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ナレーションを極める40 悔しさが宝になる 仕事で大切にしてきたこと

ナレーターの熊崎友香です。テレビ東京WBSや、NHKアジアインサイトなどでナレーションをしながら、4歳と6歳の子供を育てています。

今、苦しいこと辛いこと、どうにもうまくいかなくて悩んでいる方はいませんか?

その経験が宝になるかもしれない。というお話を綴ります。

おかげさまで、大学を卒業してから、22年、テレビやラジオの音声表現の仕事に、携わっています。何度もお話ししていますが、学生時代、全国の局アナ試験に次々と落選し、はしにも棒にもかからなかった私が、そのあと、なぜ、今まで途切れることなく大なり小なりテレビやラジオの仕事に携わってこれたのか。

がむしゃらに、ひたむきに一生懸命やっていたら、気がついたらここにいた。という印象なのです。

そして、まだまだこの山をおばあちゃんになるまで、一歩一歩、命果てるまで登っていきたい。と思っています。


そんな私が、仕事で大切にしてきたことをお話しします。

1、素直に聞く

卒業後、江戸川区のコミュニティラジオ局で働けることになりました。どこにも合格できなかった私を拾ってくれた、感謝の気持ちでいっぱいでした。少しはアナウンスの時間もありますが、ほぼADとしての仕事です。とにかく自分は下手で、自信もありませんでした。「どこにも受からない私に目をかけてくれた!全力で成長するぞ。制作をしていて学ぶことも多いはずだ。全部吸収するぞ」そんな気持ちでした。そこで、先輩のアドバイス、上司のアドバイスには、全て「ハイ」と全部素直に聞きました。あの時、「でも」「だって」と思ってしまい、聞き入れなかったら、成長はなかったでしょう。まず、その意見を受け入れる。ことが大事です。

2、即行動

思い立ったらすぐ行動。人に関してもです。この人に認めてもらいたい、仲良くなりたい、アドバイスをいただきたい、お近づきになりたい。と思ったら、すぐ行動。すぐお礼をする。メールをする。お手紙を書く。人より早く動くことを意識していました。

仕事は全て「人」が運んできてくれます。出会いやチャンスも「人」が運んできます。コミュニティの先輩たちは、みなさんフリーランスで、他の局でも仕事をしていました。例えばTBSや東京FM,NHKでレギュラーを持っている方も多かったです。その方々が、私のことを気にかけ、その現場に見学に連れて行ってくれたり、その現場の原稿をくださったり、いろんな世界や思いやこだわりを惜しみなく教えてくれました。素直に感謝。謙虚でいること。そしてすぐに行動することで、先輩たちの教えや経験を知ることができました。先輩たちは皆、フリーですので、自分の経験を話したり教えたりする必要はなく、部下育成などは業務にありません。いかに目をかけ、可愛がってもらい、この子になら教えちゃおう。と思ってもらえるか。こう書くと嫌らしいですが、、、そのためには即行動、素直、謙虚、感謝。この辺りが大切だと考えていました。

3、いつも新人な気持ち

自信もなく実績もなかったのが逆に良かったのか、自分はすごい!なんて思えるような人生ではありませんでした。俳協の養成所に入った時も、すでにNHKで10年リポーターをしておりましたが、そんなことはすっかり忘れ、10歳以上若い、年齢の離れた学生さんたちと、同じ感覚で、新人だと思って過ごしました。自分で言うのもなんですが、隔たりなく過ごせました。(周りのみんなもそう思ってくれているはず。。。)

自分に自信がなく、ナレーションに関して好きではあるけれど、うまいと思ったこともなく、アナウンスとナレーションは全く別物と考えていたので、もう一度、ゼロからのスタートという覚悟でした。学生の就職活動をしていた、あの頃から始める気持ちで臨んでいました。

特に最後まで残っていた養成所の仲間が、大人の対応をしてくれたのもあり、私はひとまわり違う生徒さんの中でも、年や経験が上だからと偉ぶることもなく、おごることもなく、逆に引け目を感じることもなく、普通に図々しくも、同じ新人として過ごすことができました。

ですから、10年やっている自分よりも、未経験のこの子の方がナレーションが上手だぞ!という事実も、きちんと受け入れることができました。あれ?わたしなにやってきたんだろう?という思いもありましたが、こう考えていました。

私は10 年働いてきて、やっとここまで(養成所の最後のあたり)やってきた。この10 歳したの子たちは、なんてすごいんだ。まず、技術がある。そして、社会人として、マネージャーさんがいなくてもスタジオに1人でいかせても大丈夫な安心感。立ち居振る舞いや、コミュニケーション能力に長けている。

私の10年前はどうだっただろうか。ここに残れていたとは思えない。20前後で、しっかり夢を持ち、努力をし、人に挨拶し、交流し、見た目も清潔で爽やか。そんな素敵な10歳下の同期を、私はリスペクトしていました。すごいなぁと。こんな子たちがいるのかと。そうして、一緒に過ごせることに感謝していましたし、刺激やパワーをもらっていました。

全国の局アナ試験に落ちたから、余計なプライドや恥をかくことに全く抵抗がない。

あの経験が、私に「聞く耳」を持たせ「すぐに行動する」姿勢を持たせ、「いつも謙虚に新人の気持ちで接する」スピリットを持たせてくれている。あの苦しみ、悲しみ、どうにもならない歯痒さや悔しさが「宝」となって、今までの仕事に繋がっているのです。

もし、今辛い、悔しい、うまくいかない経験の真っ最中だ、という方がいましたら、その経験が、もしかしたら後々あなたの「宝になる」今、その英才教育を受けているんだと頭の片隅に置いて過ごしてみてください。希望の未来の道へつながりますように。

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