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I Want a Hippopotamus for Christmas 〜ホシイノハ アナタ ジャナクテ〜

2004年12月16日。
米国ヴァージニア州の片隅にある日系企業の現地法人で、日本人駐在員である「ぼす」の元、秘書兼通訳兼「やっかいごと よろず引き受け業」的な何でも屋さんとしてお仕事をしていた頃のお話を。
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クリスマスに欲しい、というのである。

通勤途中のカーラジオ。ローカル局のパーソナリティが言うには、この時期いちばんリクエストが多いクリスマスソングは

“I Want a Hippopotamus for Christmas”

という曲らしい。

直訳したら「私はクリスマスにカバが欲しい」、もうちょっとひねって「クリスマスに欲しいものはカバ」ってとこかしら。一度聞いたら忘れないクリスマスソングには違いない。なんてったってそのインパクトの強さと言ったらもう。

1953年の曲らしいが、今でも変わらず愛され続けているのは、その衝撃的なタイトルのせいだけではなさそうだ。歌っているのは当時10歳の女の子。詳しい歌詞は ここ を御覧頂きたいのだが、単にかわいいだけじゃないのだ。

あ~ぃ うぉんとぁ ひっぽたむす ふぉぁ くりぃすまぁ~す

って歌ってるのを聞くと、自然に口元がほころんでくる感じ。とにかく愛嬌たっぷりな歌声。

さて、何がなんでも「カバ」が欲しい「私」な訳だが歌詞の中に動詞 DO を使った便利な表現があるので御紹介。

“Only a hippotamus will do”

直訳したら「カバだけがする」となり、意味がよくわからなくなってしまうかもしれないが、その後に続く

Don't want a doll, no dinky Tinker Toy
(お人形なんていらない。ちっぽけでつまんないおもちゃもイヤ。)

からも連想できるように、「カバじゃなきゃダメ」ってこと。

後半では

No crocodiles, no rhinoceroses
(ワニじゃイヤ。サイでもダメ。)

とにかく「カバじゃなきゃダメ」って再度同じフレーズが繰り返される。どうやらよっぽど「カバ」が欲しくてたまらない様子。

この WILL DO もしくは WOULD DO は、結構便利な表現で、覚えておくと重宝するかもしれない。上記の「カバ」の場合では ONLY との組み合わせで
「~じゃなきゃダメ」という意味だけれど、単独であれば「~なら大丈夫」「~なら構わない」ってことだ。

「何食べたい?」って聞かれて

I'm so hungry. Anything will do.
(おなかペコペコだから、とにかく何でもOKさ)

って答えたり

「予算いくらくらいにする?」って聞かれて

$100 will do.
(100ドルあれば十分だろ)

って答えたり。

はっきりした回答を出さない相手に詰め寄る時に

A simple yes or no will do.
(イエスかノーかだけでいいから答えろよ)

って言ってみたり。

好みのタイプを聞かれて

Any decent man will do.
(まともな男だったら誰でもいいわ)

って答えてみたり。

意味的には WILL BE FINE とほぼ同義語だけれど
とにかく使える表現なので覚えておきたい。

それにしても「カバ」を欲しがった女の子の顛末は
どうなったんだろう。

クリスマス当日に「カバ」をもらえなかった理由を
女の子の御両親がいったいどんな風に説明したのか
気になるところである。

追記:
帰宅したらちょうどマライア・キャリーの「恋人達のクリスマス」こと「All I Want For Christmas Is You」が期間限定チャンネル見放題のスカパーで流れていたのだけど。「あなた」以外はなんにもいらないって歌詞。ツリーの下のおもちゃなんていらない。靴下だって吊るさないし雪だって降らなくって構わない。欲しいのはただあなだだけって...「クリスマスに欲しいのはカバ」に対するオマージュだったりして。





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