四枚めのお札としての競争「ストーリー」

Tribal Professional Academy、通称「TPA」。
企業経営理論、成長戦略に続く今回のお題は「競争戦略」。”戦略”が続きます。

黒と白の2冊が課題図書。「競争戦略」ってこういうこと、という内容を黒が骨を。白が肉も交えて紐解くといったスタイルで、セットと言ってもいい2冊です。

「競争」に勝ち抜くということとは?


まず前提として、企業が目指すべきゴールで最も重要なこと=競争に勝ち抜いて手に入れるべきは、長期にわたって持続可能な「利益」。そして、利益の構造はとてもシンプル。

「利益=収入ーコスト」

利益があるからこそ顧客満足もできるし企業価値もつく。納税して社会貢献ができるし、雇用が可能になる。つまり、ステークホルダー全てに還元ができる。これは、非営利組織でも同じ。「貧すれば鈍する」。怖い。


利益の「源泉」はどこから来ているか?

ゴールである利益を生み出す源泉はいくつかあるといいます。

①業界の競争構造
業界の利益ポテンシャルに影響を与える要因は何か? 分析&理解するために有効なツール 「5 force」(業界内部の対抗度/新規参入の脅威/代替品の脅威/供給業者の程強力/買い手の交渉力)
→圧力はないに越したことはない

②「戦略」

競争がある中で、いかにして他社よりも優れた収益を持続的に達成するのか、その基本的な手立てを示すものが「戦略」。要は「どうやって儲けるのか」。


突き詰めると他社との「違い」を作るのが戦略の本質ということになる。アプローチ方法は2つ。「程度の違い」と「種類の違い」。

SP(Strategic Positioning)
ポジショニング=位置どり。外的要因を重視し、他社と違うところに自社を位置づけること。他社と違ったことをする、という選択の中で最も重要なのは「何をしないか」という活動を決めること。何故ならばSPの戦略論を支える理論は「トレードオフ」(こちらを立たせればあちらが立たぬ)であるから。
OC(Organizational Capability)
 企 業 に 固 有 のさ ま ざ ま な 経 営 資 源 の 中 で 、 「 組 織 特 殊 性 」 ( f i r m s p e c i f i c i t y ) の 条 件 を 満 た す も の= 「 他 者 が 簡 単 に は ま ね で き ず ( ま ね し よ う と 思 っ て も 大 き な コ ス ト が か か る ) 、 市 場 で も 容 易 に は 買 え な い 」 ことを競争の切り札にするアプローチ。 

O C の カ ギ は 「 模 倣 の 難 し さ 」で、模倣の難しさには3要因あります。

1) 暗 黙 性 = 因 果 関 係 の 不 明 確 さ =仕事の進め方や目の付け所。
2)経 路 依 存 性 ( p a t h d e p e n d e n c y ) で す 。 組 織 ル ー テ ィ ン は 企 業 の 内 部 で 長 い 時 間 を か け て 、 紆 余 曲 折 を 経 て 形 成 さ れ るからね
3)時間=真似しようと思っても、すでに加速度がついてしまっている


競争とは「すごい形相で追いかけてくる老婆」!?


・・・老婆。

企業が競争戦略を考えるとき、「ストーリーとしての競争戦略」では、競争戦略の例え話として昔話「三枚のお札」ならぬ「四枚のお札」として語っていて、これがわかりやすかった。

すごい形相で追いかけてくる老婆がいるときに・・・(=競争状態)

一枚めのお札:業界構造が魅力的ならお札は強力に効く(ファイブフォースでいう圧力が少ない)

(効力なし)

二枚めのお札:戦略のお札その1「SP」。他社と違う位置どりができれば圧力をまともに被らずに利益が出るのでお札は強力に効く

(効力なし)

三枚めのお札:戦略のお札その2「OC」。内的に模倣が難しい資源があれば効力あり

(効力なし)

四枚めのお札(お初!):「ストーリー」。個々の戦略が静的なコンセプトではなく動的なストーリーとなっているとお札は最終的に効く
=「何故儲かるか。何故儲かり続けるのか」が論理的に説明できるか。

効力あり!

ということで、長期的な利益が出ましたとさ。めでたし、めでたし。


戦略「ストーリー」って何?

四枚めのお札、ストーリーとは、起承転結で言えば「結」。サッカーの試合でいうならばシュート。何故点が入ったのか、いや、入るのかを論理的にイメージできる説得力で語られるものだという。

三枚めのお札までの競争優位(=他社との違い)を因果論理で繋げたもの。競争の本質が「違いを作って」「繋げる」こととすると、この「繋げる」ことがストーリーであり、これができているかどうかが競争の差別化になる。
流れがあり一貫していることとシンセンス(綜合)がポイント。数字など点のインパクトではなく、内外の人々をも興奮させるようなストーリーとなっていることが優れた戦略と。

うーん四枚めのお札、・・・わかるようでわからん。

今、老婆に追いかけられたら確実に喰われる。講義できちんと理解したい!


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