見出し画像

【活動録】第二回カムクワット読書会

こんばんは。Tomsongです。
本日、第二回カムクワット読書会を無事行うことができました。二度目でもやはり始まるまでは緊張してしまいましたが、いざ小説の話しになると緊張感もほぐれて楽しむことができました。

今回も初参加の方が二名参加してくださいました。テーブルの上に三冊の『文學界』が並んでいる光景には心躍りました。


お二方ともに作品を読み込んでいた印象で、お互いに感想や疑問点を共有することで作品の外まで視野が広がる感覚がありました。


また、作品がそこまで長編ではなかったので、一時間半の中で細部まで話すことができたのではないかと感じました。さらに新人賞の選評にまで話題が広がり、単行本の読書会ではできない経験をすることができました。

「N/A」:感想

今回の課題作品は年森瑛さんの第127回 文學界新人賞作品「N/A」でした。世間に溢れるカテゴライズに違和感を覚える女子高生・松井まどかが、周囲の人々から人間性を定義され、自分自身もお決まりの言葉に逃げてしまう。

わたしは「カテゴライズされた人間性・言葉」と「(枠にはまらない)わたしとは何か」という軸を持って読んでいました。
学校での王子様、元教育実習生・うみちゃん視点の彼女、SNS上のレズビアンのパートナー、祖母からの女の子扱い、友達からレズビアンだと定義されること。
それらは「わたし」ではない。それではまどかは何者か。股から血が出るから生理が嫌で食事制限をしていて、あれやこれやとカテゴライズされた言葉を見つけては拒絶する。
仮に「大人」になることが自己同一化された状態とすると、まどかは圧倒的に子供である。彼女には「これではない」ということはできても「こうである」と定義することができない。
しかし、ここで恐ろしい発見がある。「大人」はカテゴリに自己同一化してしまった人間ではないか。言葉や行動によって、人は周囲から定義されてしまう。その定義の波に飲み込まれてしまうと、分類化された「大人」となってしまう。社会は「大人」製造機である。

読書会:感想

閑話休題。
この作品には様々な比喩表現がある。どこか滑稽でありながら的を射ている。三人で各々が気になった言葉を教え合い、言葉と言葉につながりを見出しつつ、まどかの目指す「かけがえのない他人」像を頭の中に思い描きました。
読書は作者と読者の対話だと比喩されることがあります。読書会はその対話をした読者、ある種の第二の作者がお互いに対話することで視野を広げる場所と言うことができるかもしれません。

今回は読書会の後にランチをしました。そこでは本の買い方、読書遍歴など読書にまつわる話をたくさんすることができて楽しかったです。

まだ始めたばかりの読書会で不安からくる自身のなさがありますが、思いのほか特色があるのではと感じさせていただける言葉に励まされました。

次回については、この後に記事を投稿いたします。
オフライン読書会だけではなく、オンラインの読書会やディスコードを使った作業部屋、雑談部屋のような活動も指導させていければと思います。

ここまでお読みいただき、誠にありがとうございます。
それでは、今後ともよろしくお願いいたします。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?