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師匠のうそつき。あれほどものごとは並列にって【500字コラム】

「喜びも、悲しみも、句読点のない感情も」

Apple Musicが歌詞を出してくれるので、Official髭男dismの「I LOVE…」に見入っていたところ、前述の歌詞に目が止まりました。

いい歌詞ですね。この場合「句読点のない感情」は、とめどなくあふれる抑揚した歓喜なのか、それとも絶望の果ての流れ出る感傷なのか。そんな余韻が聞き手に残されているところもくすぐられます。ああ、良き。


昔々その昔、師匠に口酸っぱく言われたのは「物事は並列に」ということ。何かを並べて書く時、特に比較の記述では不文律。例えば「牛肉も豚肉も、魚も好き」と並べると仲間外れは魚で、この場合、サンマや鮭が出てこなくては並列になりません。文脈によっては問題ない場合もありますが、社会的な出来事を取り上げるときは土俵が違うものを比較しても、文章に説得力が生まれないのです。

「喜びも、悲しみも、句読点のない感情も」

指摘するなら、「句読点のない感情」はもっと具体的な「怒り」や「寂しさ」のような言葉でないといけないわけです。

しかし、小説やエッセイではそんなこと関係ありませんね。振り切れた書き手が選び取る言葉には、垂直だろう交差だろうと力がある。反対に覚悟がないままやると、さらにふんわりぐにゃぐにゃした文章になるので困ったもの。本当に文章ってのはセンスで、難しいなと思う今日この頃です。

ましてや音楽も一緒に楽しむ前提の歌詞なら、そんなハナクソみたいな不文律は関係ありません。グッとさせたもん勝ち! ワードセンス抜群のさとっちゃんの勝利! ありがとうさとっちゃん! あなたの歌詞、これから全部読みますからね!





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