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5.ボクとカレーvol.2 -彼との出会い-

「カレーのことが好き」と一言で言っても、人それぞれ愛の形は違うように、カレーとの関係性には色々あると思う。

食べるのが好き
作るのが好き
研究するのが好き
人に語るのが好き
集めるのが好き
眺めるのが好き
嗅ぐのが好き
付け合わせが好き

ざっと書き出しただけでもこれだけある。
僕の友人にバーテンダーなのにお酒が飲めないやつがいる。
飲むのは得意じゃないが「作るのが好き」なタイプだ。

さらに解釈を広げるとこんな人もいるかもしれない。

カレー屋さんの雰囲気が好き
カレー屋探しの旅歩きが好き
カレーを作るあの子が好き

とかも入れれば、誰もがどれか一つには当てはまるのではないだろうか。
僕は言うまでもなく上記全てに漏れなく当てはまる。

何故こんなにもどっぷりハマってしまったのか。
今回はそんなカレーとの出会いを書いてみようと思う。


と言ったものの、これだけカレーカレーと言っているので年季が入った生粋のカレーオタクだと思われがちだが、幼い頃の僕はカレーに対して全く思い入れが無かった。
いや、正確にいうとむしろ「嫌い」に近いかもしれない。

小学校の給食でカレーが出てテンションが上がる同級生が本当に信じられなかったし、とてつもない彼の人気に反発して「ふん、カレーなんて幼稚な食べ物だ」なんて思って、毛嫌いしていた。
天邪鬼な性格はその頃からだ。

勿論、家でもカレーは頻繁に出てきた。
さも「さぁ、これでテンション上がれ」と言わんばかりに。
僕の実家ではカレーが出てくる時は決まって両親共に家にいない時で「夜になったら温めて食べてね」というフレーズとセットの料理だった。
それは寂しいとかセンチメンタルなものではなく、なんとなく

カレー=手抜き料理

という気がしていたのだ。
そんな記憶だから味はあまり覚えていない。
肉は挽き肉を使っていて、キーマ風だったのを今思い出した。


時は流れ、なんやかんやあって(本当になんやかんやあったので別の機会に書くことにする)大学進学を機に僕は神戸の実家を出て上京することになった。
念願の一人暮らしがスタートした。

同時に、一般的な大学生の例に漏れず、自炊を始めることになった。
それまで実家でヌクヌクと生きてきて、唯一の料理が炊飯だった自分が、である。
お金は無いのに食欲が今の3倍あったから自炊しか選択肢が無かったのだ。
(さっきはカレーの記憶など無いなんて言ってお母さんごめんなさい)

確か生まれて初めての自炊料理はゴーヤチャンプルーだったな。
4月にゴーヤチャンプルなんて...と思うかもしれないが、当時は相場を知らないから旬が外れて高いゴーヤを違和感無く買ってたり、スーパーの人に「ゴーヤチャンプルーを作りたいんですけど豆腐ってどれを買えば良いですか?」とか謎の質問もしてたな。
かわいいね。

それから毎日のように自炊をし、簡単な食事くらいならササっと作れるようになった頃。
僕は彼に出会った。


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当時の僕はびっくりするするほどお金が無かった。
それもそのはず、大学の授業を真面目に受けて課題をこなしバイトをする時間も取れないのに、少しでも時間が空いたら飲んだり遊んだり、念願のキャンパスライフを謳歌していたからだ。
だから、一人家で食べる食事なんて「安い(お金が無い)」「早い(早く遊びたい)」「多い(食欲旺盛)」が揃ってれば何でも良かった。
今なら牛丼チェーンにでも行けば解決するが、そんなお店に毎日行くほどのお金は勿論無い。

そんな中、彼と出会ったのは家の近くの「業務スーパー」だった。
一目惚れだった。
それは彼の見た目や声が良かったとかいうわけではなく、ましてや「カレー」というフレーズに心が躍ったわけでもない。


圧倒的にコスパが良かったからである。

確か1皿20円くらいでカレーが作れた計算だった気がする。
当時食事にかれられる1日の予算が300円くらいだったから、余裕でクリア。
しかも僕の中では「カレー=手抜き料理」だから、自分で簡単にすぐ作れそうだ。
逆に何故今までカレーという選択肢を思い浮かばなかったのだろう。
それくらい興味が無かったんだな。

でも、たった今僕は最強のパートナーに出会った!!
そんなことを考えながら、ウキウキしながら家に帰った。






不味い!やっぱり嫌い!!!

これが僕と彼との出会いである。


今日のカレー:神保町「共栄堂」さん

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