見出し画像

~プログラミングを学ぶ上で知っておきたいリスクとは~【子どものプログラミング教育特集⑥―どう教える?保護者の疑問を専門家に聞いてみた】

プログラミング教育が始まっているけれど、実際どんなことをしているのか分からない。親はどう対応したらいいか不安…。

そんな声にお応えして、プログラミング教育の第一線で活躍されている松田孝さんにアドバイスいただく本企画。親として、「プログラミング教育にどう向き合っていけばいいか」のヒントが満載です。ぜひご家庭でも参考にしてみてください。今回が最終回です。

【特集の目次】

① プログラミングってなに?と聞かれたときの答え方
② 子どもに楽しんでもらう秘訣とは?
③ プログラミングの授業で一体どんな力がつくの?
④ 親ができるプログラミング教育とは?
⑤ 小学校の先生は教えられるの?
⑥ プログラミングを学ぶ上で知っておきたいリスクとは?

【コンピュータを扱う上で知っておきたいリスクとは?】


Q. 小学校のプログラミング教育に期待しています。ただ、デメリット親が気をつけるべきことがあれば、教えてほしいです。

A: まず、人間がコンピュータを使用する際の体への影響をしっかり理解することが大切です。

 例えば、すぐに思い浮かぶことは、視力の問題。次に、悪い姿勢によるストレートネック。そして、集中し過ぎによるまばたき不足からの、ドライアイの問題などです。
 
 これらの問題は絡み合っているので、体の状況を自分でモニタリングできるよう、電子機器を扱うに当たって、お子さんと一緒に話し合っていただきたいと思います。

 成長期のお子さんが特に注意したいのは、ブルーライトの問題です。就寝前に浴びてしまうと、メラトニンという睡眠誘発ホルモンが分泌されなくなり、睡眠障害などの自律神経の障害を引き起こすといった報告もされています。就寝前にはスマホ等を見ない、コンピュータを扱わないということを徹底したいと思います。

 また、保護者の方がよく心配されるのは、ゲーム依存症です。快楽のホルモンが出るので、そのことについて正しく理解し、使用ルールを子どもと決める。生身の人間が電子機器を扱うことのデメリットも理解した上で、便利な機械を生活の豊かさにつなげていくことが大切です。

 これから子どもたちはSociety 5.0といって、コンピュータが作り出す新しい社会(サイバー空間)、そして私たちが今生きている現実のフィジカルの空間(現実空間)とが混然一体となった社会を生きていきます。
 
 コンピュータが作り出すサイバー空間を生きるためには、コンピュータを扱う知識が必要です。しかし、生身の人間として、現実世界を生きるために体験しなければならないこともたくさんあります。
 
 匂い=臭覚。味=味覚。そして、触覚。これらはサイバー空間ではなかなか磨くことはできません。人がSociety 5.0という社会を、より豊かに生きるためには、コンピュータが作る空間を生きる力とともに、改めて現実空間を着実に生きる力を磨く必要があります。
 
 そういった意味で、臭覚や味覚、触覚に関する学びもしっかりと取り入れ、バランスをとった上でのコンピュータの活用が、新しい社会では大切になっていくのではないでしょうか。

 これからの子どもたちに必須のプログラミング教育。くもん出版では、保護者の皆さまの不安が解消されるような情報発信を続けていきます。お見逃しなく!

松田孝さん
1959年東京都生まれ。東京学芸大学卒。上越教育大学大学院修士課程修了。東京都公立小学校教諭、東京都狛江市教育委員会主任指導主事(指導室長)をはじめ、東京都の小学校校長を3校歴任。小金井市立前原小学校では、全国の公立小学校にさきがけ児童一人一台の端末を配備。プログラミング授業を積極的に推進して、IchigoJamBASICを用いたプログラミング授業体系を確立。2019年4月より合同会社MAZDA Incredible Labを立ち上げ、代表に就任。総務省地域情報化アドバイザー、金沢市プログラミング教育ディレクター、群馬県先進プログラミング教育アドバイザー、小金井市教育CIO補佐官も務める。著書に『学校を変えた最強のプログラミング教育』(くもん出版)。

★松田孝さんの著書はこちら
『学校を変えた最強のプログラミング教育 普通の公立小学校から見えたAI時代の学び』

★くもん出版のプログラミング
『くもんのプログラミングワーク① はじめる!IchigoJam』