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【活動録】第20回カムクワット読書会

こんにちは。本日は初の試みとして、レーベル限定の読書会を行いました。

参加者は3名、1名は初参加の方です。

今回の会場

P+D BOOKS読書会

みなさんはP+D BOOKSをご存知でしょうか。入手困難な昭和の小説作品をペーパーバックにすることで、安価(1000円以下)で入手可能にしたレーベルです。

最近読んだ/読んでいる作品

先月の読書会から、自己紹介の際に最近読んだ/読んでいる作品を教えてもらっています。それは記憶に新しいため語りやすく、またその人を知るきっかけになるので、面白いなと感じています。

中村文則『列』
こちらはわたしが紹介。まだ第一部を読み終えたところですが、自己を掘り下げて「人間とは何か」を考える、中村作品の暗い輝きがあるように感じました。

ナヴァー・エブラーヒーミー『十六の言葉』
ドイツ語圏移民文学作品。ペルシャ語で章立てられたエピソードが、どのような物語になっているのか気になります。

村田沙耶香『生命式』
ふつうの歪みを読者に突きつける村田作品の魅力が凝縮した短編集。他の人におすすめしてもらったと聞きましたが、この作品集をおすすめする勇気を称賛します。

ジョーゼフ・ヘラー『キャッチ=22』
戦争の狂気をブラックユーモアたっぷりに描いた作品。時間の経過を出撃回数で把握するという話に、背筋がぞっとしました。

P+D BOOKS読書会

・野坂昭如「死の器」『マリリン・モンロー・ノー・リターン』より
「死に水」から転じて「清水」で清水商会と称し、ボロ長屋の脛に傷ある老人たちが、看取る人がいない老人たちの最期を提供する。
社会からはみ出した者たちのやさしさと、幸福な人たちの残酷さに頭がくらくらするものの、ふと、現在の社会と変わらない問題(老々介護)を描いていることに気づきました。
この作品集は、社会問題としても読むことができる作品が多く、おすすめし辛いエログロ描写がありますが、この作品は素直におすすめです。

・水上勉『五番町夕霧楼』
金閣寺を燃やした僧が通っていた妓楼の女性の視点でその僧を描く。
この事件は三島由紀夫の『金閣寺』があまりにも有名ですが、水上さんの「金閣炎上」などもあり、さまざまなかたちで語られています。
ぜひ、上記の作品とあわせて読んでほしい。

・吉行淳之介『男と女の子』
戦後の混沌から安定を求めてサラリーマンになった男が失職し、編集者の友人を訪ねた先でヌードモデル志望の女の子と出会い、彼女への愛情/哀情をつのらせる。
彼女のヌードの掲載形式にクスっとしました。

・黒井千次『春の道標』『黄金の樹』
国語の過去問で読んで気になって探してみたが、なかなか見つからなかったという思い出がある作品。同レーベルには『春の道標』では高校生だった主人公が大学生になった続編も収録されている。
社会問題ではなく個人の問題を描いたため「内向の世代」と称された作者。調べてみると、日野啓三らが含まれるらしい。近い世代に吉行らの「第三の新人」という括りもあるらしいです。

・梅崎春生『桜島・狂い凧』
米軍迫る桜島で死と隣り合わせでありながら、それを暗く描くだけではない魅力がある作品。
全集を持って参加してくださり、梅崎作品の猫小説の魅力などを教えていただきました。

カラフルなペーパーバックの中にある全集の存在感

ランチ

読書会場の近くでランチをとりながら、海外小説の話題や他の読書会のことを話しました。また、先月の課題作品についても話題になり、そこから夢小説、好きだったマンガの思い出。
幼いころ、学生時代の読書経験の違いはあれど、このようにして小説好きとして同じ場に集まれることができるのは、読書会の良いところですね。

今後の予定

・11月11日(土) 文学フリマ(個人参加しています)
・11月23日(木) 10:30~ 中村文則『列』読書会
・12月16日(土) 10:30~ 短歌読書会

詳細は後日、noteにて記事を投稿します。

ぜひ、ご参加ください。

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