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Essay

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鳴海邦彦が思いつくままに、そして気ままに綴るフリーエッセー。
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2021年3月の記事一覧

エッセー「神との付き合い方」

 神は決して与えない。奪うのみ。気まぐれで全てを与え、気まぐれでその全てを奪う。  神は人間の尺度でいうサディストではない。残酷なまでに無垢なのだ。まるで赤ん坊が笑いながら小さな昆虫をバラバラにするように、自らが創造した人間の一生を弄び、飽きればボロボロにして捨てる。  しかし、神にも弱みがある。それは自らの完全なるコピーである人間を作ってしまったこと。人間が自らのうちにある神性に気づき、覚醒した時、創造主である神をも超える存在となる。  それがわかっている神は、天使と

エッセー「Prayer(祈り)」

When I raise my flashing sword and my hand takes hold in judgement. I will take vengeance upon mine enemies. And I will repay those who haze me. O Lord, raise me to Thy right hand and count me among Thy saints. 光の剣振り下ろす時 我が手は審判を得る 我が敵に復讐を誓

エッセー「原作者スタン・リーが驚愕した"日本版スパイダーマン"、その人気が世界的規模で再燃中」

 1978年春から1979年春の毎週水曜日、19時30分~20時00分に東京12チャンネル(現在のテレビ東京)で放送されていた日本版スパイダーマン。  JAC(ジャパン・アクション・クラブ)の金田治と山岡淳二が手掛けた日本版独自のスパイダーアクションは、原作者であるスタン・リーをも驚愕させた。  その日本版スパイダーマンが、現在本家のアメリカをはじめ、全世界的規模で再び注目を集めており、コミック作品「スパイダーバース」にトランスフォームする巨大ロボット”レオパルドン"と共

エッセー「憧れのナルド」

 ドイツのニュルブルクリンクと並ぶスポーツカーの聖地である。  長靴の形をしたイタリア共和国の踵部分、プーリア州レッチェ県ナルド(Nardò)にある半径4km、一周12.5kmの完全な円形の超高速テストコース、ナルド・サーキット(Nardò Ring)。  幾多のスポーツカーが過酷な最高速耐久トライアルに挑んだ聖地ナルドを、いつの日か完璧なコンディションのメルセデス・ベンツ2.3-16で駆け抜けてみたい、それが晩年最後の夢である。

再生

エッセー「追悼 夭折の天才ラリードライバー " Henri Toivonen(ヘンリ・トイボネン)"」

1986年5月2日 ツール・ド・コルス レグ2 SS18 " コルテ・タベルナ " 。 開幕戦のモンテカルロを制し波に乗るランチャチームの若きエース、ヘンリ・トイボネンがドライブするランチャデルタS4が、スタートから7キロ地点の緩い左コーナーでコースオフし崖下に転落。 運悪く車体は炎上し、乗員2名が死亡するという大惨事となった。 ヘンリ・トイボネン、亨年30歳。 その早すぎる死を悼み合掌。

再生

エッセー「牧伸二と大正テレビ寄席」

小学生の頃、渋谷の東急文化会館(現在のヒカリエ)地下の東急ストア横にあった映画館「東急レックス」に牧 伸二が司会を務める "大正テレビ寄せ "(当時のNET、現在のテレビ朝日で毎週日曜日のお昼12時に放送されていた演芸番組)の収録をよく観にいった。 牧伸二のウクレレ漫談って、本当に面白い。 芸とユーモアで勝負できる芸人さんが絶えて久しい昨今、改めて牧伸二の偉大さがよくわかる。

エッセー「特殊部隊御用達の揺るがぬ信頼" WileyX SABER 300 シューティンググラス "」

 その昔、USAやヨーロッパの銃器メーカーの取材で、テストシュートする機会が多かったため、シューテインググラスに関しては一家言持っている。  シューティンググラスとの付き合いは長く、その昔はレイバンのシューターシリーズの最高峰である " レイバン・デコット " を愛用していた。  レイバン・デコットは、射撃の際にクリアーな視界を保ち、シューターの眼を守ることを目的に、1948年、ドクターデコット(Dr. Bud Decot)により開発された。  フレームの形状は、銃を構