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~プログラミングの授業で一体どんな力がつくの?~【子どものプログラミング教育特集③―どう教える?保護者の疑問を専門家に聞いてみた】

プログラミング教育が始まっているけれど、実際どんなことをしているのか分からない。親はどう対応したらいいか不安…。
そんな声にお応えして、プログラミング教育の第一線で活躍されている松田孝さんにアドバイスいただく本企画。親として、「プログラミング教育にどう向き合っていけばいいか」についてのヒントが満載です。今回は第3回目となります。

どんな能力がみにつくの?

Q. 私が子どもだった頃の学習指導要領には全くなかった、プログラミング教育が導入され、正直、親として戸惑っています。具体的にプログラミングの授業でどういった力がつくのでしょうか。

A. 私たちが子どもの頃に受けてきた教育には、プログラミングなんていう授業はありませんでした。技術革新がものすごいスピードで進んで、今の子どもたちには、もうコンピューターが当たり前の時代になり、学校現場でも学ぶ内容が大きく変わりました。

学校は、子どもたちが未来を生きる力を育む場、そしてその子どもたちが生きる未来は、Society 5.0といってコンピューターが作り出す、新しい社会です。プログラミングを通してコンピューターとお話しでき、新しい社会を幸せに、そして豊かに安全に生きる力を育んでいくことは、私たち大人に課せられた使命です。それらを踏まえ、学校で新しくプログラミングが導入されることになりました。

プログラミング調査画像


▲弊社が行ったプログラミングの学習実態に関する調査です。小学1年生~中学3年生のお子さんがいる30代、40代の男女601名にアンケート調査を行いました。

プログラミングの授業では、コンピューターの操作や具体的なプログラミング、コーディングの知識や技能を学ぶのですが、何より子どもたちにとって、プログラミングを使い、自分の思いを豊かに表現できる力を養えることがとても大切だと思います。

プログラミングは、単に、コンピューターに意図どおりの動作をさせるものではなく、自分の思いや願い、そしてやりたいことを、プログラミングを介して、コンピューターでダイナミックに表現する力を育むことができるのです。
そこは「試行錯誤」の連続です。自分の思いを1回でうまく表現することはなかなかできません。何度も繰り返し、失敗を重ねながら自分の思いを表現し、できたときの喜びを味わう。これを、プログラミングを介して体験することができます。

これこそがまさに新しい社会、多様性が尊重される社会の中で、主体性を持って生きるために必要な力を育む源になると考えています。
プログラミングの授業では知識と技能を学ぶだけでなく、それらを介して子どもたちが自分を豊かに表現する力、そしてその実現のために試行錯誤しながらも、楽しみながら一生懸命考える力を、たくさんつけることになります。

これまでの教育は、先生が教えたことを素直に理解して、それをしっかりテストで返せれば良し、とした教育でしたが、むしろこれからはプログラミングで体験するように、さまざまな失敗を繰り返しながら、粘り強く諦めずに自分の思いを表現しようとする力強さが必要となります。
プログラミングを介して、そのような力を身につけることがとても大事になると考えています。

松田孝さん
1959年東京都生まれ。東京学芸大学卒。上越教育大学大学院修士課程修了。東京都公立小学校教諭、東京都狛江市教育委員会主任指導主事(指導室長)をはじめ、東京都の小学校校長を3校歴任。小金井市立前原小学校では、全国の公立小学校にさきがけ児童一人一台の端末を配備。プログラミング授業を積極的に推進して、IchigoJamBASICを用いたプログラミング授業体系を確立。2019年4月より合同会社MAZDA Incredible Labを立ち上げ、代表に就任。総務省地域情報化アドバイザー、金沢市プログラミング教育ディレクター、群馬県先進プログラミング教育アドバイザー、小金井市教育CIO補佐官も務める。著書に『学校を変えた最強のプログラミング教育』(くもん出版)。

これからの子どもたちに必須のプログラミング教育。くもん出版では、保護者の皆さまの不安が解消されるような情報発信を続けていきます。お見逃しなく!

特集の目次


子どもに「プログラミングってなに?」と聞かれたときの答え方
親が未体験のプログラミング教育。子どもに楽しんでもらう秘訣とは?
③プログラミング教育の授業で一体どんな力がつくの?(本日UP)
④プログラミング教育。親としての適切なサポートをしたいと思ったら…。(準備中)
⑤プログラミングを教えてくれる先生はどんな人。(準備中)
⑥プログラミングを学ぶ上で知っておきたいリスクとは。(準備中)

★松田孝さんの著書はこちら
『学校を変えた最強のプログラミング教育 普通の公立小学校から見えたAI時代の学び』

★くもん出版のプログラミング
『くもんのプログラミングワーク① はじめる!IchigoJam』

★松田先生のインタビュー動画はこちら

※今回の特集は、くもん出版公式Instagram企画『プログラミング教育って何だろう?聞いてみようキャンペーン!』のインタビューを再編集したものになります。