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Essay

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鳴海邦彦が思いつくままに、そして気ままに綴るフリーエッセー。
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2020年11月の記事一覧

エッセー「ダーティー・ハリーの世界的大ヒットにより一躍その名を世界に知らしめた"S&W M29 44 MAGUNUM"」

 アラフィフ世代にとって ' S&W M29 44 MAGNUM ' は特別な思い入れがあるGUNではなかろうか。  1970年、巨匠ドン・シーゲルがメガホンをとった異色のポリスアクションムービー「ダーティー・ハリー」の大ヒットは、主役のハリー・キャラハンを演じたクリント・イーストウッドを一躍スターダムに押し上げたのみならず、当時はハンティング用として一部のマニアにしかその存在を知られていなかった" S&W M29 44 MAGNUM " をも全世界に広めることとなった。

エッセー「"All That Jazz”的昇天願望」

 人生の最期は華々しく逝きたい。ブロードウェイの天才演出家ボブ・フォッシーが監督した自伝的映画「オール・ザット・ジャズ」のエンディングの如く。  この映画の主人公ジョー・ギデオンはボブ・フォッシー自身のドッペルゲンガーであり、華々しいエンディングは彼自身の願望である。  すべての生物は誕生した瞬間から死への旅が始まる。換言すれば死ぬために生まれるのである。  人間の一生などたかだか100年、宇宙時間で計れば一瞬にもならない。  だからだこそ踊り、そして歌う。それが自ら

エッセー「草刈正雄とX30系チェイサー、そして朱里エイコの"SAMURAI NIPPON"」

 日本人の顔がまだ現在ほどバタ臭くなかった昭和40年代、男女を問わず憧れたのが「ハーフ」だった。  台頭してきたテレビにより、CM全盛の時代。登場するモデルはそのほとんどが西洋人とのハーフ。  その中でも群を抜く人気を誇り、まさにキング・オブ・ハーフとも呼べる存在だったのが草刈正雄であった。  当時の日本人には願ってもかなわなかった長身、足の長さ、そしてバタ臭いながらも甘いマスク。  テレビCMを席捲した草刈正雄は、日本一のイケメンとして瞬く間に日本中にその名を轟かせ

再生

エッセー「映画 " LORD of WAR " に見る戦争の現実と経済原理」

2005年公開のAndrew Niccol監督作品 " LORD of WAR "。  映画の冒頭、薬莢が散乱し建物から黒煙が立ち上る戦場に、場違いなダークスーツをまとい、ブリーフケースを持ったNicolas Cage演じる主人公の武器商人Yuri Orlovがタバコを吸いながらカメラに向かい語りかける。 There are over 550 million firearms in worldwide circulation. That's one firearm for every twelve people on the planet. The only question is: How do we arm the other eleven? (全世界で5億5000万発以上の銃器が流通している。地球上の12人に1つの銃器だ。 問題は残りの11人をどうやって武装させるかだ。)  そしてBGMが流れクレジットと共にイントロが始まる。旧ソ連の弾薬製造工場で製造された一発のAK47用の7.62mm弾が、出荷から搬送を経てエンドユーザーの手に渡り、アフリカの内戦で使用されて一人の人命を奪うのまでの行程を弾丸からの主観映像で追ったイントロは、発射された弾丸が一人の黒人の額に命中する直前で終わる。  地球上に人間が存在する限り戦争は永遠に続き無くなることはない。破壊と殺戮を生む武器を製造し、それをビジネスとして販売するのは国家である。そう国家は最大の武器商人なのである。そして、戦場において廃棄される膨大な数の銃器を含む武器をリサイクルし、再販するのがこの映画の主人公Yuri Orlovのような武器商人である。  イデオロギーや大義で戦争をする時代はとうの昔に終わっている。戦争は莫大な利益を生み出すシステムであり、そこには善も悪も存在しない。戦場はただひたすら営利を追い求めるためのビジネスフィールドなのである。  悲しいかな、それが現実。そしてそれを理解できなければ世界経済を理解することはできない。

エッセー「自転車ブームに潜む新たな危険」

 エコブームの影響もあり、近年チャリンコ(自転車)が大流行している。  街中には、ママちゃりからスポーツタイプまで、様々なタイプの自転車が走りまわっているが、自転車=エコ=善、クルマ=環境破壊&地球温暖化の現況=悪という大マスゴミの情報操作により、自転車の危険性及びネガティブな部分に関しては一切論じられていない。  クルマやバイクを運転するには当然ながら免許が必要だ。無免許運転は厳罰を受けることは周知の事実である。  しかしながら、自転車には免許が必要ない。つまり、交通

エッセー「怪談」

 その昔、新聞記者の友人に誘われ、新聞と雑誌の編集者の有志で熱海のとある旅館に泊まった時のお話。  今の草食系の連中とは違い、当時の新聞・雑誌の編集者の宴会と言えばそれはもう鯨飲は当たり前、そして徹夜麻雀も当たり前。  当然その時も夕方から始まった酒宴の後は麻雀大会と相成った。  宴もたけなわ、麻雀も盛り上がって来た午前1時頃、開け放した窓の外を芸者さんをおぼしき綺麗な着物を着た女性が横切った。  麻雀牌をかき混ぜていた一人が目があったらしく「こんばんは!お座敷ですか

エッセー「リスペクト藤田まこと " てなもんや三度笠 "」

 故藤田まことの出世作となった" てなもんや三度笠 " は真のエンタテインメントである。  藤田まことと言えば、中年以前の若年層は必殺シリーズの同心・中村主水のイメージしかないだろうが、我々VITAL世代にとってはなんといっても " てなもんや三度笠 " の主人公「あんかけの時次郎」。  こんな偉大な番組をリアルタイムで、しかも白黒テレビ時代から観れたVITAL世代は本当に幸せな世代だ。  藤田まことはすでに鬼籍に入ってしまったが、相方だった白木みのる("珍念"役)は未