別府温泉コロナ考

 初老薬剤師は、別府温泉大好き爺さんです。
 別府八湯と呼ばれるように、日本最大規模の様々な泉源が集積する別府は、様々な種類の温泉を巡ることができる、温泉好きには楽園であります。

 その別府温泉が、数年前から韓国からの観光客で溢れはじめ、ホテルや浴場、別府地獄などの観光地にハングル文字が目立つようになりました。

 それが突然、文在寅大統領が主導する韓国の反日運動が激しくなり、日本への観光客が激減。もちろん別府もその影響を受けました。
 ところが、その韓国観光客激減分以上に中国観光客の皆さんが押し寄せてきたため、ハングル文字に並んで、中国簡体文字が表記されるようになりました。

 中国からの日本ツアーの皆さんがあれほど来客していたので、今回の新型コロナ感染症が観光客の消えた別府市に蔓延するやもしれない。これは、多くの関係者の皆さんが持った不安であったはずです。

 しかし、小生は確信を持っておりました。

 別府は大丈夫!

 まず、別府の温泉は大きくふたつの形態があります。
 ひとつは、旅館や家族風呂に見られる、室内温泉浴場。
 この中は、温泉成分豊かな蒸気に満たされています。
 インフルエンザウイルスもそうなんですが、湿度が高い環境、とくに飽和水蒸気状態の室内温泉は感染力が不活性となります。

 ふたつめは、風通し抜群の露天風呂。

 そして、ゆったりと温泉を楽しむとき、人々は浴槽で手足をゆっくりと伸ばしてくつろぎますが、その際に「向かい合った近距離」の状況にはなりません。

 さらに、清潔好きな日本人は、シャンプーや石鹸で体を洗います。プローブ型(ウイルス本体の周りに、外套状の膜構造を持つもの)に属するインフルエンザやコロナウイルスは、油膜を分解する界面活性剤(洗剤や石鹸)で活性を失うことが知られています。

 別府温泉の売りは、湯量豊富な日本一の湧出量で、循環方式でなくかけ流し。浴槽内のお湯は常に新鮮に保たれる「かけ流し」が主流であります。

 さらに、ゆったりと湯船につかることで、天然の蒸気吸入をしている状況になり、呼吸器環境は乾燥の季節も快適なのであります。

 一番気を付けるべきは、団体旅行で訪れた場合の、宴会であります。

 日本式の宴会は、座敷にお膳が配置され、隣同士に並ぶけれど、向かいの人は離れており、その離れた空間がお酒や料理を逐次運び込むスペースになっているのです。

 最近、バイキング方式で、席もイスとテーブル(ファミレス仕様)が多く、対面の人が近くなっているのが注意点。

 一度に大勢の食事客をさばくためには、セルフビュッフェ方式と効率よく詰め込み、できた順番に料理やお酒を運ぶスペースもいらず、セルフでスタッフも省力化できるため、この方式がメインになった経緯があります。

 好きなものを、好きなだけ、バラエティーに富んだ料理を味わえるということで、若い世代を中心に定着したバイキング方式でありますが、アフターコロナの別府新時代は、ここに改善点がありそうです。

 昔ながらの、料亭方式の宴会は、できたものをできたての状態で運び、食べた食器を下げて、そのスペースに新しい料理を置くという、配膳の手間がかかります。
 さらに、バイキング方式では、大皿への魅力的な盛り付けは考えられていますが、それぞれのお膳に並ぶ個々の食器になされる個別の盛り付けが省略されています。ここは、調理場の手間も、大きく違います。
 ビュッフェ方式は、個別の盛り付けは、客さんに託しますもんね。

 基本的に、食事をする際はマスクを付けません。大規模スペースに、様々な大勢のお客さんが集まり、料理を採りに行くスタイルでは、料理を採りに行くときはマスク着用でを基本にすること。
 個人ごとの取り箸、トングを用意し、不特定多数の人が取り箸やトングの柄の部分を触るという状況を作らないこと。

 こうなると、どこまで厳密に対応するかが課題です。

 そもそも、ビュッフェ方式の大皿から取り分ける時に、咳き込んだ時、飛沫が料理全体にかかることを避ける工夫はとても難しい課題です。

 手間暇かけて、おいしい料理を提供する、そして席は空間が維持されている、自分が咳き込んでも、自分の料理にしか飛沫が飛ばない。そんな贅沢なサービスは、場所と人とかける時間が増えることで、利用料金は跳ね上がります。

 ガラスで覆いをしたオープン・ショーケースのようなもので、料理を守るという、小さな投資で改善できる方法が必要になりますなぁ。

 ビフォーコロナとアフターコロナでは、全く同じように元に戻れない社会様式が数多く存在します。それをサービスの提供者側が、いかに短期間に整備し、さらに、利用者側が理解し、慣れ親しむか。別府温泉だけでなく、私たちの身の回りに数多く存在する改善ポイント対応こそ、コロナ恐慌を起こさずに、V字回復させることができるかの要諦ではないでしょうか。




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