スポーツの【戦術】って何?その2
今はまだスポーツ戦術見習い中の身ではありますが、近いうちにスポーツ戦術オタクに、そしていずれは戦術研究家・戦術コンサルタントへとステップアップしていきたいと考えております。どうぞよろしくお願いします。
さて、そんな私ですが、先日スポーツにおける【戦術】とは何か?というテーマで記事を書いてみました。
ふと、読み返してみたものの、自分で書いておきながらどうもしっくりきませんでした。何か色々と私の頭の中にある【戦術】という言葉のイメージが伝えきれていないと感じました。
ということで、その伝えきれてない情報を埋めるために「その2」を書き始めたというわけです。
「その1」でも書きましたが【戦術】の定義を安易にネットで調べると以下のような内容になります。ウィキペディアの定義を引用するあたりで既に手抜き感が出てきてしまいますが、今回は自分自身の考えを加えながら、もう少し深く掘り下げようと思います。
早速ですが、私の頭の中にあるスポーツ【戦術】の1要素をイメージ化するとこんな感じです。あ、言及し忘れてしまいましたがチームスポーツのイメージです。。
ピラミッドの上段に『戦略』が書かれていますが、今回は【戦術】の話なので下4段にフォーカスします。
このイメージで【戦術】について言いたいことは、【戦術】には1人で実行するものから複数人で実行するものまで幾つかのレイヤーに分かれているということです。
「そんなことは当たり前だ!」
とお思いの方も多いと思います。が、試合で【戦術】にフォーカスして見てる私のような人間からすると人数レイヤーは再現性の観点から重要な要素だったりします。
人数レイヤーによる戦術の実行
またもサッカーの実例となってしまい恐縮ですが、私が2022年5月23日にDAZNで観戦していたプレミアリーグ最終節のアーセナル対エヴァートン戦の前半13分35秒のシーン。
敵陣の右サイドで17番ソアレスから8番ウーデゴールへパス
ウーデゴールはそのパスをスルー
ウーデゴールはスルーした後すぐに相手の裏側へスプリント
7番サカはスルーされたパスをダイレクトでウーデゴールへパス
アーセナルの3人の選手が絡んだ一連のプレーでしたが、この流れがウーデゴール選手の個人的な戦術(思いつき)で実行されたのか、はたまた同じような状況になったら実行されるよう予め3人の戦術として練習を積んできたのかがよくわかりません。
私の所感としては、ウーデゴール選手の動きが「おい、サカわかってるよな」感のあるスルーに見えた上、サカ選手が「わかってるよ」感ありありのように見えました。残念ながらサカ選手はオフサイドになってしまうのですが。。。その後の17番ソアレス選手の動きも予め決まっていたのではないかと。
【戦術】は再現性があって然るべきものだと思います。なので、上記のプレーが個人の思い付きで実行されていたとすれば、同じようなプレーは今後あまり見られないでしょう。しかし、普段の練習段階から繰り返し行われてきたものであるならば、来シーズンにおいても何回かは同じようなプレーが出てくるはずです。
そういう意味で【戦術】が何人で実行されたのか?それは計画性・再現性のある動きだったのか?を確認するためにも人数レイヤーはとても大切だと考えているわけです。
戦術の実行頻度
さて、戦術を語る上でのもう1つの要素は実行頻度です。「来シーズンにおいても何回かは」と上述しましたが、チーム・個人で身につけた戦術を試合の中で必ず出せるとは限りません。
私の中での1試合における戦術実行のイメージはこんな感じです。
例えば、試合開始当初は相手の出方(相手ディフェンスの戦術)を確認するための『様子見』の時間が設けられます。試合前に立てた想定通りに相手が動いてくれば、用意していたオフェンス戦術を実行し、そうでなければ戦術を修正しなければなりません。
その間、個人レベルで相対する選手への戦術が実行されるだけでなく、都度都度のシチュエーションによって少人数・多人数の戦術が実行されていきます。
限られた試合時間の中なので、仮にバスケットボール女子日本代表のように戦術が200を超えてくるようになったりすれば、当然ながら全ての戦術を1つの試合の中で実行することはできません。練習してきた戦術のいくつかを出せるタイミングで出すだけということになります。
この要素が、素人目からすると試合観戦をとてつもなく難しくします。
「あれ、今のはチームで練習してきたやつかな?」
「それとも個人の思いつきが重なっただけかな?」
と感じてしまったりするわけです。
練習で繰り返してきた戦術を試合中に何回実行できたか?その成功率はどれほどだったか?といったデータをもとに各チームは戦術を練っているはずですが、当然ながら「どのような戦術を実行するか?」はトップ・シークレットなはずなので公開されることはありません。
それがバレてしまったら、相手は試合前からそれに対抗するための戦術を練れてしまうはずですので。
戦術は相手あってのモノ
ということで、今も書いた通りですがスポーツの試合は相手があって成立するものです。相手の動きに応じて変化が求められます。そのため、相手の出方次第では、用意していた戦術がまったく繰り出せない可能性もでてきます。
この「相手」という要素が、戦術研究をさらに難しくします。
もし私が監督や指導者になるとするならば、できる限り再現性を重視して戦術をチームに組み込みたいと思いますが、そこは当然ながら相手あってのこと。相手もその再現をさせないような戦術を考えてくるはずです。
では、何が鍵となるか?というと、戦術レベルでは長期的に下記の要素が重要だと考えています。
相手の戦術バリエーションを研究する意欲
相手の戦術に対する正しい対応策を考えるスピード
その対応策をチームに浸透させるスピード
新しい戦術を取り入れる先進性
日本がヨーロッパのサッカーを追いかけている中で、ヨーロッパのサッカーはチェスや北米4大スポーツ(NFLやNBA)の戦術を取り入れています。
サッカーにおいて、個人レベルでの差は埋まってきているのに日本代表のようなチームとしての差は埋まっているように感じられないのは、このあたりの先進性やその習得スピードの違いからくるものなのかなぁと思ったりする今日この頃です。
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