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犬神家の系譜

横溝正史さんが書いた「犬神家の一族」という探偵小説があります。この犬神家というのは何でしょう。

日本には古くから犬神秘法といわれる呪術があります。呪術という文字面から人を呪う方法と考えがちですが、呪術には人を呪うだけでなく願いを叶えるための方法もあるのです。

この呪術を専門に行なうのが犬神家です。しかし、この秘法は人知れず秘密裏に行なわなくてはならないので、誰もその家が犬神家であることを知らないのです。

では、国書刊行会の「呪い完全マニュアル」(仙岳坊那紗さん著)から、その方法をかいつまんで紹介しますが、動物愛護の意味だけでなく、常識から考えても残酷なので、絶対に実際にやってはいけません。

人が絶対に足を踏み入れぬ人里離れた山奥の土地に穴を掘ります。その穴に犬を入れて首だけ地上に出します。それからは絶対に餌を与えずに放置します。しかし、犬の目の前には犬が好む肉などの餌を盛っておきます。犬は穴から身動きできないのです。空腹のために目の前の餌食いたさに吠え続けます。

それから数日経って、ついに犬の生命に限界が来たと思われたときに犬の口に大きな肉塊を咥えさせます。犬は夢中で肉に食らいつきます。その瞬間、犬の首を鋭利な刀を使い居合いで斬り落とします。肉を咥えたままの犬の首をその場で頭蓋骨になるまで焼きます。

その頭蓋骨を家に持ち帰り、祭壇に祀ります。頭蓋骨の前には毎日、犬が好んで食べた食べものを供えます。

以上が「万願を叶える犬神秘法」です。

今でも東北地方や四国の山間部や山陰地方には代々受け継がれた犬神家があるそうです。ただし、犬神家であることが世間に露見すると、八分にされ、酷く差別されるそうですから、犬神家では代々、固く秘密を守っているそうです。ですから誰も犬神家の存在を知らないのです。もしかしたら隣家(戸建てだけでなくマンション、アパートにおいても)が犬神家であるかもしれません。



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