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戦争の移動鳩舎

終戦の日、敗戦の日、戦争したくない人たちにとって幸福の日であり、死ぬ事を軽々しく栄誉と考えていた人たちにとっては、戦っても勝てない戦争で国民全員が死ぬまで無駄な死を繰り返したいのに…といって地団駄踏んで悔しがった日だったでしょうね。

毎年この日が近くなると、数多くの戦争ドキュメンタリーが放送されます。僕は戦争嫌いなので、反戦に結びつく番組は殆ど観てしまいます。

終戦の日に思い出すのは、この間書いた母親の空襲経験ともうひとつレース鳩雑誌に勤めていたときに取材した「移動鳩舎」のことです。

移動鳩舎とは、文字通り、一定の場所に留まらない鳩舎に鳩が戻ってくることです。

ご存じのように鳩は強い帰巣本能を持っていますから、訓練をすれば、1000キロも離れた場所から、定まった場所にある鳩舎に帰還させることは容易です。その能力を利用したのが伝書鳩です。まだ通信網が確立されていない明治時代から昭和40年代までは、新聞社でも伝書鳩を使って特ダネ情報を本社まで送ったのです。今はもうありませんが、僕が記者だった時代には読売新聞系の日本伝書鳩協会の鳩舎は、よみうりランドの敷地内にありました。

さて、移動鳩舎です。戦時中には、鳩は伝書鳩(当時は軍鳩と呼ばれました)として主に日中戦争の最前線からの秘密文書を運ぶために使われていました。しかし、戦時中ですから伝書鳩を飼育している鳩舎を移動させなければなりません。いくら帰巣本能に優れていても、移動する鳩舎に戻るのは無理です。そこで、移動する鳩舎に戻ってこられるように幾度となく鳩舎を移動させて、そこに戻ってこられるように鳩の訓練を行なったのです。

忘れてしまいましたが、鳩に基地と移動鳩舎を往復するのは無理でしょうから、基地には移動鳩舎に戻る鳩がいて、基地に戻る鳩は移動鳩舎にいるという一方通行であったと思います。

とにかく鳩たちは立派にその役目を果たしていたのです。

僕は移動鳩舎に携わった古老に取材したのですが、その方にライターの黒岩 比佐子さんが取材した「伝書鳩ーもうひとつのIT」という新書が出ています。今でもAmazonで入手できるようです。この本は手元にあるのですが、たくさんのガラクタや本の中に隠れてすぐには見つかりません。

僕は昭和32年に生まれたのです。終戦から12年目です。「戦争を知らない世代」なんですが、終戦からたった12年しか経っていない年に生まれたのですよ。今年は東日本大震災から10年です。ついこの間のようなイメージです。そう考えたら、僕が生まれた年もどのような年だったのかがわかるでしょう。

僕は、いかなる戦争も嫌いです。これから戦争を起こそうとする人たちがいたら、年老いた自分が死んでも阻止したいと思います。僕と同世代の政治家は「自分たちが権力者という安全な地位にいる」から、今のコロナ禍のようにたくさんの命が失われていることに実感できないようです。戦後の日本は戦勝国の言いなりになってきた惨めな国です。現在も戦勝国の圧力によって一刻も早く改憲して一緒に戦争ができる国にしたいのです。

特攻などという短絡的な恐ろしい精神を持った国を恐れて、新しい憲法に介入して「戦争ができない国」にしたのに(実はベトナム戦争にも参加させたかったのではないか?)、これから起こるかもしれない都合の悪い戦争の最前線に送る兵隊を捻出したいがために日本国憲法の改憲をしたいのでしょうね。

おっと、またテーマから外れました。上手な文章を書きたい方々は「ワンテーマ」に絞って、必ずプロットを作ってから書きましょう。



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