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農園選びのポイント

 在職中から個人の農園や民間農園でボランティアをしていた。退職後、市
民農園を始めた。色々な農園を経験したので、農園に関わろうとするとき、
抑えておきたいポイントを筆者なりにまとめておきたいと思う。

1.場所

 通う頻度を加味して場所を決めるのが良いと思う。月に一回程度であれば
、少々遠くても良いだろう。週一回は通うのであれば自宅から近い場所が重
い腰も上がりやすいだろうと思う。

 市民農園では畑の管理がすべて任されていた。このような場合、少なくと
も週一回は畑に行くことを考えていた方が良いだろう。
 夏場は、一週間も過ぎれば野菜は大きくなる。それに雑草取りをしないと
、結構ぼうぼうになる。だから、少なくとも週一回は畑に行くことにしてい
た。野菜の成長が遅い秋などは十日位に一回というペースだった。

 月に一回程度というケースは、数人で畑をシェアしているとか、個人の農
園などにボランティアとして関わる場合が考えられるだろう。自分が行かな
くても畑が維持されているのは、気が楽ではある。

 借りていた市民農園の区画は、車で約20分のところにあった。もっとアクセスのよい場所がよかったが、そこしか当時は空いていなかったのだ。
 ここ数年、「酷暑日」という言葉が聞かれるようになった。暑い日の農作
業は、歳をとると身体にとても堪える。畑に行かないわけにもいかない。も
う少し、市民農園が自宅から近い距離にあった方が良かったと感じている。

2.面積

 一区画を借りていた。その大きさは4メートル×5メートル。上手に野菜を
育てれば、一人では持て余すほどの野菜が採れる。二人分としてはちょうど
良いかもしれない。
 夏は雑草取りを怠ると区画が雑草だらけになる。この広さでも、その量は
無視できない。マルチシートを使うと雑草取りの手間は減るだろう。しかし
、自然農法のまねごとをしてみたかったこともあって、マルチシートは使わ
なかった。

 一人で二区画を借りている高齢の方がいたが、手入れも大変そうで、区画
には雑草が目立っていた。家族で消費するには野菜が採れ過ぎて近所に配っ
ているようだった。

3.料金

 借りていたのは一区画で、利用料金は年間7200円だった。月額にすれば、
600円だ。退職した身にとっては、この安さはありがたかった。自治体によ
って料金は異なるが、市役所が管理している影響が大きいのではないかと思
っている。

 山間にある民間の農園を見学したことがある。そこは月額1万円だった。
チョット高いなと感じたが、農園の維持費を考えるとそんなに高くはないか
もしれない。
 水道設備とトイレがあった。道具も用意されていたと思う。小屋がいくつ
かあった。休憩場所でもあり、会員の交流場所、イベント会場にもなってい
た。

4.設備

 借りていた場所には水道設備もトイレもなかった。雨水をためるタンクも
なかった。東屋のような休憩場所もなかった。
 ぽつんと立っている小さな物置には、スコップや鍬などの道具を入れてあ
った。

 自前の道具を持っているので、用意されている道具はほとんど使わなかっ
た。

 上述した環境なので、大きめのペットボトル三本に水を入れ、車に積んで
いた。作業後の手洗いや自前の道具を洗うためである。野菜への水やりにも
使っていたが、4メートル×5メートルの面積には全然足りない。

 作業中、催して近くのショッピングモールまで車を走らせたことがある。
近くにトイレがあった方が作業に集中できる。いったん中断すると、集中力
が半減する。

 農園を選ぶとき、料金の多寡は重要だが、設備がどうなっているかも重要
だと思う。

5.駐車場

 借りていた市民農園には駐車場があった。町の中心から外れた場所なので
、ほとんどの人は車で通っていた。区画数から考えると、十分なスペースと
は言えなかった。駐車できなかったことはないが、曜日と時間帯によっては
混雑していたこともあった。
 雨の降らない日で、休日の午前中は混む傾向にあった。雨の次の日とか、
平日は農園に来る人はほとんどいなかった。

6.農園の雰囲気

 農園はどんな土地にあるのか。農園を管理しているスタッフはどのような
人達か。隣接する区画の人達はどのような感じか。

 広々とした土地で汗を流すのはいい気分転換になった。採れた野菜は美味
しかった。しかし、嫌なことがあった。それは、隣区画からの野菜の侵入だ
った。

 隣区画では区画境界線に沿うように、60~70センチ離れたところに苗を植
えていた。ほとんど手入れに来ることもない。ある年は、サツマイモのつる
が、どんどん伸び、筆者の区画に1メートル程侵入していたことがある。勝手につるを処理することは出来ない。区画の四分の一は使えなくなったので
、この時ばかりは、市役所の担当課に相談した。

 もう一つの隣区画も、常に区画境界線近くに野菜を植えていた。例えば、
大きく育った里芋の葉が区画に侵入していたことがある。数十センチなので
、担当課に相談するまでもない。でも、畑作業には邪魔なのだ。
 畑がきれいなので、よく来ているようだった。野菜が収穫されるまでの我
慢なのだが、毎年繰り返されるので気に障ることではあった。

 市民農園を管理しているスタッフもいるようで、市民農園の雑草を刈って
いたようだ。水を入れたペットボトルを区画外に放置しているマナーの悪い
人がいたが、ずっとそのままだった。スタッフはそこまで管理していないよ
うだった。野菜の侵入も同様だろう。

 マルチシートを使用して雑草の無い区画がほとんどの農園。自然農法で野
菜作りをしている民間の農園。集まってくる人達のコミュニティを形成して
いる農園もあれば、そうでない農園もある。
 自分の望む農園の雰囲気はあると思うので、それを明確にしておくも農園
選びには大切なことだろう。

最後に

 市民農園を開設しているのは、市町村だと思っているが、区画を貸し出す
サービスという考え方をすれば、シェア農園もある
名称にこだわらなけれ
ば、野菜作りをする土地は色々と見つかるだろう。

 今では、ビルの屋上にもシェア農園がある。農作業用の道具はもとより苗
や肥料なども用意されているところもあるようだ。管理が行き届いているは
ずなので、忙しくてあまり通えないなくても野菜作りを楽しめるだろうと思
う。
 アクセスが良く、手ぶらで通えるのであれば、帰宅途中に寄っていくこと
もできるだろう。利用可能時間に気をつけなくてはいけないが。

 長靴をはき、日焼け対策や蚊などの害虫対策をして農作業をする。適切な
道具を用いて苗の定植や雑草取りを行う。どんな野菜を作るのか、種まきは
いつにするのかを考える。野菜の収穫までには、色々と頭を使った。
 便利さをとれば、野菜作りの過程を余り愉しめなくなると思っている。
民農園はやめてしまったが、身体と頭を使うかたちでの野菜作り続けていく
予定だ。


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