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間違いだらけのチューニングテクニック

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元参加型モータースポーツ専門誌副編集長のモータージャーナリスト鳴海邦彦が、真のマシンチューニング、真のマシンセッティングを伝授する。
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#Tuning

マシンチューニングの基礎知識 LSD(Limited Slip Differential) チューニングテクニック② カム角によるセッティング

 クラッチプレート式LSDは、作動カム角というファクターがある。LSDの作動原理を把握するのは難解なものだが、このカム角によってもLSDはその特性が大きく変わる。

 クラッチプレートを押しつけるプレッシャーリングには、カム作用を行うための三角形の溝が切ってある。そしてプレッシャーリングは、ディファレンシャル機構を発生させるピニオンギヤを支えるピニオンシャフトをはさみ込む格好となっている。

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マシンチューニングの基礎知識 LSD(Limited Slip Differential) チューニングテクニック①/クラッチプレートのセッティング

 クラッチプレート式LSDに使用されているクラッチプレートは、LSDにとってまさに"命"ともいえる重要な存在である。なぜなら、LSD効果を発揮するのは、このクラッチプレートのおかげであり、またクラッチプレートをチューニングすることでイニシャルトルクも変えることができるからだ。

 クラッチプレートはドーナツ型をした金属製の円盤で、長期間使用していると摩耗してくる。摩耗するとプレート同士が滑りやすく

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マシンチューニングの基礎知識 LSD(Limited Slip Differential) LSDの取り出し・分解・チューニング・組み込み(分解編)

 ここではクラッチプレート式LSDをチューニングする、つまりイニシャルセッティングを変更する場合の、分解行程を解説する。

 ただし新品を組む場合、最近の作動トルク強化タイプ、具体的にはクスコ製のタイプRSなどは基本的には素組みの状態でも十分な効きを得られるよう出荷されているので、必ずしもイニシャルセッティングを変更しなければならない、というわけではない。その点を誤解しないようにしたい。もちろん、

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マシンチューニングの基礎知識 LSD(Limited Slip Differential) LSDの取り出し・分解・チューニング・組み込み(取り出し編)

 LSDを組み込む場合、あるいはオーバーホールする際は、LSDを取り出さなければならない。リヤLSDならリヤデフに組み込まれているし、フロントおよびセンターLSDならミッションの中だ。したがって、リヤデフやミッションを降ろす作業が必要になってくる。意外に大変な作業なので、セッティングはきっちり行い、何度も降ろすハメにならないようにしたいものである。

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マシンチューニングの基礎知識 LSD(Limited Slip Differential)の種類について

 一口にLSDといってもさまざまな種類が存在するが、大別すると「トルク感応型」と「回転差感応型」に分けられる。

 前者のトルク感応型とは、アクセルオンによってLSDが作動するタイプを指す。最も一般的なクラッチプレート式はトルク感応型である。

 トルク感応型LSDには、このほか、最近純正採用されるようになってきたヘリカルLSDやトルセンLSDもあり、これらのLSDは機械式LSDと呼ぶ。

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マシンチューニングの基礎知識 LSD(Limited Slip Differential)の役割

 クルマを駆動する両輪が地面に接した状態であれば、ディファレンシャルギヤは都合のよい機構だ。しかし、モータースポーツなどで、駆動輪の片側が浮き上がるような走行状態になると、ディファレンシャルギヤの働きによってクルマの挙動が乱れ、危険な情況に至ることがある。また、スリップしやすい悪路や雪道を走行するときにディファレンシャルギヤが作動すると地面との抵抗が少ない側の駆動輪が空転し、立ち往生するような情況

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