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映画「アンノウン・バトル 独ソ・ルジェフ東部戦線」

はじめに断っておきますが、僕は武器兵器の玩具は大好きですが、本当の武器も兵器も、それを使用して人を殺し合う戦争も大嫌いです。

ロシアの戦争映画は、たくさん作られています。映画として良い作品もありますが、砲火、砲弾炸裂、銃の発火、血糊の噴出…など、CG頼りの薄っぺらな作品も多いのです。僕はCGが嫌いです。全編CGのアニメのような作品ならば文句は言わないのですが、中途半端にCGが使われる…あ、それに資金不足ゆえなのか海外風景までCGってのが許せないのです。ついでに言っておけば、怪獣の着ぐるみと精密なミニチュアを破壊する怪獣映画が大好きな僕は、CG怪獣映画が嫌いなのです。

それはともかく、この作品もCGがふんだんに使われています。銃は発火してもCGですから空薬莢は排莢されません。排莢されるまでCGで描く作品も多いのですが、これは排莢がありません。残念ですね。でも、思ったよりCGの使用具合が上手なのです。多分、ゴチャゴチャと兵隊が動き回る戦闘シーンが多いからでしょうね。さらに、それをカバーしてくれるのがリアルな砲火に砲弾炸裂なのです。もしかしたらこれもCGなのかもしれませんが、僕が自己満足にリアルだなぁと感じれば、それで良いのです。戦争映画好きな僕が騙されるほどに緻密なCGなのですからね。といっても、僕の目は結構節穴ですからアテにはなりませんw

あ、それから寒々とした雪原での戦闘がリアル感を増幅させています。やっぱり独ソ戦は、雪原の中での戦闘です。

戦闘激しい最前線で戦う男たち…そこに若くて世間知らずな少尉がやって来ます。周囲にドイツ軍が“戦意を喪失させるためのプロパガンダビラを撒いた”ので、それを兵士たちに「回収しろ」と命令するのです。しかし、前線のは敵のドイツ軍に包囲されているので、兵士を失う可能性が高いのです。そんな危険を犯してまでビラを回収する意味はないのです。


それでも、告発によりビラを持ったロシア兵を見つけ、少尉は、その兵士を本部まで連行する際にドイツ軍に脚を撃たれてしまいます。さらにロシア兵士たちの仲間割れが始まりますが、そこにドイツ兵たちが雪原を匍匐前進で近づいてくるのです。写真のドラゴン6分の1アクションフィギュアのような冬期装備でね…。あ、違うな、映画のドイツ兵は、白のオーバーコートを着ています。

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僕は戦争映画が好きです。映画に描かれた戦争の歴史を知れば、血で血を洗う殺戮の無意味さが理解できるからです。

映画のエンドロールの前に、この作品の舞台となるルジェフでの戦闘(1942年~1943年)では、130万人のソ連兵が死亡したが、これを契機として戦況は一変し、ソ連はスターリングラードでドイツ軍に勝利する…という文字が映ります。

wikipediaでは「作戦の詳細は公表されていないが、ソ連軍はドイツ軍戦線を突破できず大敗北を喫し、一説では兵33万5千人と1600両の戦車を失ったとされている。この敗北は他ならぬゲオルギー・ジューコフ(下記参照)が総指揮に当たったということと、スターリングラードでの大勝利と同時期の大敗北であるため、ソ連は長きにわたってこの会戦の存在そのものを否定してきた」と書かれています。

また、指揮をしたゲオルギー・ジューコフに関してはwikipediaを参照して下さい。

戦争の勝ち負けは問題ではありません。殺し合いによる犠牲者たちの人生を、2時間ほどの映画を観るだけで、軽々しく考えてはいけません。褒めても貶してもいけません。戦争の歴史を描いた映画は、ただただ、戦うことの無意味さを伝えるだけで良いのです。映画の登場人物たちに感情移入する必要もないのです。

映画を観終わっての感想は「観始めは良かったけど、結局、戦意高揚、自国戦史肯定のようなイメージがあり、がっかりだな」でした。

残念…。

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