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【コラム5】民法の短答式試験の対策について

令和5年予備試験・短答式試験(民法)の問題文の問いは、次の2パターンです。令和5年司法試験・短答式試験(民法)の問題文の問いも、同様です。

A:正しいものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。
B:誤っているものを組み合わせたものは、後記1から5までのうちどれか。

パターンAの場合、「誤っているもの」が1つでも入っている番号は不正解ですので、全ての肢の正誤を判定できなくても、「確実に誤っているもの」が1つ、2つ見つけられれば、消去法で正解できます。

パターンBの場合も同様で、「正しいもの」が1つでも入っている番号は不正解ですので、全ての肢の正誤を判定できなくても、「確実に正しいもの」が1つ、2つ見つけられれば、消去法で正解できます

本試験では、「どの肢が確実に切れそうか?」という観点から、一応、全ての肢に目は通しますが、正誤が判定できない肢はさっさと飛ばし、消去法で正解が出れば、次の問題に進みます。そうすることで、持ち時間の確保に努め、精神的な余裕を生み出し、平常心を保ちながら確実に処理していきます。
消去法で解ける問題からどんどん解いてしまい、迷った問題にもう一度戻れるだけの時間的余裕を捻出しましょう。


このように短答式試験では「消去法」で解ける問題から、早く確実に得点をしていくことが重要になります。そうすると、短答式試験の対策でまず最初にすべきことは、「最初は少なくてもよいので、その代わりに、正確な知識を確実に押さえること」です。

いきなり守備範囲を広げすぎて、結局全ての知識が曖昧では、消去法に活かせず、役に立ちません。
短答式試験で出題される知識は、当該科目のほぼ全範囲に及びますので、これをいちいち基本書にあたりながら押さえていくのは、非効率ですし、現実的ではありません。

では、どの知識から押さえていくか?
それは「論文式試験で出題されたことのある知識」(=幹となる知識)です。

短答の勉強をすること自体はよいと思いますが、論文の勉強をせずに、短答の勉強をするというのは、論文式試験を含めた最終合格のためには勿論、短答式試験に合格するという観点だけから見ても、効率的にどうなのか、作戦的に果たして有効なのか、考えてみる必要がありそうです。


短答式試験の対策で次に大切なことは、「正確な知識を、試験当日までに一つでも多く増やすこと」です。

では、どの知識から増やしていくか?
それは「短答式試験で出題されたことのある知識」(=幹に近い枝葉の知識)です。
ですから、5月末頃には論文対策(兼 短答対策)に一応の目処をつけ、本試験当日までに、過去問を潰し、できる限り回転させるといった短答プロパー対策にシフトします(勿論、短答式が苦手であれば、もっと前から過去問を潰し始めてもよいと思います。)。
何度も間違える肢や、忘れがちな肢を「択一ノート」に書き出し、本試験前日・当日に見直します。そうすれば、本試験当日、既出題の知識は100%大丈夫と自信を持って臨むことができるのではないでしょうか。


短答式対策のもう一つのポイントは、「試験当日までに」というところです。
広く細かい知識を365日覚えていることは不可能です。本試験当日に知識量がmaxになっていればよいのですから、直前期に集中して瞬発力で勝負することも大切です。極端な話をすれば、細かな知識は一夜漬けでもよいと思います。

しかし、あれもこれもと手を伸ばしては、きりがありません。
そもそも司法試験で問われる知識のmaxは、基本書に書いてある知識です。それ以上の知識の有無で合否が分かれるということは、まずあり得ません。
そうだとすれば、短答式の過去問を潰した後、さらに余力があれば、あれこれ手を伸ばすよりも、「基本書の通読」(=全体の見直し)をするのが最も効果的だと思います。そして、気になった知識を「択一ノート」に書き足しておき、本試験前日・当日に見直します。そうすれば、本試験当日、基本書の知識まで100%大丈夫と自信を持って臨むことができるのではないでしょうか。

短答式試験の対策の進め方にはひとそれぞれいろんな考え方があると思います。皆さんは、短答式試験の対策をどのように進めますか?

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