【アーカイブ】功夫映画アクターズ・ファイル① 日本初放送40周年!!『ドラゴンカンフー・龍虎八拳』
『ドラゴンカンフー・龍虎八拳』(原題:小子命大/The Avenging Boxer、79年)が日本のテレビで初放送されたのは、1983年3月26日のフジテレビ系「ゴールデン洋画劇場」。その時期は当時"中国武術の至宝"と称せられたリー・リンチェイ(後のジェット・リー)の初主演作『少林寺』(82年)が、日本でも大ヒット。一方ではジャッキー・チェン(成龍)監督兼主演の『プロジェクトA』(83年)の完成が今かと待ち望まれ、その間に『蛇鶴八拳』(78年)などの旧作が公開され、79年の『ドランクモンキー酔拳』(78年)公開以降、静かに灯され続けてきた"第2次カンフー映画ブーム"の機運が、一気に盛り上がろうとしていた時期でした。後年この作品は1996年に日本未公開のカンフー映画としては初めてDVD化されました。
この映画では、悪役を演じたカサノバ・ウォン(カー・サ・ファ=卡薩・伐、下画像の左側)が凄まじい蹴り技で圧倒的な存在感を残したために、彼に立ち向かうピーター・チェン(張繼龍)とリー・ロー・リン(李陸齡)の男女コンビが、完全に霞んでしまっていました。
彼らがカサノバと死闘を展開する穀物倉庫のセットはジミー・ウォング(王羽)が監督と主演を兼ねた怪作『神拳大戰快鎗手/Return of the Chinese Boxer』(77年、未公開)で使われたのと同じで、まぁこの映画も結局そういうルートで制作されたのだなということが察せられます(苦笑)
ピーター・チェン(張繼龍)は、台湾の京劇学校を卒業後、1970年代後半から現地のカンフー映画に出演し始め、79年には『少林の鉄爪・鷹拳』(ビデオのみ)で、武術指導を担当します。年齢的にもジャッキーらとそう変わらないのでしょう。そして『龍虎八拳』で念願の初主演。アクロバットや体技には優れていましたが、パッとしないルックスと小柄な体躯が災いしたか、その後は助演がメインとなっていきました。それでも1990年代までは台湾でアクション映画やTVドラマに出ていたことが確認できます。
その後俳優としては表舞台から姿を消していましたが、実は監督に転身。21世紀には中国大陸へ招かれ、TVドラマの演出を手がけています。下の画像は2009年に大陸で「不想長高的孩子/Staying Short」(未公開)という児童映画を手がけた時のメイキングスナップ。かなり日焼けはしていますが、キャップからのぞく人懐こい笑顔とマッチョな二の腕に、『龍虎八拳』の面影が残っています。
一方、ピーターと組んでカサノバに挑んでいったリー・ロー・リン(李陸齡)は、1955年2月9日台湾生まれ。身長162cmのO型。國立陸光戯劇学校の第一期生から芸能界入り。アクションをこなせる新進女優として一時は本名をアレンジした"華玲"という名でも活躍していました。残念ながら日本では無名ですが、現地ではTVドラマや映画に多数出演する女流スターとして評価されており、ネットで検索するとTVドラマ出演時のスナップが多数挙がってきます。ピーター・チェンとは前述の『少林の鉄爪・鷹拳』でも顔を合わせていますが、役者としての位置は主演のピーターよりは上だったようです。
下記の動画は、アメリカのエミー賞にあたる第21回台湾金鐘獎授賞式で李陸齡がプレゼンターのひとりとしてスピーチを行った際の貴重な映像です。手前にいるのが李陸齡です。
※本稿は、2011年11月に寄稿した旧外部ブログの内容に加筆・修正を加えたものです。
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