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フラれたから弁護士になった。

高専3年次。
僕には進学校に通う同級生の彼女がいた。

受験を頑張った彼女は、地元よりも少しだけ都会な街の大学に行く。「大学に行っても仲良くして行こうね」お互いの不安を打ち消そうとするように何度もそんな話をした。

大学に行った彼女は、初めての一人暮らし、今まで出会ったことのない人たちとの交流、趣味のサークルととても楽しそう。だんだんと連絡頻度が減ってきた。「忙しいのかな?」と夜電話することもなくなった。



自分から連絡すると負けた気がして、でも彼女からの連絡が来ないことにはイラついて、僕たちは仲良くなくなっていった。


気がついたら、一緒にいないことが当たり前になり「最近私たちいないのと一緒だね。別れよう」って。

いろんな感情が駆け巡ったけど、僕に発することができたのは「うん」って2文字の言葉だけだった。精一杯のプライド。誕生日の6日前だった。

彼女だけ特別にしてた着信音を標準に戻し、嬉しくて保存していたメールの保存を外し、写メを全部消した。

マンガに恋愛シーンが出てくるだけで吐きそうになって、大好きだったジャンプを読むのをやめた。安心して読めるのはカイジとHUNTER×HUNTERだけだったのを覚えてる。

今まで好きだった夜寝る前のまどろみの時間は1番嫌いな時間になり、その時間を短くするためだけに夜中走ってた。1時間走ってクタクタになってベットに倒れ込むって生活を半年は続けたと思う。とても体力がついた。なかなか寝れなくなってきた。

そんなとき、法科大学院というものができて、理系人材も弁護士に、みたいな新聞記事をみつけた。とてもたまたま。

初めてパソコンに触った時感動して、ITの未来を信じて高専の情報工学科に入った僕だけど、小さい頃は弁護士に憧れてたのを思い出した。

僕の頭の中はいつもうるさくて、その煩さを「言葉」という武器にして戦ってるように見えて格好良かったんだろう。

ちょっと調べてみると弁護士になるには、日本で1番難しい試験である司法試験に合格しないとならないらしい。

ちょうどいいな。
走るだけじゃ疲れて寝れなくなってきたところだ。今度はこっちで全力を出すか。

高専からは受けられないらしい。まずは大学に編入して、大学院に入って受けるのか。じゃあ今から編入の勉強を始めよう。


そこからはただやるだけだったから楽だった。なんだかんだ毎日8〜10時間、ストップウォッチで時間を測りながらずーっと勉強してた。僕にとって勉強がとても良い逃げ場になった。
限界までやって倒れ込んでたから夜も嫌いじゃなくなった。

気がついたら彼女のことを思い出すこともなくなっていってた。たまの長期の休みに来る「元気?」にはさすがに掻き乱されてたけど。

大学に編入して2年。大学院で3年。司法試験に挑んで2回目でようやく合格できた。

彼女から逃げるために始めた勉強だったけど、毎日全力を出し続けてたって経験は今の自分をとても救ってる。脇目も振らず走ってきたけど、その走ってる途中にとてもたくさんのものを得てたなーと振り返って思うから、逃げてよかった。



そんなことを、お花を持った制服の子たちを見たら思い出しました。

みなさん、卒業おめでとうございます。
きっとどんな人生も楽しいよ。





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