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ナレーションを極める8 読解力「鳥の目虫の目」

ナレーターの熊崎友香です。テレビ東京ワールドビジネスサテライトや、NHKBS1アジアインサイト などでナレーションを担当し、2歳と5歳の子供を育てています。

最近はナレーションを俳優さんや声優さんが読むことも多く、元アナウンサー系の私は、演技のできる皆さんのナレーションにうっとりしてしまいますが、そんな中でも、自分にできるナレーションとは何か。追求する日々です。

原稿を渡された時、最近気をつけているのは「鳥の目 虫の目」を持つことです。つい、一つ一つの文章を丁寧においがちですが、全体を"引いてみる視線"を大切にしています。そのために、時間があるとしていることは「段落を分ける」「企画のタイトルを考えてみる」「番組全体の流れを考える」広い視野で見て、この企画で伝えたいことは何かを意識するようにしています。

そして、虫の目は、細かいところを考えていくために、「自分だったらどんなスーパーを作るか」「映像を想像する」映像によって、ナレーションの立ち位置が違ってくることを意識。(ニュースの収録は映像なしが多い)

そして「ONに注目する!」私は企画の主役はONだと考えています。昔、お世話になった尊敬する上司に、「ONが多ければ多いほど、いいロケなんだ」と言われたことが強く記憶に残っているからです。なので、ナレーションは、あくまでONを活かすためのトスをあげる役目。

こうして大事なところ、伝えたい部分、意味を理解し、これ以外のところは思い切って"捨てる"。。。というと失礼に聞こえるかもしれませんが、立ててばかりでは、どんどん盛らなければならず、アップアップになり、聞く人も疲れてしまいます。「引く」が難しい。なかなか捨てられないのですが、引くところを作ることで、立てたいところがきちんと立つ。最近は「鳥の目 虫の目」を心がけています。

所属している事務所には、この道何十年、とても素敵な生き方をされている先輩方がたくさんいらっしゃいます。事務所に所属して9年目。まだまだ登山で言う五合目の気分。おばあちゃんになっても報道番組でナレーションを続けたい。自分の置かれている立場に感謝しながら、今日より明日、明日より明後日、よいナレーションができるよう精進していきたいです。

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