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誰か仕掛けた?派閥のパー券、裏金作りの顛末と衆議院解散のシナリオ

今、なんでこれが話題になるんだろうね。派閥のパー券。

議員会館の地下廊下で

議員会館で久しぶりに会った元秘書との立ち話の第一声はこの話でした。

私も、不思議に思っていました。旧統一教会の件も、旧ジャニーズ事務所の問題も、国内外を問わず大問題になっている案件は沢山あるのに、解決の道筋も見えないうちに、今度は「裏金問題」。こういうとき、テレビのワイドショーや新聞がどの話題で持ちきりになるかで、その他の話題は語られる機会を失います。今回の派閥のパー券問題では紛れもなくこの二つの話題が影をひそめることになるでしょう。

「パー券」とは、政治家が開く政治資金パーティーのチケットのことです。今回問題になっている派閥のパーティー券もこれですね。

何が問題になっているかというと、売った額のうちいくらかを報告書に記載せずにどこかに隠しているんじゃない?ということです。

政治家は、お金の流れが見えるように収支を記載して公表することが義務付けられています。収入と支出を収支報告書という書類に書いて、公にしなければなりません。その収支報告書に書いていないお金があるんじゃないかというのが、今回の疑惑。

テレビを見ていると「これは脱税だ!」と言ってる方がいらっしゃいますが、収支報告書に収入を記載しないことは「脱税」ではありません。
お金を支給するのはその政治家が所属する派閥という名の政治団体です。その派閥から入るお金は「寄付」として所属する政治家の政治団体に入金されます。ですので、入金されたお金は「売上」ではないのです。よって収入として課税されることはありません。

では、課税もされないのに、政治家はどうして報告書に記載しないのでしょうか。

撮影鈴鹿

問題の本質はここにあるのではないかと思っています。政治家が自分の懐に入ってきたお金を無かったことにする、隠すことで、いったいどんな得があるのでしょう。

使っても使わなかったことにできるお金。
元々無かったことにできるお金。
秘密で使うことができるお金。
こっそり手渡しして、足跡が残らないお金。

こんなお金があったら、政治家は何に使いたいと思うのでしょう。
そうです、これが「裏金」なのではないかといわれる理由です。

入ってきたお金を無かったことにして、こっそり隠しておく。必要になったら、こっそり持ち出して「誰にも内緒」といって誰かに手渡す。振り込むわけではないから、足跡は残らない。そのお金を受け取った人は、そのお金をくれた人の役に立つように秘密で何かをする。

選挙で規制しているのはお金持ちだけが当選してきた反省

そもそも、公職選挙法は、かつてお金持ちだけが選挙に出ることができたことによって、政治と暮らしがゆがめられてきたことを反省してできた法律です。だから、ポスターの大きさとか、配布できるビラの枚数とか、お金さえあれば知名度を上げられることに歯止めをかけてきました。その法律の中で、秘密の資金が作られることは、選挙の結果をゆがめることになる。だからこんなに大きな問題になっているのです。

広島の一億五千万円事件

思い出してみると、3年前にこんな事件がありました。広島県内の政治家40人に計1680万円提供したとして逮捕された河井夫妻の事件です。ウグイス嬢の日当が法律で線引きされた1万5千円より多かったのではないかというところから始まり、捜査が進むにつれ、お金を配った先に地元議員の名前が取りざたされ、額はどんどん膨れ上がっていき、ついには総額1億5千万円とも言われていました。このお金も党本部からでていたのではとのことでしたが、通常の選挙では党本部から候補者に出るのが1500万円。となるとその10倍の金額が投入されていたことになります。


今回、話題になっている派閥のお金がこんな風に選挙の裏金として使われるとしたら、選挙結果にも影響を与えることになり、国民の「清き一票」が踏みにじられることになります。収支報告書に記載しない入金を「裏金」として今問題視されている理由はここにあるのです。

鈴鹿撮影 *本件とは直接関係はありません

派閥からノルマを課されて配布されたパー券
このパー券の売り上げは、その名の通り派閥の活動資金となります。派閥がこれを何に使うかというと

①    派閥に属する政治家の選挙資金
②    氷代(夏)、餅代(冬)
③    派閥の研修会の費用
④    派閥の例会・勉強会の弁当代
⑤    派閥の事務所の職員などの人件費や家賃等

などです。

派閥に所属している議員に活動費として、②にあるように夏は「氷代」冬は「餅代」と呼ばれる地元での政治活動の費用として配られます。このお金、ほとんどの場合が現金で配られます。これが慣習なのか、何かの意図があるのか定かではありませんが、「振込」でないことに何か理由があるのではないかと勘繰りたくなります。疑われたくないなら、振り込みにすべきでしょう。

さて、この「リクルート事件以来の大スキャンダル」と言われている今回の派閥の裏金問題。政治家の誰かを人身御供のように逮捕させて終わりなのか、それとも秘書を逮捕して終わらせるのか。そんなごまかしは許さないとばかりに国民が怒りを爆発させて追及するのか。

かつての野党の派閥のパーティー

岸田首相は今日、自身の派閥の長を降りると発言しました。派閥と距離を置く、と。岸田首相がやってきたことに特徴を見つけようとすると、それは「想定外の前倒し」です。前代未聞の仏滅選挙も、想定外の前倒し解散も、この先どうなるかを考えた時、これまでの岸田首相のやり方から見ると、何となく見えてくる気がします。

今回の派閥からの裏金疑惑から、逮捕者がでるのは必然でしょう。国会議員の不逮捕特権は国会開会中に限られたものということからも、状況を見極めるまで国会は延長して開会しておく。年をまたいでも開き「膿を出し切る」等と言って、国民の耳目を集める。そして、誰か逮捕者が出たところで、ことは収まったとして正月明けに衆議院を解散。例年の通常国会が開会されてきた第2週か3週目あたりに投開票日をもってきて、自民党が勝利。「岸田は国民の信任を得た」として、続投。良いか悪いかは別として、今日のところの私の妄想。

岸田政権の支持率25%をみたとき、岸田首相にとって存命を計るのはこの手しかないように思います。そうではあっても、インヴォイス制度のように国民からは絞れるだけ搾り取り、自分たちはこっそりズルをするなどという、政治家と派閥の在り方をこの裏金問題はあぶり出しています。どこまでやり切ったら私たちは納得するべきか。今回ばかりはしっかりとウォッチしていきたいと思っています。


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