見出し画像

I Don’t Speak Portuguese... 〜ワタシ ポルトガルゴハナサナイ〜

2005年10月5日の日記。
米国ヴァージニア州の片隅にある日系企業の現地法人で、日本人駐在員である「ぼす」の元、秘書兼通訳兼「やっかいごと よろず引き受け業」的な何でも屋さんとしてのお仕事を終え、しばらくぶりに日本に戻ってきた時の日記。
─────────────────
ショックだったのである。

高校を卒業して自動車学校にも通わぬまま渡米したワタシは日本の運転免許証を持っていない。離米前に国際免許を作ってきたので1年間は日本でも運転できるが、帰ってきた地元は基本マイカーが移動手段という地方都市。ちょっと買い物とかちょっと病院へ、というたびに「ごめん、車出してもらえる?」と誰かにお願いしないといけない生活はやっぱり少し不便。やっぱり自分のペースで好きなときに好きなところへ、行きたい。

幸い姉の旦那さんのジムニーを日中は好きに使って構わないというし。

外国免許から日本免許への切替ができると聞いて
最寄りの免許センターまで足を伸ばした火曜日のこと。

在米日本大使館のページ からのリンクだとまるで試験が免除されるかのような書き方だけれど、警視庁のページ には「学科試験、技能試験は免除されますが、知識確認及び技能確認を行う場合があります」という記述が見つかった。

しかも、さらに調べてみたところほとんどの都道府県において、略式ではあるけれど一応筆記と実地試験があるらしい。

試験かぁ...。

すっかり憂鬱になってしまうワタシである。

とは言え、そんなにすんなり日本の免許取得ができるとは思っていなかった訳で。切替手続きには前もって予約が必要らしいので、とりあえず必要書類を揃えて免許センターへ行くことにした。

どうあがいても悪人面に写ってしまうスピード写真の機械で受験票用の証明写真を撮り、市のサービスセンターで住民票を一部入手。あとはパスポート2冊と印鑑、それからヴァージニア州の免許証。途中JAFに寄って国際免許の翻訳証明を作ってもらい、いざ免許センターへ。

まずは総合案内の窓口に行って外国免許の切替方法について確認してみたのだけれど、担当のおばさまが開口一番こう言った。

「ポルトガル語の書類を切らしてるんだけど英語でもいいかしら」

へ?

「ぃゃ、あの英語でも構いませんけど...???」

釈然としないまま説明を受けていたのだが、どうにも話が噛み合わない。

「あいでんてぃふぃけーしょん。身分証明書よ。わかる?」
「ぁ、あのー、日本語でも大丈夫ですけど」
「あ、そうなの?日本語で平気?」
「ぇ、ぁ、はい」

...どうやら日系ブラジル人に間違えられたらしい。

別の窓口で受験票を作成してもらうことになったのだけれどそこでも更に、担当のおねぇさんにトドメを刺される。

「試験当日は通訳が必要ですか?」

しっかり「日本国」と書かれたパスポートを持参しているというのにこれだもの。

自分の「あいでんてぃてぃー」というやつに、少々自信がなくなってしまったワタシなのである。

追記: あとで知ったことだが、ワタシが日本にいなかった11年とちょっとの間に地元は外国人、特に日系ブラジル人が増えており「日本国」のパスポートを保持しているからといって必ずしも日本語が堪能な訳ではなく、会話に不自由がなくとも読み書きはあまり得意ではない人達に免許センターの職員さん達は日々接している模様。そしてそもそも外国免許から日本の免許に切り替える日本人はレアケースだから勘違いされても仕方なかったのだと思う。免許センターから帰宅してこの話をしたときに「あんたの化粧や服装や体型がどう見ても日本人ぽくないからじゃん?」とゲラゲラ笑っていた姉のコトバは、とりあえず聞かなかったことにしておく。

実際の試験当日のお話は こちら から

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?