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【#一日一題 木曜更新】 かもしれない

山陽新聞の「一日一題」が大好きな岡山在住の人間が、勝手に自分の「一日一題」を新聞と同様800字程度で書き、週に1度木曜日に更新します。ほらいつか岡山在住ライターとして一日一題から依頼が来るかもしれないし……し…? 

    娘が「うわぁぁぁぁぁぁ」と嘆いていている。

   
    先日、娘の学校に英語専門の実習生がきた。教育実習生の年齢は大抵20歳前後。児童や生徒と年が近く、そのせいか子どもたちからコミュニケーション代わりの無邪気な質問たくさん受ける。「好きな食べ物はなんですか」「趣味はありますか」ならかわいいもので、「彼女はいますか」「彼氏はいますか」という、対大人なら面倒な質問も飛び出してくる。この不躾な質問は教育実習生への定番で、中高生相手の実習ともなると必ずと言っていいほど初日に聞かれるものらしい。

    実習生のフィリピン人の彼女はとてもかわいらしくて、休み時間は女子生徒に囲まれておしゃべりを楽しんでいた。生徒からの矢継ぎ早の質問の中には、当然のようにくだんの定番質問もあり、実習生の彼女は穏やかに英語で答えたという。

    「彼氏いるの?って全クラスで聞かれたんだって。答え飽きたって言ってた」とむすめが楽しそうに話す。私はふと、何の気なしに「彼氏じゃなく、彼女かもしれないよ」とむすめに言った。実習の先生のパートナーは男性ではなく女性かもしれない。もっと言うと、恋や愛にまつわるパートナーを不要とする人かもしれない。娘は一瞬きょとんとして冒頭のように嘆いた。

    「考えたこともなかったなあ…」
   
    普段のむすめは、現代っ子らしく「性」の幅広さを認識し、色んな人がいるよねというスタンスでいる。今の高校生の性への考え方は私の時代に比べたらとてもフラットで、友人が男の子を好きだろうが女の子を好きだろうが、さらに性自認がなんであろうが、さほど気にしていないようにも見える。

    そんな彼女たちでも、やはり目新しい存在の若い女性には当たり前のように「彼氏はいるの」と聞いてしまう。年頃の女性には彼氏がいるのだと決めつけてしまう。

    「あああーー、なんか、当たり前に聞いちゃってたよ。恋人はいるの?とかパートナーはいるの?ならいいかなあ」
 
   どうしても聞きたいのね。うん、それなら、まあいいんじゃない。


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