超える旋回加速Gの状況下においても、オイルの片寄りによりエンジンの油膜切れが発生しないよう、三重構造のオイルパンバッフルや、フルカバータイプのストレーナーが採用され、可能な限りオイルパン下部からオイルを吸い上げる工夫が施された。


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