企業分析『大東建託』
皆さん、
おはこんばんにちは!
kumazoです!
今回も、
不動産・建設業界の企業分析をしていきたいと思います。
不動産業界・建築業界に所属するものとして、
企業分析をすることで、
企業の良いところを自分自身に取り入れていきたいと思います。
いくつかの企業の数字を分析して比べていくことで、
企業の特色がわかるのではないかと思います。
参考資料としては、
決算短信、決算説明資料、EDINET、株探、IRBANKを用いて、
数字の分析をしていきます。
今回は、大東建託について分析していきますので、
よろしくお願いいたします。
本編に入る前に、少しだけ自己紹介をさせてください。
Kumazoは一級建築士で不動産・建築業界で15年以上従事し、
マンション・ホテル・戸建て住宅などを設計してきました。
個人的にも不動産投資を行っており、
建築専門の立場から不動産コンサル等を行っております。
現在では、不動産投資用のマンションを設計する立場で、
不動産関係のいろんな方々と仕事をしていることもあり、
内情には明るい立場におります。
不動産投資を正しく理解し、
大失敗をする人やだまされる人が減ればと思い発信をしております。
Kumazoは建築オタクなので、
建築を通して人が幸せにすることができたらうれしいです。
自分で「不動産投資の基本のき」というブログも書いておりますので、
こちらもどうぞ。
※企業分析をしたい方にお勧めの本はこちら
では、本編に参りましょう。
1.企業概要
「大東建託(1878)の企業概要」について解説していきます。
建築業界でも不動産業界でも本当によく名前を聞く企業で、
不動産に関係ない方でもCMで「大東建託♪」を
見たことがあると思います。
ワンルーム業界では、
2020年にインヴァランスというワンルームデベロッパーを
買収して業界をざわつかせました。
その当時、
インヴァランスと一緒に仕事をしており、
担当者からその話を伺った時に驚いた記憶が残っています。
メインの事業内容は、
・建物賃貸事業の企画・建築
・不動産仲介・管理
ですが、
グループ会社として
・建設
・スチール工場
・ガス事業
・デイサービス
・海外での不動産賃貸業
・ワンルーム事業
など幅広く手掛けております。
資本金は290億円で、
従業員数は17650名を超えの大企業です。
株価は、
2017年12月23550円の最高値を付け、
その後値を下げ続け2020年のコロナショックで、
2020年8月に安値8032円まで下げております。
そこから回復し、
2022年6月13日現在の株価は11410円です。
配当利回りが4.5%となっており、
高配当銘柄となっております。
2.バランスシート
「大東建託のバランスシート」について解説していきます。
(2022年3月期決算短信より作成しております。)
1.バランスシートの大きさは10,058億円となり、
これが大東建託の資産の大きさとなります。
今期に資産全体が1兆円を超えました。
2.流動資産が流動負債の2倍近くあります。
その中でも1番に多いのが現金で2,591億円あります。
流動資産の半分近くが現金です。
2番目に多いのが「営業貸付金」です。
あまりない項目であくまで想像になってしまいますが、
土地のオーナーが建物を建てる際に、
頭金(契約金など)が必要になりますが、
それを貸し出しているのではないかと思います。
3.自己資本比率は36.35%となっております。
超優良な健全さです。
万全の体制ですね。
利益剰余金が3,191億円もあるので、
ありすぎるぐらいです。
一般的な不動産デベロッパーだと、
流動資産の大部分は販売在庫の方が大きいですが、
大東建託は現金がかなり大きくなっております。
それは、
大東建託が土地を仕入れないビジネスモデルだからです。
大東建託は土地を持っているオーナーに対して、
オーナーのお金で建物を建ててもらいそれをサブリースで借り上げて、
賃貸しています。
営業力の強い建設業とサブリースが合体した会社です。
建物を建てる資金はオーナーが出すため、
大東建託自体は自分の懐から資金を出すわけではないので、
現金が貯まっていく形ですね。
ビジネスモデルとしては、
素晴らしいモデルですね。
3.損益計算書
「大東建託の損益計算書PL」について解説していきます。
まず、画像の図は、
2021年4月~2022年3月 決算短信・株探より作成いたしました。
1.営業収益(売上高)は15,830億円
2.営業原価は13,228億円で原価率は83%
3.営業利益は995億円で営業利益率は6.2%
4.営業CFは1,124億円でFCFは929億円
上記のようになっております。
売上が1兆5000億を超えており、
かなりびっくりしました。
これだけ売り上げを上げている建設業は
大和ハウスぐらいでしょうか。
根本は建設業なので、
原価率は高くなります。
また、営業利益率もかなり低い数値となっております。
昔、
大東建託の設計部に入社した大学の後輩に話をきいたことがありましたが、
建築の設計で入社して5年程度で給料が1000万円を超えていました。
社員にも、
相当インセンティブを支払っているということも、
営業利益率を下げている可能性があります。
数字だけ見ると、
営業利益率が低いなーと思ってしまいますが、
BS上ではかなりの現金持ちですし、
お金に困っていない感じがしますね。
もともと現金を必要としないビジネスモデルなので、
現金が貯まっていってしまうのでしょう。
CFに関しては、
前期少し落ち込みましたが、
今期は落ち込み以上に盛り返しております。
4.株価と指標
「大東建託の株価と指標」について解説していきます。
決算短信と株探のサイトから数値を引用しております。
株価は、
2017年12月23550円の最高値を付け、
その後値を下げ続け2020年のコロナショックで、
2020年8月に安値8032円まで下げております。
そこから回復し、
2022年6月16日現在の株価は11,020円です。
PER 10.7倍。
日経平均のPER(荷重)だと13.19倍なので安め。
2018年に株価最高値を付けてから
下落傾向にあります。
PBR 2.05倍。
不動産・建設業系で2倍を超えているのは珍しいです。
市場から評価が高そうです。
当利回りは4.66%で、
高配当と呼べる利回りとなっております。
株価が下がっているうちに、
購入したいですね。
EPSは1026です。
2010年から右肩上がりで、
2020年に最高値を付けましたが、
そこから下落して現在は、
2017年とほぼ同じ水準となっております。
最後に、
売上高のグラフを掲載しております。
2000年からきれいな右肩上がり。
リーマンショック、震災などがあったとしても、
売上を伸ばしております。
2021年に一時的に落ち込みましたが、
2022年は回復をしております。
2000からの20年は成長を続けておりましたが、
今後売り上げを伸ばしていけるかが、
注目ですね。
5.補足
本日は、
「大東建託の分析補足」について解説していきます。
※内容は有価証券報告書・IRBANK・決算発表資料 を引用しております。
今回、
高配当株ということで、
配当金について、
データをまとめてみました。
1.配当金推移
2.配当利回り推移
3.配当性向推移
4.EPS推移
についてまとめてみました。
1.配当金推移について
2020年までは増配しておりましたが、
2021年に減配しております。
2.配当利回り推移について
2020年に6.49%を付けておりますが、
大体3%台から4%台で推移しております。
直近だと2020年以外は3%台で推移しております。
減配した2021年の配当金は455円ですので、
3%で割り戻すと株価15166円、
4%で割り戻すと11375円
現在の株価が10900円なので、
減配した時の株価より割安感があります。
3.配当性向推移について
配当性向は2021年に60%を超えており、
2021年は減配の都市なので、
大東建託的に60%の配当性向がギリギリということになります。
決算発表では、
配当性向を50%で維持すると言っているので、
利益が増加すれば配当金も増えていくということになります。
4.EPS推移について
2020年までは右肩上がりで伸びてきましたが、
2021年に一時下落しております。
2021年は、木材が急騰などの
材料費が急騰した時期と重なりますので、
それを飲み込んだ形でしょうか。
今後も材料費高騰の影響は残ると思いますので、
EPSはなかなか回復しない可能性があります。
今後、どのように売り上げを伸ばしていくかが、
成長のカギになります。
決算発表では、賃貸住宅事業の一本足から
生活や住まいに関わる多様なサービスを提供していくとのことでした。
BSでも見た通り資金力のある会社ですので、
多事業展開がどこまでスピーディーに進んでいくかが楽しみです。
6.まとめ
ここまで主な数値を見てきましたが、
大東建託の営業力とビジネスモデルが光る内容でしたね。
資産回転率が他の会社と比べて群を抜いて良いので、
今後の成長性も期待できます。
国内だけでなく海外でも売り上げを伸ばしていけるかに
注目ですね。
決算短信に記載には、
「従業員の新しいインセンティブプラン」を導入することについて決議したとのこと。
従業員に対して還元が進めば能力の高い社員が増えていくと考えられます。
成長性は社員の能力の高さも必要なので、
こういった社内体制もプラスに働くことでしょう。
また株主還元についても、
配当金や自社株買いによる総還元性向を50%としているので、
売り上げが伸びていけば配当金の増配も見込めると考えられます。
投資妙味がありそうですね。
今後も不動産投資・高配当株投資で役立つ情報を投稿していきますので、
少しでも参考になったかたは、
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