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パワポ図解の作り方/①パワポ図解とは

おわりのはじまり

2020年2月頃に第一報が入ってきたコロナのニュースは、食品製造と施設管理を行う弊社にはそこまで影響ないよな…という感じであったが、日に日に深刻さを増し、3月末に志村けんさん、4月末に岡江久美子さんという国民的なスターをコロナによって失ったことで、未知のウィルスへの衝撃が日本中で走ることになった。 

5月のゴールデンウィークには高知の中心街からも人が消え、家族で家の周りを散歩していると制服姿の警官が自転車に乗ってやってきて、不要不急の外出は控えて家に戻るように促された。これまで安定していた既存部門の収益も急激に落ち込んで赤字が続くようになり、この状況が続けばこのまま会社がつぶれてもおかしくないんじゃないかという危機感を持つようになった。

社内でも動揺はひろがり、従業員からは「通勤してコロナに感染するのが怖い」「在宅勤務をしたい」という声があがりはじめ、実際に出社できなくなるものもいた。従業員の中にはプログラミングやユーチューブなど、ほかにやりたいことができた、といって退職するものもいた。2013年に東京の監査法人から高知に帰ってきて経営に携わり、日々試行錯誤を繰り返して作り上げてきた組織が、一瞬で崩壊していくのを肌で感じた。

そこから何かにすがるように毎日ビジネス書を読み返すようになった。会社経営を始めたばかりの時には、毎日のようにビジネス書を読んでいたが、最近は子供が生まれたこともあり、インプットの時間も取れていなかった。しかし、これから会社を支えてくれている従業員の生活を守るためには、情報を大量にインプットして、正しい判断をしていく必要があると思った。 

「京セラフィロソフィ」という本に「人生成功の方程式」について書かれている。仕事でもプライベートでも、人生で成功するかどうかは「考え方・熱意・能力」の3つの掛け算の積で決まるというものだ。

「熱意」と「能力」には、0点~100点まであり、「能力」は生まれつき与えられる先天的なものだが、「熱意」は努力で積上げることができる。そして、一番大事なのが「考え方」である。「考え方」にはー100点~100点まであって、正しい考え方を持ったうえで努力することが大切だ。

「能力」は生まれつき決まっているし、「環境」をすぐに思い通りに変えることは難しい。しかし、「考え方」は人間力を磨くことでプラス100点に近づけていけるし、「熱意」はスキルを磨くことで高めることができる。だから、従業員の「人間力」と「スキル」を高めることで従業員が自立し、みんなで協力して結果を出すことで幸せにできるのではないかという仮説をたてた。 

それから、従業員全員で毎朝オンライン勉強会を開催し、私が読んだビジネス書の中で今会社に必要だと思うものを選定して輪読し、従業員の感想をひとりひとり聞いてコメントすることを始めた。

それと同時に始めたのがTwitterでの情報発信だった。

まだ東京で消耗してるの?

2020年のGWに、家族で近所のラーメン屋さんにお昼ご飯を食べにでかけたら、隣の席に座っていたのは2015年に家族で高知に移住していたインフルエンサーのイケハヤさん一家だった。

私たち夫婦と出身大学が同じことと、私が東京の監査法人で毎朝満員電車に揺られて通勤し、月に120時間残業して消耗していたころに「まだ東京で消耗してるの?」というブログが話題になっていたので、その日の朝出かける前に「イケハヤっていま何してるんだろうね」と夫婦で話題にしていたところだったが、まさか隣でラーメンを食べているとは!

ますます今、高知で何をしているのかが気になって、その日から毎日、イケハヤさんをはじめ、当時話題になっていたビジネス系Youtuberの動画を見るようになった。当時のインフルエンサーたちが声を揃えて言っていたのが、「これからは情報が資産となる時代であり、情報発信する人のところに資産が集まる」「TwitterなどのSNSを伸ばすことが、これから成功するための鍵になる」という話だった。

コロナ禍で大きく環境が変わって危機感を感じ、何か次の手を打たないといけないと思っていたところに、情報発信の必要性を切実に感じることになった。そこで、これまでフォロワー20人くらいで放置していたTwitterのアカウントを掘り起こしてみることにした。

パワポ図解との出会い

私は学生の頃から数学と美術が得意だったが、記憶力が弱く、大学受験の時も一番時間をかけた社会科の点数は最後まであがらず、私立文系の数学受験に的を絞ってようやく合格することができた。 

読書する時も、出てくる登場人物や概念が多いと覚えられず、ボリュームのある本を読むのが苦手だった。ビジネス書を読み終わっても、その時は内容を覚えているものの、数週間たつとどの本がどんな内容だったのかすぐ忘れてしまう。これを解決するために、毎日ビジネス書を読んでA4ノートに気づいたポイントをメモし、Twitterで1日5回に分けて自分が覚えたいポイントを呟くことで、後から何度も見返す習慣をつけた。 

毎日読書してTwitterで呟く習慣をつけながら、どんなツイートが人気なのかを吸収していった。ある時友人のリツイートで発見したのが、パワポ芸人「トヨマネ」さんの桃太郎パワポだった。監査法人時代にビジネスパワポを作ったことはあったが、パワポで多くの人を楽しませる情報発信の方法に興味が湧き、自分もやってみたいと思うようになった。

私がTwitterを再開した2020年頃は、「ふじ図解」さんをはじめとしたパワポ図解や、「Powerpoint+」のあらたさんをはじめとしたパワポデザインの情報発信が人気で、クオリティの高いパワポを公開するだけでなく、どんなツールを使って作ったかについても公開してくれていて、すごく勉強になった。

これらの有益アカウントから得た情報をもとに、はじめて「7つの習慣」のポイントを8枚のパワポ図解にまとめて、Twitterで呟いてみたところ、想像以上に反響があった。

それまでビジネス書を読んだ感想を文章でつぶやいていたときは「1~3いいね」くらいが普通で、ちょっと跳ねて「13いいね」ついた時はテンションが上がったものだった。しかし、最初に発信したパワポ図解には「600いいね」がつき、フォロワーが1000人を超えた。 

それから毎日、ビジネス書を読んではパワポ図解を作るという生活がはじまった。自宅のリビングでノートパソコンを開いて、昼も夜も作業する私を見た夫は「そんなにパワポやる必要ある?」という視線を向けていたが、Twitterにどっぷりハマっていた私は、フォロワーさんからのリプやいいねが増えていくことに夢中でほとんど気にとめず、多い時は週2の頻度でパワポ図解を作り続けた。

この習慣が自分の人生を変えるだけでなく、新規事業の立ち上げにつながるとはその時は全く思わず、ただビジネス書でインプットしたポイントを4枚のパワポスライドにまとめて落とし込む作業に没頭していた。


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