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良くも、悪くも、だって母親

貧乏なのに、いくつかの配信会社に加入して映画やドラマを次々に記憶容量の少ない頭の中にたたき込んでいくが、残念ながら右から左にポンと抜けていくモノも多い。忙しくはないが、日々の時間も限られているので、最初と最後だけを観ちゃうことも多い。映像だけではない。本を読むのは大嫌いだが、興味のある本は読む。それでも時間を考えれば仕方なく斜め読みしちゃうモノもある。その合間にはプラモデルを作ったり落書きしてみたり・・・と、趣味に使う時間が多い。何しろ66歳である。多分、残された時間は少ないのである。死ぬまではこの生活を続けようと思うのである。

さて、Netflixの「良くも、悪くも、だって母親」という奇妙なタイトルのドラマを鑑賞中である。それもあと1話で終了してしまうのだが、なかなかに面白い。

夫を冷酷な悪党たちに殺されたヨンスン(ラ・ミラン)とガンホ(イ・ドヒョン)母子とガンホの幼なじみで恋人ミジュ(アン・ウンジン)、同じく幼なじみで詐欺気質なサムシク(ヨ・インス)たちが、悪党たちに立ち向かうのだが、ガンホが悪党の罠にはまって事故を起し、ある期間記憶喪失となって、幼児のようになってしまう。しかし、悪党たちの謀略の中で記憶を取り戻し・・・という韓国ドラマのパターンにはまった物語であるが、僕のように韓国ドラマの毒に侵されると、こういう物語でも見入ってしまうのである。

面白いのは、主人公と母親が居住する集落の人々である。

僕の中では韓国コメディ王のキム・ウォネ演じる「里長(村長)」、常に色々なマスクをつけて素顔がわからないパク・ボギョン演じる「里長の妻」、けっこう美人なのにコメディ向きのカン・マルグム演じる「主人公の恋人の母親」、口は悪いが実は優しい、ソ・イスク演じる「サムシクの母」、その夫でチャン・ウォニョン演じる「青年会長」、悪役をやらせたら韓国俳優のベスト5に入る奇妙な声のペク・ヒョンジン演じる「演歌(トロット)作曲家」など、個性的な人物ばかり。言うまでもないが善人ばかり。

この村の人々が登場すると、物語の中枢が“冷酷無比なる悪党との戦い”であることを忘れて、鑑賞者の自分も、ほんわりと善人になれる。

先に少しだけ触れたが、物語の内容は、自分の仇であるはずの悪党の補助をしている(かのように見せる)敏腕検事のガンホは、お笹馴染みの恋人ミジュと別れて、悪党の娘ハヨン(ホン・ビラ)と婚約するが、罠にかかって事故を起し、記憶を失う。足も動かなくなり、車椅子の生活となる。紆余曲折ののちに記憶が戻り、悪党の補助をしたり、悪党の娘と婚約していたのは、父親の仇である悪党への復讐のためであることを思い出して復讐を再開するという話である。

その悪党を演じるのは、「刑務所のルールブック」で、真逆の善人を好演していたチェ・ムソンとチョン・ウンインのふたり。このふたりが酷く憎たらしくて、結末では必ず、ガンホの仇討ちに快哉を叫ぶことになるでしょう。

母親ヨンスンは末期がんで余命いくばくもないという設定。演じるラ・ミランは「ブラック・ドック」などのドラマや映画で活躍している名女優である。今回もガンホの母親としての名演を見せている。タイトルの通りに、このドラマの主軸は彼女である。

ああ、書き忘れました。

チェ・ムソンの手下、ソ室長とチャ代理(チェスンジン&パク・スンジン)のふたりも面白い。ムソンにガンホ母子のスパイとして村に送り込まれたが、農業の楽しさを実感して、じょじょに村に馴染んでいく。物語が進むうちにヨンスン、ガンホ母子や村の人々の味方をするようになるのである。その様子が楽しくて、鑑賞者は、好感を感じてしまうのである。

もうひとつ・・・ガンホの父親を演じるのが、「最後まで行く」で、悪逆非道な悪人を演じて見せた名優チョ・ジヌン。彼を始めて観たのはドラマ「ソル薬局の息子たち」だった。ブルータスというあだ名のバイク野郎を演じていて、ずうっと彼には好感を持っている。今回は冒頭に殺されてしまうのが残念である。

ネットなどの感想を読むと、母親のヨンスンが、父親を失ったことで教育ママ(古い)となって、ガンホを育てたことと、記憶喪失になったガンホを歩かせようとして川原から川に車椅子ごと何度も突き落とす(ガンホも逆らえばいいのにね)など、虐待?を行なっており、マイナス意見も多かった。まあ、そうだろうな。

いずれにしても「良くも、悪くも、だって母親」は明日が最終回。多分、思った通りの意外性のない結末になるんであろうが、少しだけ期待するのである。

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