見出し画像

韓国映画「ロ・ギワン」

ベルギーで難民として認められるために生きる脱北者のロ・ギワン(ソン・ジュンギ)。“他人の喧嘩に首を突っ込んで追われる身になる、逃亡中に母を交通事故で亡くす、ベルギーで1年間難民として認められぬ間に数々の不運に遭遇する”彼は腹が立つほどに不運で、数々の不幸に見舞われる。その不運はいかにも韓国風で不運不幸を美化していて、観ていて途中放棄したくなるほどだ。元射撃選手で韓国系ベルギー人のマリ(チェ・ソンウン)と出会い、ふたりの不運は重なっていく。

不運の後に明るく救われるか、救いようのない話になるか両極端な韓国ドラマのなかで、これはどちらになるのだろう?

ロ・ギワンを演じるのは、ドラマ「ヴィンチェンツォ」で爽快な活躍を見せてくれたソン・ジュンギ。ヘタをすれば山崎邦正さん(現在・月亭方正)とか緒形直人さんのような顔の役者さんで、コメディが似合うと僕は思うのだけれどね。マリ役を演じるのはドラマ「アンナラスマナラ」で可憐な女子高生(ドラマ“怪物”にも出ている)を演じたチェ・ソンウ。日本の女優さんでは高橋ひかるさんに似ている。

脱北者の苦労とか難民の苦しみとか親子関係とか恋愛過程も中途半端で、全体的に間延びした感じだ。何が主題なのかが僕にはわからない。ただ、横断歩道を渡るシーンで亡くなった母親と話すシーンから母親は歩道を渡れない、それでもロ・ギワンは振り返らない。「本当に欲しいのは、この国に住む権利ではなく、この国から出て行く権利なのだ」というモノローグののちに、異国でマリと再会するラストシーンで、ようやくイライラから解放されたのである。

2024/3/3。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?