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くもんらしい地球儀とは?10年以上問い続け、生まれた「知らない国がすぐに見つかる くもんの地球儀」開発秘話

「子どもが世界に興味を持ったときに備えて、地球儀を用意しておきたい」
「ニュースで国の名前が出てきたときに、よく質問されるようになった」

子どもが世界に興味を持ったとき、その好奇心を伸ばしてあげたい―
多くの親がそんな想いを持っています。そして、そんな願いをかなえる1つのアイテムが地球儀です。しかし、身の回りには、小さいものから大きいもの、学習向けからインテリアを意識したものまで、さまざまな地球儀があります。

くもん出版の地球儀とはどんなものなのか、どんな想いで作られたものなのか、開発者にインタビューしてみました。

開発に10年以上!?知らない国がすぐに見つかるというコンセプトはこうして生まれた

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― 「知らない国がすぐに見つかる くもんの地球儀」はどのような特長がある地球儀ですか?「知らない国がすぐに見つかる」というコンセプトは、かなり斬新だと思うのですが。

「子どもが、1人で知りたい国の場所を見つけられる」というコンセプトで作りました。
この地球儀は、州が色分けされており、国名の色も、地域によって違う色で書かれています
子どもが、ニュースなどで、「この国の場所が知りたい」という興味を持ったら、まず「50音さくいん」で国名を見つけます。「さくいん」には、その国がある州の色や国名の色が表示されているので、子どもたちは、地球儀の中で知りたい国の場所を、範囲を絞って探すことができます

― すごくシンプルな仕組みですが、だからこそ、子どもが1人で探せそうですね。なぜ、子どもが1人で探せる地球儀を作ろうと思ったのですか。

「 くもん出版オリジナルの地球儀が作りたい! 」

実は、そのように考えてから、チームで100以上のアイデアを出し合いました。しかし、どうしても「くもんの地球儀」にはたどり着きませんでした。

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▲100枚以上の地球儀のアイデアスケッチ 一番上は「ルーレット地球儀」。商品化を決める会議では「本当にくもんらしい地球儀か」を問われ、廃案となりました。

「家庭で本当に必要な地球儀とは何か?」を問い続ける中で、地球儀を購入した家庭にヒアリングをする機会がありました。印象的だったのは、「せっかく地球儀を買ったけれど、あまり使いこなせない。ほこりをかぶってしまっている」という意見が多かったことでした。
「なぜ使われなくなってしまうのか?」を調べるべく、さらにヒアリングを続けました。

子どもが地球儀を使う目的は「国の位置を調べる」というケースが多く、その際、「親がここだよと教えてあげる」「親がだいたいの範囲のヒントをあげて、その中から子どもが探す」という使い方が多いようでした。
このことから、「子どもが疑問を持ったときに、親がいないと、知りたい国にたどり着けないのではないか」という仮説が浮かびました。

大人は、「アフリカ大陸はヨーロッパの南にあって…」といった、前提となる知識を使い、ある程度知識を絞り込んだ状態で探すことができます。
しかし、子どもは前提となる知識が少なく、地域を絞ることができません
結果、親がいないと地球儀を使うことができず、地球儀から離れてしまうのではないかと考えました。

本当に6歳が国の場所を見つけられるの?徹底したモニター調査

たしかに、大人は大体の範囲を絞って探しますね。もし、目星がつかない状態で探すとしたら、とても大変だと思います。

やっと、「子どもが1人で国を見つけられる地球儀」というコンセプトにたどり着きましたが、そこからも大変でした。6歳の子どもが、1人で国を見つけられる検索方法を開発しなければならなかったからです。
たとえば、「国のボタンを押したら、光る」というようなデジタルな要素を入れれば、子どもでも簡単に見つけることができますが、値段が高くなってしまいます。高価な地球儀ではなく、子どもが気軽に持ち運べて手に取れるような地球儀にしたかったので、アナログな方法で解決したいと思いました。

どのようにして、今のような方法を見つけたのですか。

とにかく、広い範囲で情報を集めました。学校教育、学習指導要領に詳しい大学の先生にヒアリングをし、地球儀が家庭にある大切さを再認識しました。地域を見つけるだけでなく、朝夕・季節・月の満ち欠け・時差・天候など、理科的な要素も含め、子どもたちの身近な現象が地球儀で説明できます。「地球儀は、自分の日常が、地球・世界の動きとつながっていることが実感できる最高の道具である」ということを実感し、子どもたちに同じような実感を持ってもらえるような地球儀を作ろうと決意しました。

あるとき、平面地図の「さくいん」に目をつけました。「平面地図のように、地球儀にも“さくいん”から場所が特定できるような機能があれば、子どもが使えるのではないか」というアイデアが浮かびました。

たしかに、平面地図と地球儀の良さが組み合わさったら、便利で使いやすく、子どもたちに気づきを与えやすい地球儀になりそうですね。

ただし、平面地図は緯度経度をもとに検索します。緯度経度を習うのは、小学校高学年以降のため、「6歳が使いやすい検索方法は何か」という部分で検討を重ねました。最終的に、色を手掛かりに国の場所を探る方法にたどり着きました。

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▲「50音さくいん」を見て、国の位置を探す様子

色分けした検索方法は、6歳でも手軽に国を見つけられる方法だったのですね。

「本当にこれで見つけやすくなる?」「見つけられたら、楽しい?」というのを検証するため、幼児~小学生の家庭に試作品を持って行ってモニターをさせてもらいました。実際に何歳くらいから「さくいん」の仕組みが使えるのか検証するため、保育園にも協力をお願いしました

その結果、

・「さくいん」と色で探す仕組みは、何度か説明すれば、6歳でも理解できそう。
・カタカナが読めること、50音の順がある程度分かることが、「さくいん」を使える前提となるので、対象年齢は6歳くらいが妥当。ただし、それより小さいお子様でも、カタカナが読めて、50音の順番を理解していれば「さくいん」を使えるようになった。

ということが分かりました。

「さくいん」を使う子どもと使わない子どもを比較して、「さくいん」の有効性を確認したり、「さくいん」を使った国探しにハマった子どもの傾向を分析したりして、検索機能や、子どもの意欲を高める工夫をブラッシュアップしていきました。

「こんなものだ」はいつもなく、「もっといいもの」はいつもある

子どもの意欲という視点で見ると、「さくいん」には、メモを書く欄があったり、クイズがあったりと、細かい工夫もありますね。

保育園のモニターで、ハマってくれる子が多く、手ごたえを感じたものの、ひたすら国名と場所を一致させ続ける様子を見て、さらにいいものにできないかと考えました。
作りたい地球儀は、「その子の日常生活と結びつき、つなげる」地球儀です。果たして、検索機能を充実させるだけで、作りたい地球儀といえるのか……

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▲知らない国がすぐに見つかる くもんの地球儀 の目的

「どうやったら理想の地球儀ができるのか」という課題の糸口も、実際の子どもたちの様子から見つかりました。
子どもたちは、試作品の地球儀で国の場所を探しながら、「おばあちゃんが行ったことある」「お父さんがお仕事で行っていた」「日本から遠いね」などと発言していました。
こちらが働きかけなくても、子どもたちは国名・位置と、自分たちなりの知識・体験をつなげて吸収していたのです。

このような姿を後押しできる機能をつければいいのではないかと考え、「さくいん」のすべての国に、メモ欄をつけました。
その国のことを調べた時期、その国と日常生活を結びつけるエピソードなどを書く欄があれば、「生きた知識」になるのではないか―そんなアイデアでした。

でも、一方で、「書くことを面倒くさがる」子どもはいるはず……。そう思って、各国に1問ずつ、クイズをつけました。クイズの中には、地球儀を使うとヒントにつながるようなものも入れています。

そこまで考え抜かれているんですね。地球儀をヒントにして答えるクイズとは、具体的にどんなものなのでしょうか。

例えば、「アルジェリアは、アフリカ州で一番〇〇が大きい国。次のうちどれ?①国土の面積 ②湖の面積 ③森林の面積」という問題です。

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地球儀を見てみると、アルジェリアはかなり大きいことが分かります。一方、大きな湖は見当たらず、よく見てみると砂漠が多いことが分かります。
ということで答えは、「①が答えなのでは?」と答えを推測できるような作りになっています。

このように、クイズの中に、なるべく「考える・推測する」要素を入れていきました。もちろん、「あてずっぽうでも当てられて楽しい」という側面もあるため、3択にしました。

クイズ1つでも、子どもの成長を応援するには?という要素が盛り込まれているのですね。

「生活の中で国名を見つけよう!」「世界のいろいろランキング」など、他にもたくさんの工夫を盛り込みました。これらのコンテンツは、ただ知識を与えるものではありません。

これからの子どもたちは、大人に与えられた知識を覚え、アウトプットするだけでなく、自分で課題を見つけ、考え、試行錯誤をしながら、解決策を模索する力が必要です。
地球儀にどれだけたくさんの情報を盛り込もうとしても、限度があります。この地球儀は、身の回りの無限の情報に興味がわく「きっかけ」を提供することで、子どもが、自分の身の回りの情報にアンテナを立て、自ら生きた知識を得られるように作りました。

ノートランキング

▲ 世界のいろいろランキング


開発者にインタビューをする中、思い出したのが、
KUMONが大切にしている創始者・公文 公の言葉です。

「こんなものだ」はいつもなく、「もっといいもの」はいつもある

今回、子どもに良いものを与えたいと、妥協を許さない商品開発を続ける開発者の姿から、その精神が玩具づくりに脈々と受け継がれていることを感じました。

「知らない国がすぐに見つかる くもんの地球儀」詳細情報はこちら