全期間固定金利で注目のフラット35⑤審査収入の見方「年度」に注意
金利の上昇が懸念される中、全期間固定金利で注目されているフラット35。今回は「審査収入の見方」についてです。フラット35の審査収入の見方には少し癖がありますので、解説したいと思います。
フラット35に関する過去記事はこちら。これが一番読まれています。
基本は「申込年度」の前年の年収で計算!
基本的には、申込年度の前年の収入で返済負担率を計算します。この「申込年度」というのが分かりにくくしているので、具体例でみてみます。
例:①2023年1月に申し込みを行う場合
2023年1月は2022年度なので、その前年である2021年の年収が
審査年収となる
例②:2023年4月に申し込みを行う場合
2023年4月は2023年度なので、その前年である2022年の年収が
審査年収となる(融資実行は所得証明書発行後)
つまり、1~3月に申し込む場合は要注意で、前々年の年収が審査上の年収となります。これは状況によってメリットにもデメリットにもなりますので、理解しておきたいポイントです。
ちなみに、フラット35の場合、例えば2023年1月に事前審査をしていた場合、事前審査の有効期限は6か月なので、6か月以内に本申込の承認を得るときには、原則審査年収は事前審査を引き継ぐこととなります。(申込内容に変更がない場合)
要は、2023年4月に本申込をしたとしても、2023年1月に事前審査をしていた場合は、2021年度の年収が審査上の年収になるということです。
年収を証明するための資料は何が必要?
年収は「給与収入のみ」の方であれば「所得課税証明書(市区町村)」で、「給与収入のみ以外」の方であれば「納税証明書(税務署)」の数字で審査を行います。もちろん、源泉徴収票も提出しますので、源泉徴収票上の給与収入額と一致しているのが前提です。
個人事業主の場合も考え方は同じです。民間の住宅ローンの場合、確定申告書の3期分の所得の平均で計算するケースもありますが、フラットの場合は「申込年度の前年」の所得で計算をします。ただ、前年と前々年の所得に大幅な開きがある場合、収入の安定性という観点から、審査上は厳しくなると言えるでしょう。
転職・就職が絡む場合はどうなる?
審査の対象となる年に転職や就職がある場合は、審査収入の計算が変わってきます。
仮に、2023年1月に申し込みを行う場合で考えてみましょう。
申込年度の前年が審査年収となるので、2021年1月以降に転職・就職がある方は、2021年の年収が満額ではないことになる上に、前職分の収入は継続性がないので審査には含められないことから、「割り戻し計算」を行います。
2021年1月に転職をしたとすると…
申込時点(2023年1月)で1年以上の勤務実績があるので、直近から12か月分の月収に期間中の賞与を加えた金額が審査年収となります。
勤務実績が12か月未満の場合(例えば2022年4月の転職)は、今出ている給与明細の金額をすべて足し、勤務月数で割って12をかけます。そこに期間中の賞与を足して審査年収とします。なお、1か月未満の給与明細については除いて計算します。
最近は転職を経験している方が増えてきていますので、その場合の審査年収の計算の仕方は把握しておいたほうが良いと思います。
とにかくフラット35の場合は「年度」の考え方が出てくるのでややこしくなります。特に1~3月の申込ですと、人によっては2回源泉徴収票が出ていますので、自分が転職者扱いされてるとはまったく思っていません。あとから「給与明細」や勤務先からの「給与証明書」を依頼するのは避けたいですよね。
フラット35は「1~3月の申込に注意」と覚えておくといいと思います。
フラット35の借入可能額の計算方法は次回お伝えしたいと思います。
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