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ゲンダイ広告論。いまこそ“ラブレター”をどう書くか&どう届けるか、が面白い。

社内の経営戦略勉強会「Tribal Professional Academy」、通称「TPA」。今回のお題は「コミュニケーション戦略」。今回の課題図書はこちら。

なぜかこんな価格(13,296円)で表示される。実際は500円くらいの古い本。こちらについては、TPA同期のマツイカツヒコ|オタクマーケッター のnoteが面白い!ぜひ。

TPA同期のロパーYちゃん(我が社のnoteも支える広報ちゃん)が「広告だけで "よくも "1冊書ける…」と恨めしく嘆いていたこちら。恐る恐る読み始めたのだけど、アラフォーのマーケ初心者にとっては、マーケティングの中の広告の位置付けや基礎を掴むための教科書としては十分でした。(が、読後感と編集的にはYちゃんに激しく同意する)

情報大爆発時代においても、コミュニケーションの本質は相手を知り、知ってもらうことなのだ!  けれどもうっひゃあ、相手は光速で変わって行ってしまう! ならば、自分たちも光速で相対しなきゃね、ではどうやって?という話。2008年の初版とは思えないフレッシュな一冊。いい本だなあ。

さて。現代広告論 第3版 による広告定義はこんな感じ。

伝統的な広告は「有料媒体を使用した積極的コミュニケーション」である

インターネットが普及した現代の広告定義は

広告とは識別された送り手が、選択されたオーディエンスに対して、製品・サービス・団体・アイディアについて、伝達・説得・関係構築を図るために、大量伝達や相互作用が可能な有料媒体を介して行うコミュニケーションである

要はプロパガンダからコミュニケーション。本書では、その過程のパーツパーツについて、手取り足取り述べてくださっているのだけど、「そもそもパーツに分けることに限界があるよ」と言っているのが明日の広告。どういうことか。

かつて、ラブレター(広告)が届いていた時代があった。新商品を出せば興味を持ってくれ、広告は時代やライフスタイルにいい影響を与えてくれる輝かしい表現だった。(ラブレターの文章も練りがいがあったんだ!)

モノと情報に溢れ、消費者同士が繋がるいま、消費者はラブレターを受け取ってくれなくなった。受け取っても信じてくれない。辛い。

もうモテない、ということを自覚し、アプローチを変えるのである。
・相手のことを徹底的に調べ上げて行動を先読みする
・待ち伏せ場所を工夫する、組み合わせる
・確実にラブレターを手渡す
・他の楽しいことに目がいかないように感動的なラブレターを書く
・相手の友達にも気に入られるようにケアする
・付き合った後も十分にケアする
つまり、好みのタイプに自分が変わればいい。ホストになれ!

ラブレター職人はただのパーツ。全体が見えないままに部品を流れでは、ラブレターは絶対に届かない!というジレンマに陥る時代。
変化した消費者にラブレターを届けるためには、広告は商品開発からアフターサービスまで全てを使ってコミュニケーションしなければならない。

と言いつつ面白いのは、(広告組織が)部分最適化を排し、クレバーな仕組みとフールなクリエイティブにより消費者をゲットしても、その仕組みはすぐに真似をされ、通用しなくなる。だからクリエイティブが重要なのだ、という視点。

一周回って違う星にたどり着いた時、模倣困難性がもっとも高いのは、もはや透視できるほどに進化した審美眼と感性の冴えた消費者に刺さるクリエイティブなんだ、という話。ここで言われるのは、表現”以外”のクリエイティブ・ジャンプ。仕組みで認識させた後に、共感と感動を与える余力を忘れないでね、と。

広告は誰のもの?

広告論の気持ち悪い(失礼!)ところは、広告が企業主導で語られているところ。

今回ようやく思い出したのだけど、自分は大学時代、広告研究会に属していたし(!)、長くメディアにいて広告を売り買いしてきた。枠もクライアントのコンテンツも作った。代理店やレップとやりとりしてた。一般的な人よりずっと広告にべったりしてきたはずだ。けれども正直に告白すると、今日まで広告論=コミュニケーション論とならなかったのだ。なんでか? 往年作られた(広告が効いていた)、部分最適化で組み合わせた業界や組織の構造が要因の一つ。 そして、広告予算は企業が拠出する、という広告の本質がもうひとつ。どうしたって企業最適化しちゃいそうになる。反省も込めて。

「広告は企業のソリューションから消費者のソリューションへ」

企業からお金をいただく分、広告は企業の課題を解決する活動になってしまっていた。けれど、消費者のための商品を、消費者に役に立つ広告という手段で、消費者にラブレターを届ける。結果、企業のソリューションになっている状態。これが、これからの広告活動。美しい。納得。

どんどん領空侵犯しよう

自社に置き換えても、自身のプロジェクトに引き寄せて考えても、コミュニケーション・ミックスの必要性から生じる「全体最適化」に対して、どう切り込んでいくか、どう自己変容をどうするか? は正解のない問いにして、最大のテーマの一つだ。

一方で、例えばプロダクト開発で考えてみると、PMという役割が出てきたり、カスタマーサポートが開発からジョインしたり、はたまたデザインテック会社が広告代理店に代わって企業の活動を川上から川下までをコンサルしたり、と、セクションや役割を横断した動きが活発だ。通じているのは「顧客を含めた全体を知らずして、部分最適なんてできないはず。ましてや期待を超えることなんてできっこない」という、至極最もな本質。 

ああ大変だ!でも、なんて自由なんだ! テックもツールも揃いに揃ってる。消費者だけじゃない、私たちだって情報を無限にゲットできる…!
どんどん”領空侵犯”していこう。片思いし続けているまだ見ぬ大切な人たちに、ラブレターを届けるために。

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