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「遺族の作品だから」ではなく、作品自体をまっすぐ評価してほしい。その想いは、届いているように私には見えた。

先週末、映画「あなたの瞳に話せたら」自主上映会×トークライブを開催しました。当日は、コロナ対応で会場50%制限とし80名限定(お断りした皆様申し訳有りませんでした)。オンラインでは1,300名の方々に御参加いただきました。

ページトップの写真は、イベント終了後の劇場で、撮影の瞬間だけマスクを外し、撮影しました。

企画開催によせた私の想いは、こちらのnoteに書きました。

映画を上映した後は、鈴江奈々さん(日本テレビ アナウンサー)の進行で、佐藤そのみ監督と、監督とおなじく大川小学校卒業生の永沼悠斗さんの3人で、トークセッションを行いました。

トークセッションで話してくれたそれぞれの想い

トークセションの中で、佐藤そのみ監督は、こんなことを話してくれました。

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そのみ監督:「この10年、どこに行っても、被災者とか遺族という目で見られる。いつまでそれを背負い続けなければいけないんだろうと、それに耐えられなくなった時期もあった。

周りの人が求めている自分に慣れていった。与えられたものをやれば、拍手をもらえてしまう。この映画も、映画としての評価よりも、被災者であり遺族の女の子が作った映画だから褒められてしまうのではないか。

震災がなかったらこういう自分だったはず、と思うこともあるけど、震災があったから今の自分なんだって、あの体験は自分を成長させるために必要なことだったんだと、そう肯定できるようになれるよう、前を向いて生きていきたい。」

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石巻からオンラインで参加してくれた永沼悠斗さんも、想いを話してくれました。

悠斗さん:「自分はメディアには震災後5年ほどは出ていなかった。そのみさんがリーダーとして頑張っていて、羨望の目で見ていた。でも、同時に大変なことがあるんじゃないかなと心配もしていた。

自分たちは、どこにいっても被災者で、遺族。その事実はは変わらないけど、どうそれを受け止めるかをずっと考えてきた。亡くなった弟にいま僕がどんな兄に見えているか。それを考えると背筋をピンと伸ばしてくれる。家族や友達にいいかっこしたいのは、それは震災があってもなくても変わらない自分。そういう、自分をひとつずつ見つけていくと、もっと生きやすくなるのかなと思う。」

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2人の想いを受けて、鈴江奈々さんは、「災害報道をする立場として、津波の怖さをきちんと伝えること、被災された方々の想いを伝えることをしてきた。だけど同時に、常に伝え方について、悩み続けていた。たくさん後悔もある」と話してくれました。

私の10年間の葛藤

この10年間、私も奈々さんの悩みにとても似た葛藤を感じてきました。

私は2011年の震災後に被災した町に移住し、日常を失ってしまった子どもたちが安心できる居場所と学びの場をつくると決め、取り組んできました。被災した人たちの気持ちや本当に必要をされていることをちゃんと理解しないと、いい支援にならないと思い、現地に引っ越しました。

しかしこの10年間、何が正解なのかわからないままでした。

私の正義は、誰かにとっては助けになったかもしれないけど、誰かにとっては正義の押しつけでしかなかったのかもしれない。必要な機会だとおもってやってきたことで、傷ついた子がいたかもしれない。

アドレナリンが出る日々の中で、良かれと思ってやっていた場に、どこでボタンをかけ間違えたのか、静かに来なくなってしまった子の顔も、何人か浮かびます。

10年前のあの時、被災地とよばれた町に集まった人がみんな、わからなかった。たぶん、現地で生活していた私が想像もつかないことは、世界中からなにかしたくて支援を申し出た沢山の人達は、もっとわからなかったはず。そしてそのわからなさは、今も続いています。

でも、わからないからと怯えて何もしないうちに忘れてしまうよりは、わからないなりに対話しながら、歩き続けること、考え続けることをやめないこと。

そうしているうちに、自分のあり方の輪郭も変わっていく。そんなことを、今回、そのみさんと、悠斗さんから教えていただいたように思います。

今回の企画において最も重要だった映像配信は、全て日本テレビの社内ボランティアチーム「よみひと知らず」の皆さんが担っていただきました。このチームもまさに、報道を仕事にする方々が、悩み葛藤しながらも、一人の人間として役に立ちたい。そんな想いであの震災後に作られたチームなんだそうです。

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↑バックヤードで配信をしていただいている、よみひと知らずの皆さん

私個人としては、あの時、いつしか来なくなって、会えなくなっていたあの子と、この会場で再会できたこと。

そして目を見て、なかなか思い通りにいかない人生について話してくれたことが何よりうれしく、「生きててくれてありがとう」と、そんな気持ちになりました。

21年3月中はアーカイブの公開が決定

この映画は、そのみ監督がこの日に限って公開することを決定してくれたものでした。しかし終了後、NPOカタリバ事務局に多数の方から「どうしても観たいから公開してほしい」という声が届きました。監督の本音は「映画がひとり歩きして、心無い人たちに届いてしまうのではないか」実はその点についての不安もあるそうです。

ですが、あの震災から10年目。

この映画で「自分ごととして考える」ことに貢献できるならと、2021年3月中限定公開で、申し込みいただいた方はアーカイブ視聴可能とすることを決めてくれました。

今から申込みいただいてもアーカイブをご覧いただけますので、ぜひ下記のボタンからぜひお申し込みください。

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ハッシュタグをつけた感想を募集しています

ご覧いただいた方は、ぜひハッシュタグ「# あなたの瞳に話せたら」をつけて、Twitterやnoteで感想を書いてみてください。いただいた感想は、監督の佐藤そのみさんや、映画に登場する方々に届けたいとおもっています。

早速感想を書いていただいたみなさま、ありがとうございます。


noteでも感想を書いていただいています。


あれから10年。
明日は3月11日。

この映画が、一人でも多くの人の心に届きますように。

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