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中学受験で求めたい自立度

先日、中学受験生を持つ保護者の方にご相談をいただきました。
中学受験では、親がどの位関わった方が良いのか?というご相談でした。
お話したことを、他の皆様にもお伝えできるように、この場でまとめておきたいと思います。

良い中学にだけ入れることが目的なのでしょうか?

良く中学受験は親が併走することが大事等言われていますが、果たしてそうでしょうか?自分の子どもの受験勉強に併走することで、目的の学校に入れたとしても、その後、中学高校で一人で走れる子になっているでしょうか?

中学受験をする目的は何か?

まず、目的はご家庭によって異なります。ただ、それぞれ目的をしっかり持っておかないと、長い受験勉強の期間、何が正解か分からなくなります。

より良い教育を受けさせたい

より良い教育とは?私立も学校によって教育方針はさまざま、何を求めているのか?英語教育なのか?理数教育なのか?進学実績なのか?どんな学校に入れたら良いのか?曖昧なまま、長い受験戦争の結果、結果的には私立だったらどこでもいいという結果になり得ります。私立だったら、より良い教育をしてくれる(ハズ)と思いこまず、ちゃんと事前にリサーチしたほうが良いのでしょうね。

勉強以外のことに打ち込める(意外と公立の方が部活は熱心)

高校受験が不要だから、部活や習い事など、勉強以外のことに打ち込める、というような話は良く聞きますよね。確かに、そうかもしれません。ただ、中学受験をして入る学校、そこそこレベルが高い学校については、在籍中に成績を保つことを要求されることがほとんどです。学校からすると、進学校であれば、良い大学への合格実績を上げたい、付属校であれば、成績によって選べる学部が異なる等、入学後も学力をキープし続けなければならないのが事実です。通学時間も長いことが多いので、本当に勉強以外のことに打ち込める状況になるのか、よく考える必要がありそうです。

塾が要らなくなる(学校によっては)

私立中高だから塾が要らないというのは幻想で、要らない学校もありますが、実は通っている子も多いです。管理型の学校で無ければ、自由で勉強についていけなくなることもあります。伝統校だからこそ、数値で進学実績の予実を立てるようなことをしない傾向がありますので、有名ないい学校に入ったのに、出口は・・・?という学校もあります。もちろん、それとは別に公文の良さを実感されている方は、私立中・高に通いながら、公文をずっと続けていらっしゃったりします。
ですので、私立中・高の方が逆に経済的、というのは幻想かなと思います。

公立の中学に通わせるのが心配(私立でも心配な場合もある)

校区の公立中学が少し荒れている、学力レベルが平均より下、今の公立小学校の同級生に心配な雰囲気の子がいる、等、公立中学を敬遠する理由で私立を目指される方は多くいます。
あとは、コロナ禍の対応が、私立の方がいち早くオンライン利用等、学びを止めない対策を取ったこと等が評価されています。
大事なのは、一緒に学ぶお子さんたちの雰囲気です。同じくらいの学力レベルの子を集めることで、同じ方向に向きやすいのは事実です。ただ、逆に学力レベルが合わない私立中・高に行ったとして、あまりレベルが高くない学校だと通う子たちの価値観が違ったりします。勉強・スポーツでなくお友達付き合いを大事にするような学校であれば、毛色の合わない子は馴染めない等起こりうるので、公立が心配という理由であれば、私立を選ぶときも、自分の子どもの学力や雰囲気に合う学校なのかどうか?を優先して考えることが大事なのでしょうね。生徒の雰囲気を見るには、下校中に一緒に歩くのが一番分かりやすいのではないでしょうか。

お友達が受験するから(塾は見極めて)

最初の入り口としては良くある理由ですよね。
一旦、塾に行ってみようという理由としては良いのかもしれませんね。ただ、友達が行っている塾が子どもに合うのか?入塾前に情報収集して見極めるようにされると良いかと思います。転塾はなかなかしにくいですし、塾にお友達ができるかどうか?等もお子さまが楽しく通うのには案外大事な要素です。また、合わないからと転塾したとして、塾のカリキュラムはそれぞれ異なりますし、もし成績が上がらなかったら、塾を変えたせいかも・・とずっと悔やむことにもつながります。後悔しないためにも、自分の子どもに合うかを最初に調べておくことが大事です。

受験勉強をする3年間で何を身につけさせたいか?

志望校に見事合格したとして、受験勉強をすることで何を身につけさせたいか?という思考が大事です。
ただ学力を上げよう等と思っても、本人が自走することなしに、それは難しい。親のサポートで出来上がっている状態はずっとはキープできません。

もちろん個人差はあるのですが、公文をしていて、結構自立して考えることができるタイプの子でも、入塾後、最初スタートの1年は今まで見たことの無い問題に付いて行けなかったりします。また、塾も人手不足なので、まだ最初のころ、教えるのが上手な先生は担当しないことも多いので、家庭でサポートしなければならないと感じることが出てきます。
その時、親も頑張ってしまうと思うのですが、このままでいいと思わないように、『アレ?これでいいのかな?』と疑問を持ってほしいのです。

本来は、学びは自分で獲得するもの。自分の中にアンテナを立てて、思考回路を回さなければ、入試問題は太刀打ちできないようになっています。
疑問に思う方は、ぜひ、入試問題の過去問を自分で真剣に解いてみるべきです。その問題を解けるようになるために、我が子をどう成長させたらいいのか?一度シンプルに考えてみるべきです。

公文で良い進度になって塾に移ったお子さんでも、苦労するのが中学受験です。皆、まわりの大人にサポートしてもらって、自分の能力以上に引っ張りあげられていることも多い、本来の能力以上に盛られている状態、だから、自分の子どもが自分で戦っているのであれば、十分立派です。途中途中で負けてもいちいち気にしないことです。

最終的には、目標とする学校に向けて自分なりに学びを重ねて行っているのか?親に頼らず、自分で何とかしようと思っているか?意欲が出ているか?というのが大事ですので、その目標に向かって親が何ができるか?を考える方が建設的だし、健全です。

4年生で疑問を持ち、5年生で自立に向かわせ、6年生で完全に自立させるというのが無理のない自立へのイメージ

ただ、個人差はありますし、塾のカリキュラムによっては、もっと早く自立を求められることもあるでしょう。

親に何ができますか?放置、無関心ではなく、どう関わりを持つのか?

成績を責めたり、勉強への姿勢を責めたりする前に、どうやったら、自分で歩くだろうか?を考えてあげてください。大人もそうですが、仕事ができる人とできない人はいます。仕事ができる人は考えている人です。子どもの受験勉強に併走することは、子どもにとって何が大事かを高い視点から考え続けることです。今にとらわれ過ぎず、ゴールからの逆算で考えているか?親が感情をコントロールできているか?子どもの気持ちを考えているか?最終的には、やってよかったと思える行動をしているか?もちろん、夢だけ見るのではなく、経済的なこと、コスト面での折り合いをつけることも、非常に大事なことです。

子育ては親の長くて大事なプロジェクトです。

冒頭でもお伝えしましたが、これは、子育ての一つの過程です。これがゴールではなく、受験がうまく行っても、この先、上手くいかないことは十分起こりうる。親が関与できるからこそ、してしまいがちだと思いますが、将来のことを思うなら、今しか鍛えられないと思ってなるべく早めに手を放すことです。

公文に通っている方へ

将来、中学受験するから・・・と、焦って親の力を使って進度を上げようとするのは避けたいところです。なぜなら、このまま親子の依存関係が続いてしまう可能性があるから。子どもの力で中学受験させたいと思われるのであれば、公文に通っているうちから、新しい問題、例題を自分で考えさせる、等、自分で解くように親もかかわり方を変えるべきです。ずっと関わって教えて、という繰り返しでは、公文ではできるようになるかもしれませんが、中学受験はそうはいきません。本当に賢くなっている子を求めているような学校では、太刀打ちできません。
どう関わるのか?具体的なイメージが沸かない場合には、どうぞ、私に相談してください。

ぜひ、3年間の受験勉強を通じて、やってよかったと心から言える戦いになりますように。
この記事は中学受験を推奨するような意味ではなく、あくまでも中学受験を視野に入れていらっしゃる方へのヒントになればと思い、まとめました。

最後に・・・
中学受験関連で色々な本が出ていますが、中学受験を決められた保護者の方には、この本は最低限読まれることをおすすめします。

親の想いで子どもを潰さないように・・・


必読書、ドラマ化されましたが、漫画の方が情報量が多い、全然盛られていない、これが現実と言えるような内容がほとんど。1か所、公文の電柱看板が出てくる挿絵があります。


毒にしないように親もしっかり考えなければ・・・

茂木さんと塾経営者との対談は中学受験に迷っている人も、受験させると決めた人も見たほうが良い。
茂木さんの話は正論です、日本の学歴社会が悪ということはもちろん承知の上で、今この社会に生きている、子育てをしている世代が巻き込まれているという状況は、当事者に言われても仕方がありませんよね。政治で変えないと変わらない、もしくは偏差値の無い海外へ行くというのが、学歴社会から脱却するベストな選択のような気がします。

【前編】https://www.youtube.com/watch?v=58Z_oMCd5w4

【後編】https://www.youtube.com/watch?v=rfuNFevVQLM

指導者 東郷






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