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「行ってらっしゃい」は仕事のバロメーター

社長はケーキを盛りつけるときや、テイクアウト用に箱詰めするときに念を込めているらしい。


一方の僕は、コーヒーを淹れるときに「おいしくなってください」と念じている。(藤岡弘、のように声に出してはいないが)

コーヒー豆のときは「行ってらっしゃい」と思いながらお客さんに手渡す。


お店のオープン時からそうだったかというと、決してそうでもない。

仕事の仕方に対する経験はあるものの、自分たちでお店をやる経験は皆無だったものだから、どこか焦りや不安といった感情がつきまとう。

心の余裕がある日とそうでない日の差は結構あったかもしれない。


念を込めるといっても、だからといって提供するものの味が変わるわけではない。(もちろん、提供するものの品質は一定以上のものだが)

ただ、心の余裕がなければ、そもそもそんなことを考える隙間はない。

正直なところ、以前勤めていたお店では、お客さんを待たせないこと(大事なことだが)が第一になっていたので、とても「行ってらっしゃい」と思う余裕はなかった。


くれぐれもスピリチュアル的な話ではないが、念を込められる(心の余裕がある)かどうかは仕事のクオリティにも直結しているように思う。

焦ってお湯を注いでも速くコーヒーを提供できるかもしれないが、いつもと同じ味にはならない。

焦って盛りつけても速くケーキを提供できるかもしれないが、美味しそうには見えない。(社長は盛りつけに厳しい…)


「行ってらっしゃい」と(心の中で)言えるかどうかは、良い仕事ができているときのバロメーター。

ただし、うっかり声に出していても、聞こえなかったことにしてほしい。


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