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ご当地落語 芦ノ牧温泉滞在記 2日目&3日目

(前回までのあらすじ)
前代未聞の落語プロジェクトに参加した私は、最高の宿とご飯を堪能しつつ
プレッシャーと戦っているのであった…。

12月11日(土)7時ごろ起床。

朝食バイキングで腹ごなしをして、10時からインタビュータイムへ。
インタビュータイムとは、ご当地にゆかりのある方をお呼びして取材を行う
いわばネタ作りのコアとなる時間。
ここでいかにご当地の話題を引き出せるかが、今後のネタ作りを左右すると
言っても過言ではありません(と、聞かされました)

【インタビュー1人目 元ストリップ劇場マスター 山田俊之さん】

1人目の山田さんは現在大川荘さんのおもてなし課という部署に勤務、
主に庭造りなどを担当されている方ですが、実はかつて芦ノ牧温泉にあった
ストリップ劇場を経営していたという経歴の持ち主。
なぜ芦ノ牧温泉にやってきたのか?そこには波乱万丈の経緯がありました。
ストリップ華やかなりし時代に全国を飛び回った話、マギー司郎さんの前で
プロポーズした話、そして芦ノ牧温泉へ。
山田さんの半生も伺いたいところですが、あくまでこれはご当地落語の為の
インタビュー。そのバランスが難しいと感じた1本目でした。

【インタビュー2人目 芦ノ牧温泉 観光協議会事務局長 佐藤直 さん】

2人目の佐藤さんからは芦ノ牧温泉が行っている具体的な取り組みについて
伺いました。
冬になると開かれる子供向けの遊び場・スノーパークでは毎年大きな
かまくらを作られ、スノーモービルのコースを整備されているとか。
ここで出たのが「バルブ職人」というワード。馬るこ師匠のバルブ職人は
ここから生まれたと言っても過言ではありません。
後半には土地ならではの食材として、身欠きにしんの話題も。
北海道からにしんを積んだ北廻り船が、新潟から阿賀野川を上り会津へと
持ち込まれていたそうで、当時は「身欠きにしんの値段は会津が決める」
という言葉もあったとか。
また、「半世紀ほど前には、にしんが子供のおやつになっていた」という
お話から、「行雄と正太」の正太にはにしんをかじってもらいました。

インタビュー終了後、馬るこ師匠からバルブ職人の構想を伺い、そのまま
本日の昼食会場へ。

ドライブインあいづ前にて
ドライブインあいづの名物はこちら
ド迫力のソースカツ丼
この分厚さよ

大川荘の支配人さんが薦めるドライブインあいづさんのソースカツ丼を
いただきました。とにかくデカい!
地元の妙齢な女性が普通に注文してたり、明らかに年上の男性がカツ丼と
ラーメンを注文している声を聞いて、「芦ノ牧の人たちは胃袋が宇宙?」と
混乱する一幕も。
また、支配人さんからは観光における真面目なお話も伺いました。

お昼を挟み、インタビュー後半戦へ。

【インタビュー3人目 猟師 芳賀廣一さん】

3人目の芳賀さんは獣害被害対策を行う現役の猟師。
その腕は猟友会や役所の方にも一目置かれているそうですが、実は猟師
デビューしたのは数年前だとか。
罠のかけ方、動物の痕跡の見分け方のセンスはかつてやっていたパチンコに
あった?とのお話も。
この辺りはこしら師匠の「お撞き初め」に反映されています。
また、かつて芦ノ牧ではアユ漁が盛んであり、芳賀さんも漁師で生計を
立てていたとか。しかし、上流のダム建設による環境の変化でアユが棲める
環境ではなくなったそうです。

芳賀さんのインタビューを終えて、休む間もなく次のインタビューが開始。

【インタビュー4人目 芦ノ牧温泉開発事務所 芳賀栄一さん 鹿目竹政さん】

4人目の芳賀さんと鹿目さんは温泉の管理を行う立場のお二人。
くみ上げたお湯を各温泉に供給しているそうですが、そんなお二人によると
かつては川を掘ると温泉が出たそうです。
また、かつては「あゆまつり」という催しが行われ、メインの花火大会には
周辺から沢山の観光客が訪れていたとか。
そして、話題が猟師の芳賀さんに移ると、お二人から次々と衝撃の事実が。

「あいつが来るとマムシが逃げる」
「どぶろく改めが来たら、どぶろくを背負って山まで駆け上った」

今回の作品にまつわるキーワードがこんな所から!

【インタビュー5人目 芦ノ牧の歴史を知る男 芳賀徳章さん】

最後は芦ノ牧の歴史に詳しい芳賀さんに歴史を伺いました。
芦ノ牧温泉が作られた背景、かつて会津を統治していた蘆名氏について、
そしてまさかの贋金づくりという話題が。
会津から離れた位置にある芦ノ牧という土地が、軍備などの面で会津藩から
重要と目されたという側面があったという貴重な証言。
これが馬るこ師匠の「贋金」の基盤となりました。

これにて全てのインタビューが終了。
終了直後、早速馬るこ師匠と立ち話。

この時の立ち話をもとに急いで部屋に戻りアイデアをまとめる作業へ。
そして、あっという間に夕食の時間。

そういえば、この辺りからモグモグ配信(食事風景の配信)で志ら門さんに
よる「お品書きちゃんと読めるかなチャレンジ」が開始したような。
食事後に振り返り配信を終え、ここから怒涛の創作タイムです。

最初に完成したのは「どぶろく改め」。
前日からぼんやり考えていたお酒に関するアイデアが、インタビュー中に
出た「どぶろく改め」というワードと繋がり、ひとつの噺になりました。

「どぶろく改め」を書き終え、2本目の構想がまだ何も浮かんでいなかった
状態でふとノートを見た時に目に留まったのがスノーパークの項目。
そこにみがきにしんを食べる少年と都会の少年が遊んでいる姿が重なり、
この2日間で見聞きした事がリンクした結果、物語が降りてきました。

上記2本の原稿を送り、こしら師匠のネタに取り掛かるのですが、妙案が
どうにも浮かばず、まんじりともせず朝を迎える事になります。

インタビューや振り返り動画を見ながら「お撞き初め」の草案が出来たのは
完全に夜が明けてから。そして、3日目が始まります。
今回は他の公演と違い、開演時間が朝10時のため、稽古に割ける時間が
他の会場より9時間も少ないというハードな状況。
ゆえに全員の緊張感は相当高まっています。

そんな中でも、しっかり朝食バイキングを食べる志ら門さん
朝食中に頂いたアドバイスをもとに台本を手直しして、近所のコンビニで印刷
第2稿を志ら門さんに提出

3日目のお昼も芦ノ牧温泉カレーをいただき、ここでこしら師匠から
「馬るこ祭り」の開催が宣言されました。

今日は歩いて大川荘さんへ
味のある看板、略してアジカン

昼食後は大川荘さんへ戻り、会場の設営へ。

合間の風景

こしら師匠は配信の準備もあるので最後まで設営に立ち会う形となり、
僕も現場に残って「お撞き初め」の詰めの作業を行う事に。
僕は横でこしら師匠の提案される案をまとめる役だけでしたが、設営を
取り仕切りながら台本作業を並行で進行するこしら師匠のマルチタスク
ぶりを間近で拝見して、ただただ驚異でした。

そこから更に詰めの作業、そしてカメラマンの武藤さんによる撮影会。
生まれてこの方、被写体になる経験が少なかったせいか、撮影されてる時に
何をしていればいいのか最後まで分からないままアイスを食べている様子を
撮られていました。そして、夕食へ。

3日間とも同じ場所で夕食を取っていたのですが、この部屋の隅にある
人形を見た馬るこ師匠が驚きの声を上げます。

夕食を終え、ここからは互いのネタを見せ合う稽古会へ。

この稽古会でそれぞれのネタの輪郭がくっきりと浮かんできました。
こしら師匠、馬るこ師匠のアドバイスが本当に的確で勉強になる事だらけで
ただただ感心するばかりでした。

稽古会を終えて、緑助さんと緊急ミーティングを開催。
皆さんからいただいたアドバイスをまとめ、それを消化するには?という
話し合いを手短に行って解散。
緑助さんが帰られた後、明日の予告を兼ねたソロ配信を行おうと思い、
ツイキャスを開始したわけですが、

開始して数分で部屋のチャイムが連打。
予感がしてドアを開けると、こしら師匠による抜き打ち訪問!
図らずもこしら師匠とのツーショットトークが実現しました。
わずか30分ながら、ご当地落語に関する理念など濃い話を沢山伺えた
貴重な時間を過ごさせて頂きました。
翌日は朝から本番。果たして芦ノ牧温泉でのご当地落語は無事成功に
終わるのか?
(もう少しだけ続きます!)


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