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【一日一題 木曜更新】わかった上で、つかってる

山陽新聞の「一日一題」が大好きな岡山在住の人間が、勝手に自分の「一日一題」を新聞と同様800字以内で書き、週に1度木曜日に更新します。ほらいつか岡山在住ライターとして一日一題から依頼が来るかもしれないし……し…?

ちょんちょんちょんと施術者が指で頭に触る。施術後は、ブロックというものが外れて気持ちがラクになり、さらにこだわりから解き放たれると、ものごとが好転するようになるらしい。へえと好奇心で受けてみたけれど、やっぱり何も感じなかった。それでも未経験者から体験者になれたのだ。最初からわかっていたはず、それにこれを必要としている人もいるのだから、これはこれでよしとしよう。

鏡に映る自分は自分じゃないと、若い頃、よく考えてみれば当たり前のそんな話が、いやに哲学的に聞こえて目から鱗が落ちた。アラフィフになった今は、逆に映るとかそういう単純な話ではなく、鏡に映る自分は人にどう見られたいかを準備している顔だと気が付いている。スーパーマーケット店内にある鏡にふいに映る無防備な自分がリアルに近いと、わかった上で今日も私は鏡の前に立ってアイラインを引く。

「寂しくて他人の年賀状を盗んで読んでいた男性が捕まった」という小さな新聞記事を思わずSNSでツイートしたくなったけど、新聞記事は思いがけずインプレッションが伸びるので指を止めた。盗っ人つまりは犯罪者になってしまった人の事件記事、けれどそこまでしなくては埋められなかった寂しさの状況は新聞には書かれていない。果たして新聞には体裁と忖度があるのかないのか。真実は、情報は、コレだけではないのだぞと、それを知った上で読む毎朝の新聞の有難さ。

SNSのタイムラインは情報のほんの一部で、情報が偏って見えるのは、自ら選び取っているものが偏っているから。誰かがお勧めしていた本が、有名なあの人がお勧めしていた本だと知ったときの興ざめたるや。遡るとこの人の発言は全てが有名なあの人の影響で、ファンの強さと滑稽さに鼻白んだものの、その傾倒の姿勢が実はとても羨ましい。そんな自分を発見するのもまたSNSの面白さと苛立たしさ。そして知る。そんな傾倒して見える発信すら彼らのほんの一部分でしかないのだと。

見えているものは世界のほんの一部。それを知った上で使うツールの楽しさに、私は今日も振り回される。

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