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ナレーションを極める2 好きなことを仕事にするには 落ちこぼれの私がナレーター事務所に所属するまで

テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」
のナレーションをしています熊崎友香です。

2歳と4歳の子供を育てながら
フリーランスでナレーターをしています。

新型コロナウイルスの影響で

文化スポーツイベントが中止になり

好きなことで食べていくという選択をするのに

さらに躊躇してしまう環境ではありますが、

そんな中でも、おかげさまで、好きなことを仕事にし
子供も授かり、さらに仕事を続けられありがたい環境に感謝する日々です。

しかし、ここに至るまでの道のりは平坦ではありませんでした。

とくに秀でた才能もなく面接も苦手。そんな私が、好きなことで食べていけるようになったのは、シンプルですが、

自分と向き合い、本当に好きなことを追求し、

それを応援してくれる人の助言を素直に聞き
行動したこと

が大きかったのかなと思います。

アナウンサーとしても、はっきり言って落ちこぼれで東京で仕事ができるようになったのは30才を過ぎてから。学生を卒業して民放の局アナに合格!という人とはまるで違い、遅い遅いスタートだし、長い道のりでした。

長くなりますが、学生時代からの経験を綴りますので
もし、よければご覧ください。

新型コロナウイルスの影響で
ついに甲子園が中止になりましたね。

球児の皆さん、関係者の皆さん
辛いですね。。。

私はもともと甲子園が大好きで
野球が強いという理由で高校を決めて、
野球部のマネージャーになったくらい、
甲子園に没頭する子供時代を過ごしました、

もちろん将来の夢は、場内アナウンス、
球場のウグイス嬢でした。

大学時代の就職活動では、
プロ野球入団を目標に
全力で調べて面接を受けました。

西武鉄道さん、オリックス生命さん、巨人など

今思えばよくそこにたどり着いたなという感じです。

余談ですが、巨人の面談で

「ここは男社会です。女性は三歩下がってニコニコしながらお茶を出すことが大事です。あなたにそれができますか?」と聞かれ

「できます」と答えたものの、

心の中で「うーん、できないかも」と

思ったことがありました。

「ファールボールにご注意ください」という原稿を読む。という試験もありましたが

「球場の雰囲気が全然伝わらない」

と言われて落選。。。

そんな中、途中から

「選手の名前を呼ぶより、選手の気持ちをクローズアップしたい」と思うようになり

野球選手にインタビューをするリポーターになりたいと、急遽アナウンサーに目標を切り替え
全国津々浦々、局アナの試験を受けました。

私は千葉出身なのですが、
チバテレビの高校野球の番組はかなり熱いです。

朝昼晩、高校野球の番組があり、
生放送の試合中継も第一試合からあり、
手紙を出せば
キャスターがすぐに取材に来てくれました。

地区予選の試合の日の夜
合宿所で、みんなで観る
「高校野球ダイジェスト」は
本当に楽しい時間でした。

とくに番組の最後、その日の
良いシーンが、良い音楽に乗って
スローモーションで流れるのですが、

そこに採用された選手が、飛び上がって喜んだり、歓声が沸いたり、、、高校生ですから、テレビに一瞬映ることが楽しくて仕方ないんですね。
チバテレビは、高校球児にとって身近で温かいテレビ局でした。

自分もそんな局で働きたいと思ったのです。

しかし、チバテレビは採用が無く、、、

全国の地方局を受験。
しかし、野球が好きという情熱以外、
とくに秀でたものもなく、
箸にも棒にもかからず、玉砕。
どこにも決まらず大学4年を卒業しました。。

卒業後、私を拾ってくれたのは
コミュニティラジオ局「FMえどがわ」です。

開局3年目の新しい局で
「NHKラジオ深夜便のような
大人がゆったり聴ける番組が
24時間流れている」がコンセプトでした。

そこで開局以来
初めて新人見習いとして採用してもらいました。

この時の面接でも
「なぜラジオなのか?」と聞かれ

中学時代は西武ライオンズファンで
ラジオにかじりついて実況を聞いていた。
「生放送で、空間を共有できるラジオの素晴らしさ」について、熱く語りました。

採用試験は、マスコミ塾の先生に、紹介していただきました。いつも頑張っていると誰かが助けてくれるものです。感謝です。

採用といっても、最初の3ヶ月は
交通費しかもらえず、勉強させていただく
ボランティアのような形。

そこからアルバイトに昇格し
最終的には正社員にしてもらいました。

今になって局の正社員というのが
どんなにありがたいことか身にしみています。
辞めたのも、もったいなかったかもしれません。

当時の社長、局長には本当に感謝しています。^_^

また、番組のパーソナリティの皆さんが
有名な放送局を引退された
大ベテランが多く、その下で勉強できたことも 今になればとてもありがたく感じます。

そこでの仕事内容は、小さな局でしたので
何でもありでした。

お昼のニュースの原稿を揃えて、
アナウンサーが読むときの、卓出し。
音楽を出し、キューを振る仕事や、

生放送の音楽リクエスト番組に届いた、リクエスト曲(当時はCD)を探して持っていったり、

掃除、電話番、

ラジオを聞きたいけれど、電波が悪くて聞けない!というリスナーの方のために
ハンダゴテを使ってアンテナを作ってお届けする。なんてこともしました!

アナウンスとしてのデビューは、「路上工事情報」。

地味ですね。

国土交通省が、スポンサーで、深夜の工事中の場所をお伝えする、5分ほどの枠を任され、自分で収録して編集して放送するようにパッケージする仕事もありました。

しかし、読みが下手すぎて、苦情が来るという
苦い思い出も。。。

そんな中で局長の教えが

「好きなことが一番人を成長させる」でした。

とにかく好きなことをやってみろ。

と自由にやらせてくれました。

そこで、江戸川区、江東区の高校の野球部に所属する全員にインタビューして放送するという番組を提案。そこは小さな局ですから、すぐ取材、編集、すぐ放送!

そうこうしているうちに、
その取材先の高校の一つ
都立城東高校が、区立として
三十数年ぶりかに甲子園出場が決まり、

熊崎を甲子園に取材に行かせよう!
と一部の局の先輩が盛り上げてくれました。

しかし、お金のない局で、交通費は出せない
記者クラブに入っていないから
球場の外からしか中継できない。

など課題が続出。。

そこで先輩が、取材先として馴染みのあったJR小岩駅の駅長に頼んでくれて、アルバイトとして
甲子園行きの臨時列車に乗せてもらえることになり、

生放送の機材と、録音の機材を持って
全身緑のJRのユニフォームを着て
車内でお弁当を配りながら
車掌室のマイクを借りて
自分が作った番組を流す。

というありがたい体験をしました。。。


この出来事から3年後、
NHK青森局のキャスター試験を受け
合格をいただきました。

その時、この甲子園の取材経験が
とても自信になりました。

自分はとにかく野球が好きで、行動力はあります。というアピールを具体的なエピソードで語ることができました。

また、青森局の試験では
写真を見てその場でフリートークする
というものがあり

その写真がイチロー選手!だったので
ここも熱く語ることができました。

その後、NHK仙台局では
なんと、急に楽天がプロ野球を開幕することが決まり、そのホーム開幕の中継も担当しました。

さらに!NHK千葉局では
千葉マリンスタジアムの試合速報の中継を担当したり、千葉の球児にとって夢のスタジアム、千葉マリンスタジアムで、高校野球の地区予選のスタンドリポートを担当したり、甲子園出場や、プロ野球入団が決まった選手を、局にお招きし、1時間たっぷり生放送でインタビューさせていただく(まだ高校生だった丸選手や唐川選手に!)という、楽しい楽しい仕事をさせていただきました。

長くなってしまいましたが
何の才能もなくアナウンサー試験で箸にも棒にもかからなかった私が「野球が好き」という自分の気持ちを大切に過ごすうちに、その情熱から広がった経験が自信になり、逆に野球が、自分を特徴づけさせてくれて、
なりたかった仕事に就くことができました。

そして、私の心の故郷、FM江戸川の局長には、(残念ながら他界しました)退職して10年以上経ってからも、ナレーター事務所に入り、ボイスサンプルを作る時のBGMを選んでいただいたりと、ずっとずっとお世話になりました。

「好きなこと」と「出会い」を大切に。
「素直に聞いて即行動」。

ただそれだけをがむしゃらに10年続けてみたら

FM江戸川に入った時22歳だった私は
33歳で、俳協というナレーター事務所におかげさまで入ることができました。それも遅いスタートですが。。

ちなみに、事務所の採用面接も
超野球好きのマネージャーさんで
今でも野球談義で盛り上がります。

WBSのオーディションに出してくれたベテランマネージャーさんも野球好きでした!

子供の頃から大好きだった野球が、
社会人になって、むしろ私を助けてくれたのです。

先日も、ベイエフエムさんの収録で
海浜幕張に行きましたが
当時のワクワク感が蘇り興奮しました。

やっぱり好きなんだな。
損得ぬきで魂が喜ぶ感じ。ワクワクする感じでした。

みなさんは何が好きですか?

もし何か将来に悩んでいる最中でしたら、
魂が喜ぶほど好きなものは何か。
今一度立ち止まって考え、
そして出会いを大切に、素早く行動!
して過ごしてみてください。

日々の積み重ねの中、気づけば
目標に近づいていたり
違う景色にたどり着いているかもしれません。

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