ドラゴンのちんちんを見に行く話
これは逆噴射小説大賞に応募しようと思ったけどボツにしたものです。
「メリル。前方には誰もいない」
「OK。全員、前進よ」
ここまでは滞りなく進むことが出来た。警備の巡回のタイミングは把握済みとはいえ、僥倖だ。
私たちは草をかき分け多摩川を遡上する。先陣を切るのは葉子。流石はクラス委員、度胸とリーダーシップがある。
「もう少しで昭和公園だ」
殿のシュヴァルツが息を切らせる。
そう、もうすぐだ。もうすぐ、龍の巣へと辿り着く。
◆
「昨日SNSで画像回されてたやつ見た?」
「アレでしょ、サイのちんちん。すごいねアレ」
東京都立立川第二中学、二年三組。花の女子中学生たる私たちは、いまだ見たことのない男性器に興味津々であり、今日も未知なソレへ熱い想いを馳せていた。
「ねぇ」
そんな中、唐突にシュヴァルツが切り出した。
「龍のちんちんってどうなってるのかな」
龍。サラマンダーやバジリスクといった分家ではない本物の。
魔界の扉が開いてから30年。魔力の影響を受けた生物は数多く発生しているが、魔界の生物そのものを見ることは少ない。
魔界の扉が開き地球にやってきた龍はたったの3匹。
数千年を生き、高い知能と魔力を持つ、不可侵の存在。
その一匹は、私たちの住む立川からすぐ近くの東京都昭島市に巣を構えている。
「やっぱり、身体が大きいからちんちんもサイみたいに凶悪なのかな───見たくは、ない?」
シュヴァルツの目は本気であった。
正直、興味はある。だけど危険すぎる。
何しろ世界でも3匹しかいないのだ。国連の魔界生物対策部によって厳重に警備されている。そもそも龍そのものが他の魔界生物とは比べ物にならないぐらい危険だと言われている。
「巫山戯ないで!!!!」
葉子が机を叩く。
さすがはクラス委員、葉子が怒るのも最もだ。そんな下らない事をする意味なんて───
「龍神サマのちんちんをサイと一緒にするなんて! 龍神サマのちんちんはもっとカッコよくて素敵に決まってるじゃない!!」
葉子は、夢女子だった。
【続かない】
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