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Essay

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鳴海邦彦が思いつくままに、そして気ままに綴るフリーエッセー。
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2024年1月の記事一覧

再生

ショートエッセー 「コントロールする喜び Driftmob feat. BMW M235i」

 街なかや公共の場で、何の前触れもなくどこからともなく一人、また一人と人が現れ、突然ミュージックライブやダンスパフォーマンスが始まる。そして終演後は何事もなかったかのように各々が立ち去って行く。  フラッシュモブいわれるこのハプニングショーの手法を使い、ランナバウトのロータリーを舞台に5台のBMW M235iが大ドリフトショーを繰り広げる。  題してドリフトモブ(Driftmob)!  理屈でクルマは語れない、クルマは走ってなんぼ、コントロールしてなんぼ。  まさにBMWが提唱する " 駆け抜ける喜び " そのものの具現化である。  日本の自動車メーカーよ、悔しかったこんな洒落たインフォマーシャル作ってみろ。

ショートエッセー 「ポルシェに見る自動車メーカーのレゾンデートル」

 クルマは単なるプロダクトではない。  作って売ってなんぼの自動車会社は、単なる " 製造工場 " であって、決して自動車メーカーではない。  メーカー自身も顧客も共に熱くなれるエキサイティングなクルマ(マシン)を企画・開発し、それを製造・販売して顧客に深い感動と満足感を与え、その対価としての収益により自らの存続を維持する、それが自動車メーカーであり、自動車メーカーに働く者のマインドなのではなかろうか?  ポルシェというメーカーは、自らのレゾンデートル(存在意義)を熟知

ショートエッセー 「クルマ本来の機能を突き詰めれば、スポーツカーに行き着く」

 単なる移動手段としてではなく「運転そのものを楽しむ」ためのクルマ、「走る・止まる・曲がる」といった基本性能をハイレベルで満たしているクルマ。そんなクルマ本来の姿を遵守してつくられたクルマをあえて「スポーツカー」とよびたい。  テクノロジーの進化は、ドライバーから「運転を楽しむ」という要素を奪いつつある。単なる移動手段としてクルマを使うのならそれでもいいだろう。しかし、クルマを操縦し、運転そのものを楽しみたいというドライバーにとっては、なんとも寂しいことである。  どんな

ショートエッセー 「コンクエスト(征服者)の孤独」

マケドニアの若き王、アナトリアの大地に立てり。 複雑怪奇な結び目を解く者が世界の覇者になるとの伝説を持つ、ゴルディオン神殿の支柱と牛車を繋ぐ縄の結び目を断ち切ったアレキサンダーは、その後インド ガンジス河の辺りで、もう征服する大地がないと号泣した。 征服者は孤独なり。トップに立つ者もまた然り。 一流は孤独を愛し、二流は群れを愛す。 抜きん出た者どもよ、孤独を愛し孤高たれ!