哀愁しんでれら

哀愁しんでれらを観た。劇場に見に行けなかったので、ずっと楽しみにしていた映画。ポスターが不穏だからずっと気になっていた。簡単に言うと、一日で不幸なことが立て続けに起こった主人公が命を救った男の人(連れ子がいる)と結婚するけど、なんかどんどん怪しい感じになっていく話。

しんでれら というタイトルだけあって、後味悪い映画なのだけどどこかさっぱり、とある家族のお話でした、はい終わり、みたいにスルッと見ることが出来た。私たちはその家族を第三者の視点から見ているから主人公にダメだよ!今なら間に合うよ!とかつっこめるけど、実際自分がその立場にいたら気がつけるだろうか、方向修正できるだろうか、、とあまり自信が無い。

劇中、主人公の父親が「俺もお前(娘)のことよく知らない、けど親なんだ」的なことを言うのだけどそれがすごく心に残った。18歳で親元を離れてからもう6年、小学校まるまる1回通ったくらいの時間を1人ですごした。

大学時代は酒を飲んで潰れたり、すごい髪色にしてみたり、他にもあんまり言えないこと(犯罪じゃないけど)したり、就職先も勝手にアダルト会社に決めた。親に言えないこと、沢山してきたな〜と。

もちろん、まだ実家にいた時だってそう。怒られないように嘘ついたり、本当は友達なんていないのに遊んでくると言って日が暮れるまで1人でボーッと過ごしたり、親に黙ってたことなんて沢山あった。(それはもしかしたらバレてたかもしれないけど)

思えば私は0歳から保育園に行っていて両親は共働きだったのだけど、保育園〜小学校〜中学校〜高校と親(家)以外の人間(友達やら教師やら)と関わる時間の方が長かったんじゃないかと考えると、親が本当の自分を知らないのって当然だなと。産み落とした、お金を出して育てた=その子の全てを理解してる 訳じゃないのは明白だなあと。「親になる」ことと「親である」ことは違うってことにもこの映画は触れているんだけど、すごく怖いことだなって思った。日本の「渇き。」とか韓国の「母なる証明」とか、自分の子供を信じたいけど、実際どこで何やってるかなんて分からない、そんな怖さを感じた。

自分が知っているつもりで本当は理解出来てない人達と、家族だからという理由で家族であろうとする怖さとか不確かさがゾ〜っとする映画だった。そんな不確かな物に人生影響されたり、人生ぶち壊されたり、逆に幸せを与えられたり、つくづく家族って気味が悪くて不思議なものだなあと思う。

ネタバレにはならないと思うから書くけど、夫役の田中圭さんが主人公にブチギレるシーンがとても怖い、うわあ、リアルだなあと思わず苦笑いしてしまったほどだった。あと土屋太鳳さんの後半の色気がムンムンでめちゃくちゃ良かったと思う。後味は悪い映画だけど、鬱蒼としてる雰囲気ではなくて、エンドロールの音楽も壮大。ホラーコメディの「来る」にちょーーっと近いような見やすい映画だったからオススメします。

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