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GPTむりやり物語「僕のお婆さん」

近所に住む祖母を映画に連れて行く約束をしました。今日はその約束の日です。

祖母は85歳ですが、気は若くて、いまだに恋愛映画を好んで観ます。1年前に僕が取り付けてあげた配信機械で、あっという間に2つの配信業者と契約して邦画、洋画の恋愛映画を見まくっているのです。

今日は恋愛ミステリーの韓国映画「チンチャ?」を観に行くのです。映画館は隣町にあるシネコンです。

祖母の家に着きました。

以前描いてもらったお婆さんを生成してもらいました

「おばあちゃん、迎えに来たよ!」玄関から声をかけると、「はぁい!」と言って和服を着た祖母が現れました。

「え、和服じゃ動きづらいでしょ?」
「あたしゃ、着物が好きなんだよ、楽だしね」
「オレから見たらキツそうで、決して楽には見えないけれどね」

このお婆さんのイメージをどこから持ってくるのでしょうね

「そうかね?ほんじゃ洋服に着替えてくるよ」
「ん?」
見れば、祖母の後ろにコートを着た男の背中が見えます。
「その人、誰?」
「まいいから、洋服に着替えてくるから待ってな」
「うん」
祖母が玄関のドアを閉めます。
ーーあの男は誰なんだろう?

GPTが、指示を無視して帽子を被らせちゃったんです。男性の絵柄が違いますね、島耕作?

「お待ちどおさま」洋服に着替えた祖母が出てきました。
「ねぇ、さっきの男の人は誰?」
祖母は満面の笑顔で「うふふふ、恋人の伊藤文三郎さんよ」
「こんちは」祖母の後ろから顔を出したのは俳優のような顔をした老人でした。

GPTに「帽子を取ってくれ」と指示したら、和服が洋服になっちゃったんです。男の方も「つげ義春風にして」と指示したのにこんな絵を生成してきました。フードを被っているしね

「あ、始めまして、孫の阿流牟です。祖母がいつもお世話になっています」
「うん、聞いてるよ。あのさ悪いんだけどさ・・・」
「阿流牟、悪いんだけどさ、映画は文三郎さんと行くから」
「え、ああ、別にいいけど・・・」
「ありがとう、ほら・・・」と言いながら祖母は僕の手に1万円札を握らせます。
図々しい僕が「婆ちゃん、もう1枚・・・」と小声で言うと、
「ほら、オレがあげるよ」文三郎さんが僕に1万円札を5枚差し出しました。
「わ、こ、こんなにいいんですか?」と言うと、文三郎さんが満面の笑みを浮かべて、「キヨさん、行くよ」とお婆さんの肩を抱くのでした。
「じゃあね」祖母は文三郎さんと手をつないで歩いて行きます。
祖母と文三郎さんの後姿が20代の若者のように見えました。

僕はと言えば祖母を迎えに来ただけで6万円も手にすることができた幸運にほくそ笑みながら、ふたりの姿が見えなくなるまで手を振っていました。

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