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自分らしく自分の使命を感じながら生きていく

10年ほど前、がんを専門とする医療機関の医師、看護師、薬剤師がチームとなって学ぶセミナーに参加したことがあった。

がんサバイバーというよりスポンサー候補の製薬会社の立場でオブザーバー参加した。

参加者はいくつかのチームに分かれて、初日はレクチャーやディスカッションを行っていた。私はチームには加わることなく外側から眺めていた。

その夜のパーティーで事件が起きた。

残り2日間で取り組むチームのテーマがくじ引きで決められた。

私が帯同していたチームが「サバイバーシップ」というテーマをくじ引きで引いたことにより状況が変わった。

チーム内で戸惑いが起きた。

「サバイバーシップって???」「どうしよう・・・」

僕がサバイバーだと知っていたタスクたちが僕に相談を持ち掛けた。
「明日10分間ほどでサバイバーシップについて話して欲しい」

翌日、オブザーバーとして傍観していた人物が、突然、がんサバイバーとしてスポットライトを浴びた。そして、がん告知後の患者の想いを語った。米国MDアンダーソンのスタッフもいたため通訳してもらいながら。

家族への想い、仕事や治療費、そして、生きがいの喪失など感情を込めて丁寧に伝えた。

わずか10分。

それでも気がつくと周りのメンバーが全員泣いていた。海外スタッフも・・・

そして、何より嬉しかったことは、この後、がんサバイバーがチームに加わったことだった。

最終日、チームのプレゼンテーションも終わり帰り支度をしていると、ひとりの医師が近寄って来た。

『久田さんのプレゼンは僕の医師人生に大きな影響を与えてくれました。医師としての原点に立ち戻ることができました』。

がん患者と毎日接している専門医にわずか10分間の話で大きな影響を与えたことに衝撃を感じた。

がん治療のプロでもがん患者に対するプロではない。

この言葉から自分の使命を感じた。

『サバイバー仲間のために医療者にもっと伝えなければ』

この医師の言葉こそ、医療者に向けて講演活動する原点となっている。この言葉があるからこそ専門医に対しても迷いなく力強く語ることが出来ている。

翌年からこの研修会にはがんサバイバーが招かれ、その声に全員が耳を傾けるようになったと聞いている。

あのくじ引きは偶然ではなかった。
何か不思議な力が働いたと受け止めている。

僕の生き方に天が応援してくれた気がする。

今後も自分らしく自分の使命を感じながら生きていく。

しあわせです❤️感謝




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