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子連れ海外旅行は親のエゴかもしれないけれど、後からつながることもある

趣味は旅行

趣味は何かと聞かれたら、何の捻りもないですが、「旅行」と答えます。
よく考えたら、聞かれるような機会もあまりないですが…
旅行が好きだから、という理由で、新卒で旅行会社に就職したくらいです。

しかし、社会人1年目、「好きなこと」と「好きなことを仕事にしていくこと」との違いを痛感することとなりました。そして、具体的な会社名は伏せますが、体質の古さやセクハラに辟易して1年で辞めてしまうことになります。
話が逸れてしまいましたが、旅行は以降、趣味として自分が全力で楽しむもの、これがあるから日常がんばることができる、という生きがいになっています。

ヨーロッパの歴史ある街並みや雄大な自然が好きで、20代の頃は毎年のように渡欧していましたが、結婚し、子どもを持ち、しばらく海外旅行から遠ざかっていました。
1歳10か月差の2児の怒涛のワンオペ育児は熾烈を極め、大好きな旅行だったのにそれどころではなかった、というのが本音です。

下の子どもが2歳となり、ようやく「海外旅行に行きたい!」という気持ちが芽生えるようになりました。子どもと少しずつ意思疎通ができるようになるにつれ、自分の中で、少しだけ育児が楽になってきた、自分の楽しみにも目を向けられるようになってきた、ということなのだと思います。

4歳、2歳を連れてシンガポールで年越ししたのを皮切りに、ハワイやグアムといった定番から、アイスランドなど日本人があまり訪れないところまで、10歳、8歳までの6年間で10回ほど家族で海外旅行に行きました。
そして、その後コロナの世の中へ。

子連れ海外旅行は親のエゴか?

子連れで海外旅行というと、まだまだ「記憶にも残らないのに、親が行きたいだけ、親のエゴでしょ?」「長時間のフライトなんて子どもがかわいそう」というような風潮があるように感じます。
エゴは、辞書を引くといくつか意味がありますが、ここではエゴイズムの略「自分の利益を中心に考えて、他人の利益は考えない思考や行動の様式」を指しますね。

エゴでしょ、と言われたらエゴですよね。反論のしようがございません。海外旅行に行きたいのは私だし、幼い子どもたちが「ハワイに行きたい」と言うわけありません。
でもですね、私が人生で何よりも楽しみにしている海外旅行、エゴだっていいじゃないか!来る日も来る日も、仕事に育児に家事にがんばっているんだ!そのくらいの楽しみがないとやってられねぇ!

海外旅行の楽しみって人それぞれ、色々あると思うのですが、私の場合は、ずばり「Awe(オウ)体験」です。
Awe体験とは、大自然や宇宙の広大さ、悠久さに心を打たれ、鳥肌が立つくらいの感動をしている状態をいいます。

ハワイ島で満天の星空を見上げながら、オーストラリアの無人島の透明な海で熱帯魚と泳ぎながら、ローマのフォロロマーノで紀元前に思いを馳せながら、大きな地球に存在するちっぽけな自分を感じるという感覚!これに、よだれが垂れるほど高揚するのです。わかっていただけますでしょうか…。
私は、この感覚を味わいたくて旅行に行きます。そして、この高揚感を一緒に体験したい・・・!!これが子どもたちと海外に行きたい理由です。
Awe体験をすると、脳が非常に活性化して、脳の潜在パワーが引き出されるということも分かってきていますので、無駄ではない、と思うのですが。

しかし、子どもにそんなん分かるかー!って話ですよね、はい。やっぱりエゴですな。
しかし、これには続きがあるのです。

エゴの続き

長女はその後、小3の2月から中学受験のため、泣く子も黙る(?)大手中学受験塾SAPIXに通い始めたのですが(現在は中学3年生)、ここで意外なことが。

「ママ、私、オーストラリアに行ったことあるよね?カモノハシ見たよね?」
カモノハシはオーストラリアのみに生息するくちばしを持つ哺乳類で、哺乳類にもかかわらず卵を産むという稀有な繁殖形態を持っています。
長女がまだ保育園児の頃だったと思いますが、たしかに、オーストラリアでカモノハシやそのほか野生の動物を探しに行くツアーに参加し、息を殺してカモノハシを見たのです。(野生のカモノハシは貴重で、驚かせてはいけないのです)
理科の生物の授業でカモノハシが出てきたそうで、その時、長女は「あっ!!」と思ったようです。あの時カモノハシを見守った経験と、塾の授業で机上で得た知識とが、ピッタリ重なった瞬間でした。

そして、中学生となった後はこんなことも。世界地理を学び始めた長女。
「ママ、私、アイスランドに行ったことあるよね?授業でギャオって習ったんだけど、ここ行ったことあるよね?」
ギャオは地球の割れ目、アイスランドには、ユーラシアプレートと北米プレートの境目が露出している場所を歩くことができる、ものすごく貴重なスポットがあります。ふつう、ギャオは深い海底にあり、陸地で見られるところは地球上に2カ所しかありません。

私たち夫婦がここに行ってみたくて、長女が小1のときに訪れていました。成田→コペンハーゲン→レイキャビクという長旅で、当時、「地球の歩き方」さえ発売されておらず、日本人は皆無。
その時は、ただギャオを走り回っていた子どもたちでしたが、数年経って、こちらも実体験と知識が重なった瞬間でした。

意味があるのかどうかなんてその時はわからない

時を経て、
自分が訪れたのがどんな場所だったのか、自分が見たもの、体験したことは何だったのか、
意図せずに腹落ちするというこのなんともいえないおもしろさ、これこそ人生!と思うのです。
なぜなら、今のこの行動に意味があるのかどうかわからない、なんてことは往々にしてあるもので。
意味があるのかどうか意識しながら行動しているわけでもないし、意味がある行動をしているからその行動が正しいなんてこともないし、意味がない行動が実はとんでもない意味をはらんでいた、なんていうこともあるでしょう。

だから、海外旅行だって他のことだって、意味があるのか意味がないのか、正しいか正しくないかなんて、そんなつまらないジャッジで決めつけない方がいいと思うのです。
その時の好奇心を大切にして、やりたいことをやっていく、それで十分なのではないでしょうか。

親がエゴで連れて行った海外旅行という点が、子ども自身の学びや好奇心によって線となってつながっていくかもしれません。つながらないかもしれませんが、それは結果論。
私は、その時の自分の気持ちを丁寧に拾っていくような生き方をしていきたいし、子どもたちにもそんな生き方をしてほしいなと思います。

そして現在

しかし、コロナが終わってまた海外旅行に気兼ねなく行けるようになったと思ったら、この円安に加えて、コロナ前は大人2名+子ども2名だった旅行代金が、大人4名になっていました、とほほ。
さらに、子どもたちは部活動なども忙しく、家族旅行の予定がなかなか立てられないように。
たくさん行っておいて良かったな、と思いますし、今のところ、子供たちは海外旅行の経験を前向きに捉えてくれています。

プライスレスな体験は何事にも代えがたいです。
今は旅育なんていって、旅行も学びの一環みたいな風潮もありますが、そうやって意味づけせずに、楽しそう!やってみたい!の気持ちだけでいいんじゃないかな、と思います。
後からつながることもあるし、つながらないこともある、正直それはどちらでも良くて、とりあえず私は、家族でAwe体験をしたかったし、旅行に行けば、そのあとは思い出で日常をがんばれるから行っていた、それでいいのです。

ずっと先の将来、子どもたちも家族を持つようになって、自分の家族で旅行に行くことに価値を見出してくれていたらうれしいです。

さーて、年末年始はどこに行こうかな?




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