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漫画「ミステリと言う勿れ」「海が走るエンドロール」

ミステリとは、何やら事件が起き、その事件の謎を解明するというお話です。謎の大半は殺人事件が起きて、その犯人を見つけ出し、殺害方法にアリバイ崩しを行なうというものです。殺人事件には至らなくても、何故そうなったのか?を紐解いていくのです。

日常にも謎は数多くあります。いや、日常は謎ばかりです。
たまに見かけるセーラー服姿の老人とか、裸に近い格好で公園を跋扈する中年男に、ブツブツ独り言を呟きながら歩き回る老若男女だけではありません。突然として凶器を手にして暴れ回る無差別殺傷犯、何度逮捕されても再犯を行なう犯罪者たち、覚醒剤中毒者も増えつつあるのが現状です。まさに社会は『狂気』です。

社会そのものがミステリなのですが、それを言ったら先に進めないので、ここでやめておきます。

ミステリと言えば、やはり創作です。探偵小説、推理小説、ミステリ漫画、ミシテリドラマに映画といった世界です。

まだ2巻までしか読んでいません。25刷にもなっている。羨ましい。

最近ね、面白かったのが、ドラマにもなった田村由美さん作の漫画『ミステリと言う勿れ』です。評価が高いですね。絵はね…少女漫画ですから残念ながら僕にはわかりません。ひとつだけ言っておきたいのは僕が好きな漫画は「画力のある漫画」です。昔から少女漫画の世界には没入できないのです。お金もないので、今回は2巻までしか買えませんでした。

さて、漫画の内容ですが…。

ある日、主人公・久能整(くのう ととのう)が暮らすアパートに刑事がやって来ます。久能はそのとき“形がなくなるまで煮込んだじゃがいも”が入ったカレーを作っていました。

久能と同じ大学に通う寒河江という男が公園で死体となって見つかったから署までご同行いただきたいと言うのですね。カレーの火を消して、警察署まで行き、刑事たちの取り調べを受けます。久能は観察眼に優れ、さらによくしゃべる男で、対応する刑事たちの身辺について分析していくのです。それが逆に刑事たちを取り調べしているように思えます。そして、ついに…真犯人に辿り着くのです。

僕は少女漫画には没入できないと思っていました。もうひとつ断っておきます。僕は集中力がありませんから漫画も小説もつぶさに読むということが苦手なんです。さらっと斜め読みとか、始めと終わりしか読まないとかね…酷いんです。しかし、いつの間にか、この漫画世界に入っていたんです。「面白い」と思ったんですね。

続く物語も意外な展開になっていくのですが、それは無理矢理な感じもするんです。ミステリと言うのはそういうものですから仕方がありません。でも、タイトルが「ミステリと言う勿れ」とはどんな意味があるのでしょう?

昔、「金田一少年の事件簿」(さとうふみや作画、天樹征丸他原案)という漫画がありました。もうすぐそのドラマの最新版(またジャニーズアイドルが演じます)が放送されるみたいですが、この漫画は嫌いでしたね。少年漫画誌で残酷な殺人を扱っているからです。昔から少年誌は青年誌と変わりがないからといって殺人を扱う漫画を掲載するのはどうかと思っていたのです。

僕はね、人が殺される漫画は嫌いです。単純な影響を受けやすい人間を異常殺人犯としてしまうような気がするからです。小説はいいんです。小説を読むのは精神的労力が必要なので大変ですからね。

最近の漫画のドラマ化や映画化が増えたのは、まんがそのものが絵コンテのようなもので映像化のイメージが掴みやすいからだと思うのです。その点、文章から実像化するのは大変です。ということは漫画ならば誰でも簡単に内容を掴めるということで、残酷な世界に影響を受けちゃうバカ者がたくさんいるだろうと思われるのですね。

「ミステリと言う勿れ」は2巻までしか読んでいませんから、2巻までの内容からこうやって書いているんです。テレビドラマも放送されていました。門脇麦さんが良かったですね。

主人公の久能整のような人はいないと思います。突然として警察署につれて行かれて「お前が犯人だ!」と決めつけられても沈着冷静です。普通ならば誰しも動揺してしまいますからね。そんな状況下でも久能は冷静に人を観察して屁理屈に近いことをしゃべりまくるんです。

沈着冷静で観察眼に優れた人間は、利己的になりやすく、激情型で、ホームズのような名探偵でもドラッグに溺れたり、拳銃を発砲したりするんですからね。

この漫画が素晴らしいのは全体的に作者の優しさというか、社会に対する作者なりの思いがこめられているからです。これは“そういう経験”がなければ描けないと思います。

良かったのは2巻目です。新幹線の中でひとつの事件(?)を解決し、広島で印象派展を見てから原爆ドームに向かい、何も言わずに手を合わせるのが個人的には好きです。作品全体に作者の思いが見て取れます。

久能整は優しいのです。

泡坂妻夫さんの「曾我佳城(曽我佳城全集など)」や北村薫さんの「春桜亭円紫(空飛ぶ馬など)」、小沼丹さんの「ニシ・アズマ先生(黒いハンカチ)」といった人として優しい印象の漫画です。

僕の本棚は探偵小説、推理小説、怪奇小説、SF小説、歴史小説と漫画ばかりですが、残念ながら僕は本を読むのが大嫌いなので、ほとんど未読です。ですから感想もいい加減なものですのであしからず。

もう1冊、表紙絵だけで購入した漫画があります。

海が走るエンドロール

たらちねジョンさんの「海が走るエンドロール」です。僕と同い年の65歳の女性 茅野うみ子さんが主人公です。夫が死んで四十九日を過ぎたと冒頭にあります。映画館で映像専攻の美大生・海(カイ)と知り合い、彼の影響から美大に入り、映画制作を目指すようです。帯には「65歳、映画はじめます」とあります。今後の展開が楽しみです。




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