エッセー「三菱GTO 雪上試乗会の想い出」

参加型モータースポーツ専門誌Speed Mindの副編集長時代、北海道 美瑛町の白金温泉をベースに行われた三菱自動車と横浜ゴムの雪上合同試乗会で三菱GTOをドライブした。

 白金温泉のホテルパークヒルズに隣接する白金ゴルフ倶楽部(現在は閉鎖)に臨時で作られた圧雪路の特設コースで様々な三菱車をとっかえ引っ変えテストドライブした。その中で最も印象深かったのが総重量1.7トン、横幅1800mmオーバーのグラマラスな巨大を誇る三菱4WDスポーツの旗艦 GTOが、雪上で極めて安定した操縦安定性と、その巨体からは想像できないほど俊敏で素直なコーナリング特性を見せたことだった。

 これは、当時三菱が推し進めていた「オールホイールコントロール」コンセプトにより採用された4WDシステムと、高度な制御を行う電子デバイスとの相乗効果が有効に機能していたのが最も大きな要因と思われる。加えて総重量1.7トンというグラマラスな巨体も、低μ路での接地面圧を高めるのに有効な垂直荷重の増大に寄与しているのも要因のひとつとして挙げられるだろう。

 そしてなにより忘れてはならないのが横浜ゴムのスタッドレスタイヤ "ガーデックス"の存在である。装着されたニューイヤーモデルは、極低温でも硬化しないスペシャルコンパウンドのヴァージョンアップはもちろんのこと、サイプデザインの変更、タイヤそのもののケーシング構造の見直しといったきめ細かい改良が施され、前年モデルをはるかに凌ぐトラクション性能とブレーキ性能を見せつけた。

 ニューイヤーモデルのガーデックスが、GTOに限らずハイパワー4WDマシンから一般車両に至るまで、個々のマシンが秘めたポテンシャルをフルに引き出すのには最適且つ強力なウィンターウェポンであるということを実感した試乗会だった。

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