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百物語7「神田明神と成田不動尊」
妻が友人から聞いた話だ。
妻の友人の父親が神田明神を贔屓の神社として崇めているのだが、たまには別なところに行こうと、成田不動尊まで初詣に出かけた。自宅がある船橋から印旛沼を越えて不動尊を目指す。
ようやく成田に着いたが、市街を行けども行けども成田の町をぐるぐると回るばかりで少しも不動尊に着かないのだ。誰かに聞けばいいのに父親のプライドがあるのかそのまま市街地を走り回ったあげくとうとう諦めて帰宅の途についた。
運転しながら父は「将門さんの力だ」と呟いた。
「将門さんを祀る神田明神をうちが贔屓にしているだろう? 将門調伏のための呪術が行われた成田不動尊を避けているに違いない」と言うのだった。
以上の話を妻から聞いた僕は、笑った。
「バカバカしい。不動尊が成田の街の高台にあるのを知らずに低地にある街中を走り回っていただけだろうさ」と言って笑った。
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